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「そろそろイイかな? 大分柔らかくほぐれてきたよ・・・」
 真矢がコクコク頷くと、佳尉はまた命令した。
「じゃあ、こう言ってみて・・・」
 そして佳尉が耳に囁いてきた言葉は、気が遠くなるようなものだったが、真矢は泣きたい気持ちで切れ切れにその言葉を口にした。
「僕の・・・いやら・・・しい・・お尻に・・・・」
 パシッ
「違うよ。いやらしいお尻のアナに、だろ?」
 蕾に指をくわえさせたまま、また鞭打たれて、真矢は身体を強張らせた。
「一字一句間違えないように言わなきゃ、またおしおきするよ」
「ぼ・・僕の・・・いやらしいお尻の・・穴に・・・・佳尉の・・・・お・・・・お・・」
 ピシッ
「早くちゃんと言って」
 真矢は恥ずかしくて涙をポロポロこぼしながら続きを口にした。
「佳尉の・・・オチンチンを挿れて・・・・ぐ・・グチャグチャに・・・・かきまわして・・・気持ちよくして・・・く・・ください・・・・」
「よく言えました」
 しゃくりあげた真矢を抱き締めて、佳尉はうなじにキスを落とした。
「じゃあ、お望みどおりに気持ちよくしてあげる」
 佳尉は真矢から指を引き抜くと、先走りで濡れた自身でゆっくりと侵略を始めた。


「なんか相当ダメージ負ってない? 仕事の所為か?」
 月曜日にはいつも瀕死状態の真矢に、自称真矢のマネージャーの岡崎は心配そうに顔を覗き込んだ。
「そういう訳じゃないけど・・・そんなにヒドイかな?」
 真矢が笑みを見せようとしているのがわかったが、今にも倒れそうな顔色をしているので、返って痛々しく見えた。
「ヒドイなんてもんじゃないぜ・・・・お前、鏡見てないのか? 今すぐ倒れても全然不思議じゃないって感じだぜ」
 熱を測ろうと、岡崎は真矢の額に手を当てた。
「やっぱ、ちょっと熱いかも・・・・保健室に連れてってやろうか?」
「そうした方がいいかな?」
「少し休んで様子見た方がいいと思うけど・・薬飲んだら良くなるかもしれないし、そうしたら戻ってきて授業受ければいいんだからさ。な、そうしろよ。でないと、心配で授業が手につかないってば」
 そこまで言われて、真矢は少し考えていたが、岡崎の言うとおりにすることにした。
「保健室には一人で行けるから・・・ 心配してくれてありがとう」
 そう言って真矢は立ち上がったが、眩暈を起こしてふらついてしまった。
「やっぱ、俺が連れてってやる! 全然大丈夫じゃないじゃんか」
 真矢の肩を支えるようにして、岡崎は保健室に向かった。
「ご・・・ごめん・・・ 迷惑かけちゃって・・・・」
「何水臭いこと言ってんだよ。俺達ダチだろ? 困ってる時はお互いサマじゃん。藤枝センセーにはこの間無理聞いてもらっただろ?」
「そのセンセーっての、やめてくれる? なんだかこそばゆいや・・・」
「じゃあ、まあやちゃん」
「ヒドイな・・岡崎って、実はいじわるだったんだ?」
 少し真矢より背が高い岡崎を、抗議の意味を込めてちょっと睨み上げると、岡崎は真矢の肩を支えていた腕に力を込めた。
「好きなコほどいじめたくなるってのはお約束だろ?」
「またまた、そんな冗談・・・・」
 その時開け放たれていた窓から強い風が吹きこんできて、真矢のサラサラした髪が風に舞い上がった。
「藤枝・・・・お前・・・」
 岡崎は真矢の耳のすぐ下、普段は髪に隠れている場所に、赤く散らされている花びらを見つけた。
「・・・? 岡崎・・・?」
「なぁ・・お前さ・・・恋人いたっけ?」
 いきなり、思ってもみなかった事を訊かれて、真矢は真っ赤になってしまった。