「ねぇ、センパイ。どうしてナニも言わないの?」
その日は金曜日で、佳尉は酒でも飲んできたのか、帰ってくるなり真矢に絡み始めた。
「佳尉? お酒飲んでるの?」
足元がおぼつかない様子の佳尉を支えながら、真矢はリビングのソファに座らせた。
「みんなでカラオケで盛り上がってさ。ちょっとだけチューハイ飲んだ」
「あんまりハメを外さないようにしなきゃ、見つかったら停学だよ」
真矢に窘められて、佳尉は口唇の端だけを持ち上げた。
「俺のことなんて、どうでもいいんだろ?」
「佳尉・・・?」
「ほっといてくれよ! 俺がダレとつきあおうとどうでもいいくせに、心配するフリなんかすんなよ!」
佳尉は自分でもガキのようにムキになってるとはわかっていても、今更引けなくなってしまった。口から飛び出した言葉は真矢を傷つける刃となった。
「佳尉・・・」
真矢が悲しそうに目を伏せるのを見て、佳尉の心にどす黒くわきあがってくる感情があった。リビングのラグに真矢を突き飛ばすと、酔ってるとは思えないような素早さでのしかかっていった。
「かっ・・・佳尉っ!?」
真矢の腹の上に佳尉は腰を据えた。しかし佳尉に抵抗する気もない真矢は大人しくされるがままになっていた。
「重い? こんな乱暴なのは初めてだよね・・・」
上からほの暗い笑みを浮かべて見下ろしながら、佳尉は自分のベルトを引き抜いて真矢の両手首を拘束した。
「佳尉・・」
佳尉は真矢の腹の上から降りると、カバンの中からたくさんの箱を取り出した。
「親父のトコからくすねてきたんだ。今夜はコレをみんな試してあげる」
そう言って佳尉が箱から取り出したものは、男性器を模したいわゆる大人のオモチャだった。
佳尉は、驚きに目を見開いた真矢の下半身だけを裸にすると、うつ伏せにして腰だけを高く掲げさせるポーズを取らせた。
「そんなに怯えるなよ・・・ちゃんと慣らしてから入れてやるからさ・・・」
震える真矢の双丘を割り開くと、ローションを垂らしてから人差し指をゆっくりと挿入した。
「なんだかんだ言ってもセンパイも随分慣れたよね。指1本なのにこんなに美味そうに咥えてるんだから」
言葉でいたぶりながら、佳尉は真矢の内にローションを塗り込めるように指を動かした。
「っ・・・く・・」
真矢は声を殺すために、いつものように口唇を噛み締めた。
「ほら・・・力抜いて・・・・」
指で散々弄った蕾に、佳尉はバイブを押し当てた。
「奥まで飲み込んで・・・さぁ・・・」
ゆっくりと、だが、圧倒的な力で入ってくる異物を、真矢は受け入れようと身体から力を抜いた。
「やっぱ、美味そうに咥えるじゃん・・・」
佳尉はそう言いながら、バイブを咥えこんでいる場所を指で撫でた。
「すげぇな・・・目一杯伸び切ってら・・・あんま乱暴にしたら切れちまいそうだ・・・」
真矢は奥までバイブを押し込まれて、息も絶え絶えになっていた。半開きになった口からは、短く息が吐き出されていた。
「ふっ・・・く・・・っ・・」
「苦しい? 大丈夫だよね? 俺より細いんだからさ・・・コレ・・・」
佳尉は、ソレが抜け落ちないように専用のベルトで固定すると、真矢の前に回りこんだ。
「下のお口は一杯になったから、今度は上のお口にもあげようね」
佳尉はジーンズのジッパーを下ろし、臨戦態勢の自身をつかみ出すと、真矢の口元に突きつけた。
「さぁ、舐めて・・・」
見上げた佳尉の表情は、逆光になっていてよく見えなかったが、きっと何かを企んでるいたずらっこのように、目を輝かせているのだろうと真矢は思った。
両手首を拘束されているので、犬のように顔だけ突き出して舌を伸ばした。
ピチャピチャと、湿った水音とくぐもった声だけが部屋に響いている。
真矢は両膝を立てて座っている佳尉の股間に顔を埋めていた。
「上手になったよね・・・・」
佳尉のモノを咥えたまま上目遣いに見上げると、うっすらと頬を上気させて気持ちよさそうな表情をしていた。
「気持ちイイよ・・・ センパイも気持ちよくしてあげるね・・・」
佳尉がそう言った途端、後ろに咥えこまされているバイブが振動を始めた。