26

「あぁっ!」
「痛い? ごめん・・・航・・」
「あ・・謝るくらいなら・・・さっさと済ませろ・・・っ・・・バカ・・・やろ・・・」
 翔吾は、ゆるゆると抽挿を始めた。
「イイよ・・航・・・サイコー・・・」
「俺は・・・サイテー・・な・・気分だ・・・」
 翔吾はつれない恋人に、意趣返しとして、腰をグリッと回した。
「あぁ・・ん・・・」
 その航の声に苦痛とは明らかに違う響きを感じ取ると、翔吾は同じ行為を繰り返した。何度も繰り返されるうちに、いつしか航も腰を揺らめかせていた。
「ヤ・・・だ・・・イ・・・く・・・」
「航・・航・・一緒に・・イこ・・」
 翔吾は、すっかり勃ち上がってシーツに雫を滴らせている航自身に指を絡めて、もう片方で胸の小さな芽をいじりながら激しく腰を使った。
「う・・・っ・・」
 最後に小さくうめいて、翔吾は航の内奥に灼熱を叩きつけた。航もほぼ同時に果てた。


「早く抜けよ。もう済んだんだろーがっ!」
 航はまだ繋がったまま背後から抱きしめている翔吾に文句を言った。
「イヤだ。だって航ン中気持ちいーんだもん」
「バカ! 変態! ケダモン!」
「ねぇ、このままもう一回・・」
「バカっ! やめろっ! んんんーっ!」
 抗議の声も口唇を塞がれてしまい、呆気無く抜かずの第2ラウンド突入と相成った。
 そして航が無罪放免となったのは、日付も変わろうかという頃だった。


目覚ましのベルで起こされた航は、優しい温もりに包まれている事を確認すると、再び目を閉じて、ゆうべの事を思い起こした。
『二つも年下のクセに、随分慣れてるよな・・・コイツ。経験豊富って感じで・・・そう言えばタラシって言われてたな・・・アイツに・・・徹っていったっけ・・・・』
 そう考えるとムショーに腹が立ってきて航は、幸せそうに自分を抱きしめて眠る翔吾を、ベッドから蹴り落とした。
「なっなんだっ!? じ・・地震かっ!?」
「寝ぼけてんじゃねぇっ! このタラシ」
「わ・・たる・・・・? あれ・・・? ここは・・・?」
 翔吾は寝癖がついてヘンな形になっている頭をボリボリ掻きながら、辺りを見まわした。
「俺ンちだ! バカ」
「あっ、そうか・・・思い出したっ!」
 翔吾は嬉しそうに起きあがると、ベッドに片膝をついて航に口唇を寄せた。
「おはよう、ハニー・・キスして・・・」
「このヤロー! 朝っぱらから色ボケてんじゃねぇっ!」
 翔吾の歪な頭をバキッと殴って、航はシャワーを浴びるためにベッドから降りた。