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「たっ・・・・たっくん・・・?」
 頼みの綱が切れてしまって、怯えたように見上げる橘を、建機はニヤリと笑って見下ろした。
「センセー・・・あんまり大きな声を上げると、おばあちゃまに恥ずかしい姿を見られることになるよ」
 建機のイジワルな言葉に、橘は身体を強張らせた。
「怖がらないで・・男を抱くのは初めてだけど、できるだけ優しくするから・・」
 建機はそう囁いて、橘の首筋に口唇を落とした。
「そっ、そそそそそそ」
 慌てふためいて、再び暴れだした橘をガッチリと押さえ込んで、建機は色素の薄い柔らかい皮膚を吸い上げた。
「あっ・・」
 ちりっとした痛みは、まるで吸血鬼に血を吸われたみたいに思えて、橘は小さな悲鳴を上げた。
 建機の耳にはそれがとてつもなく甘く聞こえた。
「センセー、かわいい・・」
「せっ、せせせせせ」
 橘がまた何か言おうとしている。どもっている橘もカワイイと思うが、建機はよしよしと髪を撫でて落ち着かせた。
「せ? 何?」
「せっ・・・センセーなんて呼ぶな」
 もうどうしても逃れられないと諦めて、そっぽを向いてそう言った橘は、耳まで真っ赤になっている。建機の下半身はその色香に一気に戦闘モードになった。
「わかった。生徒とこんな関係になるのに躊躇いがあるんだよね?」
 建機は橘の耳朶をそっと噛みながら「由良さん・・・」と吐息だけで囁いた。
「あっ・・・」
「耳・・・感じるの?」
 嬉しくなった建機がくすっと笑いながら言うと、からかわれたと思ったのか、橘は口唇を噛んで睨みつけた。しかし、目許を朱に染めているので迫力も何もなく、建機には可愛いとしか思えなかった。
「子どものクセに大人をからかうんじゃないっ!」
 涙目になって怒鳴る橘に建機は、子どもはセックスしたいって大人を押し倒したりしないと思ったが、口に出して橘を完璧に怒らせて時間の無駄になるようなまねはしなかった。
「泣かないで。由良さん。からかったんじゃないんだからさ」
 今にも目から溢れ出しそうになっている涙を口唇で吸い取ると、建機は由良のシャツのボタンを外し始めた。
「た、たっくんっ!」
 半泣きで悲鳴を上げる橘を無視して、建機は橘の滑らかな肌に口唇を這わせていった。
「やっ・・やめっ・・・あぁっ」
 胸の小さな粒を吸い上げると、橘は甲高い悲鳴を上げた。
「そんなに大きな声を出すと、またおばあちゃまが上がってきちゃうよ。由良さん」
 吸われた刺激にツンと立ち上がった乳首を甘噛みしながら建機が言うと、橘は慌てて両手で自分の口を押さえた。

「んっ・・んんっ・・・・」
 普段、風呂に入る時くらいしか触ることもない自分の身体だったが、建機の愛撫に過剰なくらいの反応を示して、橘は羞恥のあまり全身真っ赤になった。
「もっと感じて・・・俺のことしか考えられないくらい乱れて・・・・」
 そんなこと言われるまでもなく、今の橘は教師という立場も忘れて、もう建機の与えてくれる快感を追うことしかできなくなっていた。
「たっ・・たっくん・・イヤ・・だ・・・もぉ・・」
 自分で処理をするのとは段違いの快感に、橘は身体を震わせると呆気なく果てた。
「すげぇキレイだ・・センセー・・」
 エクスタシーの余韻に震える橘は、着ているものを全て剥ぎ取る建機のなすがまま、ぐったりと身を委ねていた。