「サンキュー。無理しなかったか?」
週明け。真矢が頼まれていた色紙を岡崎に渡すと、肩を叩いて労ってくれた。
「大丈夫だよ。受験生だから仕事はあまり入れてもらってないから・・・」
「そうか・・でも、なんか疲れてないか? 顔色悪いぜ」
岡崎に指摘されて、真矢は頬に朱を上らせた。
「・・あの・・・ちょっと寝不足なだけで・・大したことないんだ・・・」
言葉を詰まらせる真矢に岡崎は眉を顰めた。
「もしかして、これをやってて?」
色紙の入った紙袋を持ち上げた岡崎に、真矢は慌てて首を振った。
「ち・・・違う・・・全然別のことだから・・・」
「そうか? ならいいけど・・・・」
怪訝そうな表情のまま、岡崎はそれ以上追求はしなかった。
二人がつきあってることは、学校では内緒にしようと言ったのは真矢の方だった。佳尉は公表してもいいと言ったけど真矢は泣き出しそうな顔でダメだと言って譲らなかった。いつも従順な真矢がそこまで嫌がるならと、佳尉も承諾したのだった。
自分とつきあうことでホモというレッテルを貼られ、佳尉の評判を落としたくなかったからなのだが、佳尉はその真実に気付いてなかった。
「タマには外に出てフツーにデートとかしない?」
週末になると真矢が佳尉の家に泊まりに来るというパターンが出来上がっていた。一日外にも出ずにゲームをしたり、レンタルしてきたDVDを見たりして時間を過ごしていた。
「うん・・・でも・・・」
真矢が悲しそうな顔で目を伏せる。誰かに見られたりして、二人の関係がバレたりするのが怖かった。
「じゃあ、なに? 俺とどこかに行くの、ヤなの?」
佳尉が責めるように言うと、真矢はハッとしたように顔を上げた。
「そんなことない!」
思わず大きな声で否定して、真矢は自分自身で驚いた。
「いや・・・あの・・ごめん・・・イヤな思いさせちゃって・・ でも本当にそんなんじゃないんだ・・・」
しどろもどろに言い訳する真矢を冷ややかに見下ろしていた佳尉は、おもむろに腕を掴むと寝室に引っ張って行った。
「わかったよ。センパイはデートするより、俺にいやらしいことしてもらいたいんだ?」
ベッドに押し倒されて、真矢は驚きに目を瞠った。
「か・・佳尉っ!?」
「ごめんね。気付かなくて・・・そうだよね。センパイは外に遊びに行くよりお尻にオモチャ突っ込んでんでもらいたいんだよね?」
「ち・・違うっ!」
真矢はいつもと違う佳尉の様子に恐怖を覚えた。
「俺が『初めて』だったクセに、もうこんなにインランな身体になっちゃったんだ?」
ワザと真矢を言葉で辱めながら、佳尉は衣服を剥がしていった。
「でも、センパイがこんなにインランになっちゃったのは俺の所為なんだから、ちゃんと責任とってあげるね」
怯えて縮こまっている真矢をやんわりと握り込んで、快感を煽って行く。
「か・・佳尉っ!」
「ダメダメ・・・・ どうせセンパイは俺に抵抗できないさ」
確信犯は獲物を狙う猛獣のように真矢を見つめながら、手の中で硬度を増していく真矢を玩んでいた。
「――――っ!」
堅く目を閉じて口唇を噛み締めて、真矢は吐精の快感に身体を震わせた。
「チェッ、また鳴かなかった・・・」
上気して潤んだ目で見上げる真矢は、荒い息をついている。佳尉はその口唇からどうしても嬌声を上げさせたかった。
「・・・・佳尉・・・」
呼びかけてくる声は、解放の余韻でとても艶めいている。その声で鳴かせたいのに、恥ずかしがりな真矢は頑として声を上げなかった。
だから、最近では佳尉の行為もエスカレートして、真矢は我慢比べのようなセックスを強いられていた。