「喉乾いた・・・」
姫のご機嫌はかなり悪かった。下僕は何度も教えられた手順を踏んで、姫好みのアイスティーを淹れてベッドサイドに運んだ。
「ガムシロップが多すぎる・・・・」
姫の機嫌は更に下降線をたどった。
「航ぅ・・・そんなに怒るなよ。眉間にシワが寄って美人が台無しだぞ」
下僕の言葉に姫は枕を投げつけた。手にしていたグラスを投げなかっただけ、まだ下僕に対しての愛が感じられた。
「航だってあれだけ悦がってたじゃん。腰振ってたし、イヤじゃなかったんだろ?」
投げるものがなくなった姫は、グラスを振り上げた。
「ちょっ、待て! 航。俺が悪かったから!」
「ウソつけ。ちっとも悪いだなんて思ってないクセに」
姫がいつになく掠れた低い声で唸った。
「うわ・・・そのハスキーな声、腰にクるな・・・」
下僕の目に欲望を感じた姫は、顔を引きつらせてベッドの上を後ずさった。
「く・・・来るなっ! 翔吾!」
しかし、ゆうべの情事で腰が立たない姫は、あっという間に下僕に捕まった。
「航が悪いんだぜ。そんな悩ましい声で俺を誘うから・・・」
姫の、キッチリ留められているパジャマのボタンを外して、ゆうべ自分がつけた愛の印を指で辿りながら、下僕は姫を啼かせにかかった。
「誘ってないだろうが! この性欲魔人がーっ!」
姫の悲鳴は下僕の口唇で封じられ、夏休みだというのに、今日も一日ベッドから出られない生活を姫は強いられることになった。