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「あっ・・・キツ・・・うっ・・・」
 食い千切られるかと思うくらい締め付けられて、一矢は弓弦の最奥に灼熱を迸らせた。
「ああぁぁっ・・・」
 弓弦は熱を放出することもできないのに、身体の奥深くを濡らされた刺激で気をやった。
「え・・イッたのか? ゆづ・・」
 弓弦はぐったりとしていたが、一矢は抜かずにそのまま第2ラウンドを開始した。
「今度はお前も一緒に達かせてやるからな・・・」
 しかし、一度達ってる一矢の持続力は脅威となって弓弦を苛んだ。やっとのことでリボンを解いてもらった時には弓弦の意識はほとんどなかったが、性器だけが意思を持っているかのように熱を吐き出し続けた。

 気絶するように眠りに落ちた弓弦を見つめて、一矢は自分自身がわからなくなっていた。
「なんだってんだよ・・・ったく・・・」
 ここまで手酷く抱くつもりじゃなかった。お互いに楽しめればいいと思ってたのに、ついエスカレートしてしまった。
「何でだよ・・・」
 こんなにムキになってしまうなんて、全然自分らしくないと一矢は思った。ヤリたい盛りのチュー坊じゃあるまいし、弓弦・・セフレ相手にどうしてここまで熱くなったのか、自分の感情を持て余していた。
「ゆづ・・・」
 名前を呼ぶと胸がキリッと痛んだ。





 気づくと部屋の中は真っ暗だった。
「うっ・・」
 少し身体を捩っただけで、全身が軋んだ。帰らなきゃと思うのに、全く動けそうになかった。
「ゆづ・・?」
 隣に寝ていたらしい一矢を起こしてしまったのか、寝ぼけたような声で弓弦を呼ぶと、そのまま胸に抱きこんだ。
「せっ・・先輩・・・!?」
「まだ朝まで時間があるから寝ろ・・・」
 そのまま一矢は寝息をたてはじめた。弓弦はしっかり抱き留められて身動きが取れなかったし、多分腰も抜けてて立ち上がることさえできないはずだったので、そのまま目を閉じた。
 こんな風に抱かれてると、勘違いしてしまう。セフレになってまだ2度目なのに、弓弦はもう限界を感じていた。


 ベッドが揺れて、弓弦は目を覚ました。一矢が部屋を出て行く後姿が見えた。
 やがて遠くから水音が聞こえてきたので、一矢がシャワーを浴びているのだとわかった。
「っ・・・」
 身体はまだギシギシ軋んでいたが、一晩寝たおかげで、ゆうべよりは幾分マシになっていた。
 弓弦はベッドから降りると脱ぎ散らかされていた服を身につけ、シャワールームへと向かった。
「先輩、帰ります」
 外からノックして声をかけると、一矢の返事を待たずに部屋を飛び出した。
「ゆづ? おい、待てよ!」
 一矢は慌ててシャワーを止めて顔を出したが、玄関ドアが閉まる音がして、弓弦は行ってしまった。
「畜生! なんでだよ!?」
 無性に腹が立って、一矢は癇癪を起こした子どものように足を踏み鳴らした。