「今日はどうだった?」
「今日は赤ちゃんルームに行ってきた」
一日が終わると、僕達はベッドの中でその日一日にあったことを報告し合う。
僕は、マーシャルさんの勧めで、時々その赤ちゃんルームや学校に出かけては一緒になって遊んだり、悩みのある子ども達の話を聞くというようなことをしていた。
赤ちゃんルームは、ウィッチに託された赤ちゃんばかりが集められている所で、専門のウィザード達が世話をしてるんだ。 リシュールのウィザードみんなが、ここで子ども時代を過ごしている。
僕はかあさんに愛情深く育てられてきたけど、ここの子どもはなんだか可哀想だと思うから、グレアムに言ってみた。
「ウィザードとウィッチって、どうして離れて暮らしてるの? せめて伴侶がいる人は一緒に暮らしたらダメなのかな・・・ 赤ちゃんだって両親に育てられた方がいいに決まってるのに・・・・」
グレアムは黙って聞いていたけど、優しく微笑んで僕に触れるだけのキスを落とした。
「そのことは俺も考えてた。今、フレディ達といろいろ準備を進めてるところだ。時期を見て王に進言しようと思ってる」
「ほんと?」
「あぁ。大昔はウィザードもウィッチも一緒に暮らしてたんだ。なのにいつの時代の王だったか、伴侶を得てから執務を怠けてばかりいたから、時の大臣達が『ナイト』制度を作って二人を引き離したんだって聞いてる」
そんな昔話、聞いたことある。
「そんな昔の色ボケした奴の所為で、今の俺たちが犠牲になるのは間違ってると思う・・」
僕もそう思う。きっとグレアムなら巧いことやってくれるはずだ。
「愛し合う二人が離れて暮らさなきゃならないなんてナンセンスな制度は、俺が統べるカーネリアンにはいらない・・・」
もう今夜のおしゃべりは終わりとでも言うような情熱的な口づけをしてくる僕の愛するウィザードに応えながら、近い将来それが実現することを僕は確信していた。
おしまい♪