おまけ♪

若き徹クンの苦悩

「慎ちゃん・・・あの・・・夏休みの宿題なんだけど・・・・」
 8月30日の夜。徹が真っ白なままの夏休みの課題を抱えて慎司の部屋にやってきた。
「やってないのか?」
「う・・・・うん・・ほとんど・・・」
 徹が尻尾を垂らした犬のような情けない表情になった。毎年の年中行事なので、慎司も慣れたものだ。
「タダで写させてもらえるとは思ってないよな?」
 慎司の銀縁メガネの奥の瞳がこういう光を放ったときには、危険なのだとわかっていたけど、背に腹は換えられない。宿題をしていかないと、2学期の成績に差し障りが出る。
 徹は覚悟を決めた。
「な・・・・ナニをしたらイイの?」
 半分涙目で聞く徹に、慎司は愛しさを感じた。
「ふふふ。そんなに怯えなくても、徹が嫌がることはしないよ」
「ほ・・・ほんと?」
「俺が徹にウソを言ったことがある?」
「な・・ない・・・」
 徹の答えに、慎司はニヤッと笑った。
「写すのは明日でもイイだろ? 今夜は2人で気持ちイイことしようか?」
 それが悪魔の囁きだとわかっているのかいないのか、写すアテができて安心した徹は、コクンと頷いたのだった。


「わーん! 間に合わないじゃんかー! 慎ちゃんのイジワルー!」
 ゆうべ一晩中明け方近くまで、慎司に気持ちイイことをされてしまった徹は、目覚めたときには8月31日の夕方になっていたのだった。
「手伝ってやるから、そんなに泣くな」
「これが泣かずにいられるかってー!」
「泣いてるヒマがあるなら、さっさと写す!」
 毎年の年中行事として、2人は9月1日の朝が白々と明けてくるまで、徹の課題と格闘したのだった。