『助けて・・・誰か・・・』
どうやって声を出したらいいの?
みんなの呼びかけに応えたいのに・・・
身体は動くのに、どうやって笑ったらいいの?
「ユキ・・・夏休み中に良くならないと、俺達も面倒見られないぜ。早いトコこっちに戻って来いよ」
戻りたいよ・・でも、どうにもできなくて泣きたいのに、泣き方も思い出せない・・・
「お前がいつまでもそんなだと、困るのはお前が大好きな史朗さんなんだぜ。わかってんのか?」
わかってるよ。元気・・・でも、どうすれば元に戻れるの?
「ショックでこうなっちまったなら、もう一度ショック与えたらいいんじゃねぇ? とりあえずぶん殴ってみるとかさ」
殴ってみてよ。元気・・それでよくなるなら力いっぱいやってくれて構わないから・・・
僕の想いは伝わらない・・・もうずっとこのままなのかな・・・
「ユキ・・・寝ちゃったか?」
史朗は之の部屋に入った。電気は消えている。
時計の針は12時を指していた。
『史朗ちゃん・・・・?』
返事をしたいけど声が出ない之は、目を開けることで応えた。
「起こしちゃったか・・・ごめんな・・」
史朗はそう言って、之の隣に滑り込んだ。
「之・・・もうひとつごめんな・・」
之に覆い被さるように抱き締めると、史朗は口唇を重ねた。
「戻ってきてくれ・・之・・・」
之の官能を呼び起こすように舌を絡め、手をパジャマ代わりに着ているTシャツの裾から忍ばせ、胸の粒を転がす。
「之・・之・・・」
キスを首筋に落とし、やわらかい皮膚を吸い上げて花びらを散らせる。
『史朗ちゃんっ!?』
叫び出したいのに声が出ない。しかし、身体は動くはずなのに、之は金縛りにあったように指1本動かせずにいた。
之の反応はない。何か言いたそうに口唇を震わせているけれど、洩れるのは吐息だけだった。
Tシャツをたくし上げると、指で散々いたずらした胸の粒は硬く尖っていた。
「感じてるのか?」
之の身体が反応していることに史朗は少し希望を感じて、更に愛撫を加えた。口唇で挟んで舌先でくすぐってやると、硬度を増す。
之の吐息が荒く熱くなり始めた。胸と連動しているかのように硬くなった之の性器は短パンを押し上げていた。
同じ男の身体に欲情するのだろうかというのは、余計な心配だったのかもしれない。久しぶりだというのは言い訳にならなかった。
今までは誘われてその気になればベッドを共にしてきたが、自分から積極的に行動を起こそうとは思わなかったのだから。
それだけ之のことを愛しているんだと、今更ながら史朗は気づいた。
「もっと早くこうしていればよかった・・」
そうすれば之をこんなになるまで追い詰めずにすんだのに・・・・
『やだ・・・史朗ちゃん・・・ドコ触ってるの?』
女のコじゃないのに胸をいじられてる。史朗ちゃんが触れているところからどんどん熱くなってきて、身体の中から融けていくみたい・・・
「感じてるのか?」
史朗ちゃんに触られて、僕は自分のアソコが硬くなってるのに気づいた。
「もっと早くこうしていればよかった・・」
史朗ちゃんはそう言いながら、僕の着ているものを全部脱がせて直に触れてきた。
どうしよう・・・そんな風にされたら出ちゃうよ・・
熱い・・・もう・・ダメ・・
クチュクチュと湿った音が聞こえる。僕は頭の中が真っ白になった。