「しろ・・・ちゃ・・もう・・もう・・ヘンになっちゃうよぉ・・」
 之の腰が揺れ始めた。
「感じてるのか?」
 見るとさっき達ったばかりなのに、之の性器は再び勃ち上がりかけていた。
「ねぇ・・早くぅ・・」
 振り返っておねだりする之の顔は淫らな天使のようで、史朗の理性も一気に限界値を超えた。
「脚をピッタリ閉じてろよ」
 史朗は之の太ももの間に自分の剛直を挟むと、緩やかなストロークで腰を使った。
「し・・史朗ちゃ・・・?」
 之は何をされているのかわからずに困惑していたが、硬くなったモノを史朗の刻むストロークと同じリズムで扱かれると気持ちよくなって、段々頭の中が真っ白になっていった。
「あぁっ・・ん・・・」
「之・・っ・・・」
 ほぼ同時に精を放つと、史朗はそのまま背後から之を抱き締めた。

「し・・史朗ちゃん・・今のって・・」
 放出した快感に潤んだ目を向けて之は尋ねた。
「挿れられないから素股でしたけど、イヤだったか?」
 之は意味がわからないって顔で首を傾げた。
「イヤじゃなかったけど、なんか・・すごく卑猥なことしてるって感じがした。史朗ちゃんはあれで気持ちよかったの?」
「気持ちよくなかったら達かないさ」
 史朗は二人分の白濁をシャワーで流すと、恥ずかしがる之を抱き上げてバスルームを出た。

 冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを取り出して一気飲みする史朗を眺めながら、之はまだ信じられないような気持ちでいた。
 想いを受け入れてもらえて嬉しいのに、反対にとても不安にも感じていた。
「ねぇ、史朗ちゃん・・」
 呼びかけに、史朗は缶ビールをあおったまま目だけで之の方を見た。
「ホントにいいの? 僕と・・」
 言いかけて目を伏せてしまった之の頭を、史朗はポンポンと叩いた。
「いいんだよ。お前の粘り勝ちだ。失うことが怖くて、自分のモンにしてしまうことを俺は選んだ」
「史朗ちゃん・・・」
 嬉しくて飛びついた之を抱き留めた史朗は、耳元でそっと囁いた。
「俺をここまで本気にさせたんだから覚悟しろよ。叔母さん達を泣かすことになっても一生離さないからな」
 プロポーズのような言葉に、之は泣き出してしまった。
「泣くなよ・・・之・・・これからは多分、いろんなことがあると思う。いいこともイヤなことも・・死んだ方がマシだと思えるようなこともあると思うけど、二人で乗り越えていこうな」
 泣きじゃくる之はもう言葉も出せずにただ頷いた。

 ひとしきり泣いて、ようやく涙が止まった之に、史朗は二人の未来図を語った。
「将来、二人で弁護士事務所を開こう。だから絶対に受験に失敗するなよ。俺も現役合格目指して勉強するから」
 之は史朗の胸に抱かれながら、ここのところあまり使ってなかった脳みそをフル回転させて、その言葉の意味するところを考えた。
「そっか・・・仕事のパートナーとして一緒にいるなら、余計な詮索されずに済む・・」
 之の答えに史朗は頷いた。
「お前は子どもの頃から俺に懐いてたからな。同じ仕事を選んでも不審に思われないだろう。弁護士になるって言えば、もろ手を上げて賛成されるはずだ」
 之はコクコク頷いた。
「僕、頑張るから」
 史朗は決意も新たに闘志を漲らせる之を、ぎゅっと抱き締めた。
「頑張るのは明日からにして、とりあえず今夜はもう少しイチャイチャしようぜ」
 之に異存のあるはずはなかった。あごに手をかけられて上向かせられたので目を閉じると、二人が幸せになるために頑張るためのエネルギーにするために、史朗の口唇が降りてくるのを震えるような気持ちで受け止めた。

 茜と元気も支えになってくれるはず。
 だからきっと大丈夫。史朗ちゃんと一緒にいるためなら、どんな苦労でも乗り越えてみせる。絶対に二人で幸せになるんだと、くちづけに酔いながら之は心に固く誓った。

                                                          おしまい♪

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