17

 13

 バスタオルだけを腰に巻いている状態で、俺と伊織はベッドの脇で向かい合っていた。
「俺は何も知らないからな。全部任せた・・・・」
 先に口を開いたのは伊織だった。頬が朱に染まっているのはシャワーを浴びた所為だけではないだろう。俺の顔を見ることもできずに恥ずかしそうにそれだけ言うと、俯いてしまった。
「綺麗だな・・伊織・・・中学では何かスポーツでもしてたのか?」
 着痩せするタイプなのか、裸になった伊織には、綺麗に筋肉がついていた。現役野球部でピッチャーをやってる俺と遜色ないので、ちょっと驚いた。
「・・空手をやってるんだ」
「えっ、空手?」
 過去形でなく、現在進行形?
「あぁ、3段だ・・」
「ゲッ!」
 と言うことは、抵抗しようと思ったら訳なかったってこと? でもそうしなかったってことは・・・・・
 愛されてるじゃん・・・俺・・・・
「伊織・・・好きだ・・・・」
「さっき聞いたから、知ってる・・・」
 ベッドに押し倒しながら、俺は耳許でささやいた。口ではカワイクないことを言っていたが、伊織は可哀相なくらい震えていた。
「怖い?」
「うっ、うるさいっ! 単なる武者震いだ!」
 伊織が口を開く度にロマンチックから程遠くなっていくので、手っ取り早く黙らせる為に口唇を塞ぐことにした。
「んっ・・・んんっ!」
 口唇を封じたまま、手で胸を撫でていく。ピンクの飾りを爪先で弾いてやると俺の背中に回された腕に力が入った。
「へぇ・・男でもココが感じるって嘘じゃないんだ?」
「バッ・・バカ野郎! そんなトコ触るからビックリしただけだっ!」
 背中に爪を立てられて、俺は口を封じておかなければならないことを思い出して、怪我をしていない右手の指を伊織の口に突っ込んだ。
「う・・・」
「ゴメン・・苦しいだろうけど、我慢して・・・でないと後で辛い思いをするのは、伊織なんだ・・・」
 そう言った途端、腕を掴まれて引き剥がされた。
「こんなの、もう充分すぎるくらい辛いっ! コレ以上だってなら、もうヤメだ!」
 目の縁をピンクに染めながら文句を言う伊織は、カワイイとしか言い様がなかった。そんな表情が俺をどれだけ煽るかなんて、わかってないんだろうな・・・
「冗談だろ? 見ろよコレを・・・どうしろっていうんだよ・・・」
 未だ腰に巻きつけたままのバスタオルを押し上げている、節操なしのムスコを指差すと、伊織は真赤になって目を逸らした。
「そんなの、知らんっ!」
 冷たいセリフに俺はどっぷり落ち込んだ。
「なぁ、俺達漫才やってるんじゃないぜ。メイクラブの最中なんだから、あまり冷たくしないでくれよ・・・頼むから・・・」
「・・・・・・・・」
 そっぽをむいたまま黙り込んでしまった伊織の顎を捕えて、そっとくちづけると、再び伊織の腕は俺の背中に回されてきた。