モーツァルトの死
モーツァルトの死。それは謎に満ちている。
病死か何物かに毒を盛られたか殺人か。200年越しのミステリーでもあった。モーツァルトの死因について、アメリカの医学者が18世紀のヨーロッパで流行していた「リュウマチ熱で死亡した」と病理学会で発表した。
35歳で世を去った直後から殺害説が噂された。宮廷作曲家サリエリによる毒殺が良い例である。映画『アマデウス』はモーツァルトの有り余る才能に嫉妬したサリエリの陰謀を生々しく描いている。
1983年イギリスのブライト音楽祭で死のなぞに挑む『モーツァルト』裁判が開かれている。遊び心の模擬裁判であったが、参加した音楽家、弁護士らの過半数が殺害説を支持し、妻がモーツアルトの弟子で愛人といわれた宮廷官吏が最も疑わしいと表決した。
モーツァルトの死については付き添いの無い埋葬。行方不明の遺体といった謎が疑念を呼ぶのである。
病死と発表した医学者は資料を基に重いリュウマチ熱の症状と結論づけた。静脈から悪い血を抜き取る、当時の治療法「方血」の為、高熱を出した際、心臓が耐え切れずに「心不全」で亡くなった。
でもこれで死因論争に終止符とはならないだろう。