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『お前が全然来なかったから、さっきお前のコンピューターにハッキングしてウイルス放ったんだ・・・ お前の愛機をスクラップにしたくなかったら、意地でもパスワードを見つけ出すんだな。恋人特典でヒントだけやろう。アルファベットで8文字だ。HUGHなら簡単だろう? タイムリミットは今日中だ。ウイルス名はCinderellaということで・・・』


「畜生っ! あの時キーボードを叩いてたのは、コレだったのかよっ!!」
 10時過ぎに家にたどり着き、愛機『HUGH』を立ち上げると、デ○ズニーでお馴染のシンデレラ姫がくるくると舞っている画像が浮かび上がって、飛雄は眩暈を感じた。
「やべぇっ! あと2時間ないじゃんっ!」
 飛雄は半狂乱でキーボードを叩き続けた。
「どうやって、HUGHサマのセキュリティを突破できたんだよっ!!?? Jekyllのヤロー、ヒデじゃなかったら返り討ちにしてやるところだぜ」
 笑顔のシンデレラはくるくると舞い続け、背後のお城が徐々に崩れだしていく。飛雄は半泣きでパスワードを探り続けた。


 飛雄が『LOVEHIDE』のパスワードを打ち込んで愛機を死守したのは、タイムリミット5分前のことだった。
「畜生・・・・仕返しだ・・・」
 飛雄はブックマークのひとつをクリックすると、手当たり次第にネットショッピングをした。


 後日、届いた品物、いわゆる大人のオモチャで秀悟を啼かせまくって、飛雄は溜飲を下げたのだった。
 しかし、啼かされたとはいえイイ思いをした秀悟は、仕返しをされたとはつゆとも思っていなかったはずだ。





                                                   ハッピー・エンド!?