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「んっ・・」
 初めてキスした時には、物慣れない感じで躊躇いながら舌を挿しいれてきたくせに、今は我が物顔で秀悟の口内を犯している。
 絡まる舌の湿った音がやけに響く。秀悟は身体の奥に火をつけられたように熱くなっていくのを感じた。
 口唇が離れて、潤んだ目で見上げると、飛雄は真っ赤になって息を飲んだ。
「・・・すっげぇエロい顔・・・たまんねぇ・・」
 一気に硬度を増した下半身を秀悟の腰に押し当てて、飛雄は再び噛み付くようなキスをした。
「ヒデ・・・ヒデ・・・」
 飛雄の口唇は秀悟の身体をさまよいはじめた。口唇を離れ耳朶を噛んで、首筋を辿り鎖骨を舐め、胸の突起にたどり着くと、赤ん坊のように吸い上げた。
「あぁっ・・・」
 秀悟の身体が釣り上げた魚のように跳ねる。
「イイのか? 感じるんだな?」
 ツンと勃ち上がってきた突起に気を良くした飛雄は、ソコばかりなぶって秀悟に甘い声を上げ続けさせた。
「しっ・・・しつこいぞっ・・・」
 秀悟は飛雄を睨んだが、逆効果になったようだ。飛雄の表情が甘える仔犬から狼になった。
「ヒデ・・・挿れられねぇなら、触ってくれよ・・・」
 情けない声にふと見やると、飛雄の中心で信じられない容量を誇る剛直が天を仰いでいた。秀悟は苦笑を浮かべるとふるふる震えている飛雄をそっと握った。
「うっ・・・」
 暴発しそうになったのを辛うじて堪えたが、次の瞬間、飛雄は熱く濡れた粘膜に包まれた。
「ひっ・・・ヒデっ!?」
 自身がすっぽりと秀悟に咥えられ、背筋をすさまじい快感が走り抜けた。
「すげぇ・・・イイ・・・」
 秀悟の舌が先端をちろちろ舐めたり、茎を口唇で扱いたり、ちゅるっとわざと音を立てて吸ったりすると、飛雄に腰の奥から覚えのある感覚が湧き上がってきた。秀悟の小さい頭を鷲掴みにすると腰を突き上げ、喉の奥に熱い飛沫を迸らせた。


 口で1回、手で2回、飛雄を搾り取った後、秀悟も飛雄に咥えられて精を放った。病み上がりの身体はそれだけで限界を訴えた。
「バイトはいいのか?」
 シーツに沈み込んで気だるげに訊く秀悟に、飛雄は満足した笑みを浮かべて首を振った。
「今日は前々から休み貰ってたから・・・」
「そっか・・・今何時だ?」
「んー・・・9時を回ったところだけど・・・腹減ったか?」
「いや・・お前のを飲んだから胸が一杯だ・・・」
 秀悟の答えに、飛雄は今更のように真っ赤になった。
「あ・・・言い忘れてたけど・・」
「ん?」
 その後に続いた秀悟の言葉に飛雄は真っ青になると、マッハの速度で服を着て部屋を飛び出した。