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「じゃあ、ダメだよぉ・・キスはぁ、大好きな人とするもんなんだからぁ・・・・」
 弓弦の言葉に一矢はハッとした。
「へぇ、キスはダメだけど身体はイイんだ? まるで娼婦だな・・・」
 そう言うと弓弦は少し悲しそうに眉を寄せたけど、何も言わなかった。一矢は弓弦の首筋に口唇を這わせると、鎖骨の辺りに一つ目の刻印を施した。
「・・っ・・」
 どこにどう触れても弓弦は身体を弾ませる。感じやすい身体に気を良くして、一矢は弓弦の身体を拓いていった。

「あ・・あ・・・高倉先輩ぃ・・」
 女のコを抱いたことはあるけど、抱かれるのは初めてだろう弓弦を傷つけないように、一矢は慎重に蕾を綻ばせていた。
 弓弦は抵抗することもなく、従順に一矢に身を任せている。もっとも、抵抗したくてもこれだけ酔っていたら無理な相談だったが。
「気持ちイイか? ゆづ」
 話に聞いたことがあるポイントを根元まで挿入した指で探りながら訊くと、弓弦は濡れた声を上げる。
「い・・イィよぉ・・・ も・・出ちゃう・・・」
「いいぜ。ホラ、出してみな」
 前にも指を絡めて追い上げてやると、食いちぎる勢いで指を締め付けて弓弦は射精した。
 ぐったりと脱力した弓弦の両脚を肩に担ぐと、一矢は真上から貫く形で弓弦に挿入していった。
「やあぁっ!」
 肩だけで身体を支えるという不自由な体勢で熱根を穿たれた弓弦は、苦しさに悲鳴を上げた。逃れようと身体をよじると、咥え込まされた一矢自身を締め付けることになった。
「うっ・・・ヤベ・・」
 長らくのご無沙汰で溜まってるせいか、危うく暴発しそうになった一矢は、弓弦の脚を下ろすと、繋がったまま体勢を入れ替えて背後からのしかかった。
「ゆづ、繋がってるトコが丸見えだぜ。シワもないくらい伸び切って俺を美味そうに咥えてら」
 言葉で弄ることで、暴発の危険から意識を逸らせた。その部分を指でなぞってやると、弓弦は感じるのか背を反らせた。
「動くぞ・・・」
 弓弦の返事を待たずに一矢は律動を始めた。
「あっ・・あ・・んっ・・」
 信じられないくらいの締め付けに、長く持ちそうになかった。根元まで突き入れてはギリギリまで引き出すと、真っ赤に熟れた粘膜が見え隠れする。その扇情的な眺めに、一矢は目眩すら感じた。
 犬っころとしか思えなかった後輩に、これほどまでに欲情できる自分自身が信じられなかった。
 全ては酔っているせいにして、一矢は激しく腰を使うと、弓弦の最奥に欲望の熱を吐き出した。




 
(どうして全然覚えてないんだ・・・)
 ガンガンと割れそうな頭で思い出そうとするのだけど、全くゆうべの記憶がなかった。
歩くのも億劫になるくらい身体はだるい。なんだかおなかが痛くなってきて、しかもお尻に力を入れてないと内部(なか)から一矢が放ったであろうモノが伝い落ちてくるような気がする。ガマンできなくなった弓弦は、目についた喫茶店に入った。

「ふぅ・・・死ぬかと思った・・・」
 朝っぱらから喫茶店のトイレの個室を占拠したおかげで、すんでのところで事無きを得た弓弦は、ついでにモーニングで朝食を済ませることにした。
「おーい、ゆづちん。コッチコッチ」
 いきなり声をかけられて、弓弦は死ぬほど驚いた。