フレデリックはトロンと潤んだ瞳で呆然と、マーシャルが自分の放ったものを嚥下するのを見ていた。
「可愛いよ・・・フレッド・・」
うっとりと微笑むマーシャルの口唇の端から、飲み込みきれなかった白濁が伝い落ちてくるのがとても淫らで、でも綺麗で、フレデリックは見惚れてしまった。
「僕のものだ・・・」
マーシャルは呟くと、フレデリックに覆いかぶさった。
「マーシャル・・」
腰に押し付けられたマーシャルは既に硬く張り詰めている。
フレデリックの表情に一瞬怯えが走ったが、口唇を重ねられると躊躇いがちに背中に腕を回していった。
積極的なフレデリックの行動にマーシャルは一瞬目を瞠ったが、すぐに深く舌を絡める情熱的なキスに溺れていった。
「んっ・・んんっ・・」
絡められた舌に残る青臭い苦味が自分が放ったものの味だと気づくと、フレデリックは恥ずかしくなったが、マーシャルがゆっくりと腰を進めてきてひとつに繋がった頃には、そんなことはもうどうでもよくなっていた。
ずっと好きだった人と再びひとつになれて身体は軋んでいたが、名前を呼ばれるだけで背筋がゾクゾクするほど感じた。
フレデリックの目には夕陽の赤が映っていた。
「熱い・・マ・・・シャル・・」
さらさらと身体に落ちてくるマーシャルの髪は、ひんやりとした感触なのに、燃えるような色をしているせいか、火傷をするかと思うくらいに熱く感じた。
「僕も・・・・フレッドの中は熱くて・・・融けてしまいそうだ・・」
マーシャルの灼熱で激しく内壁を擦られて、薬も使われていないのにフレデリックは昂ぶっていた。
「あぁ・・・フレッド・・いい・・」
「やっ・・マーシャル・・もぅ・・」
強く抱き締められてフレデリックが再び弾けるのと同時に、マーシャルもフレデリックの最奥を熱く濡らしていた。
乱れた息が整ってくると、フレデリックはマーシャルの腕の中にいるという実感が湧きあがってきて、涙が溢れてきた。
マーシャルは腕の中のフレデリックが小さく震えているので、寒がっているのかと、ギュッと抱き寄せた。
「愛してるよ・・フレッド・・・」
汗でしっとりと濡れているブラウンの髪にキスを落とした時、フレデリックがしゃくりあげたので、マーシャルは驚いて顔を覗き込んだ。
「フレッド!?」
フレデリックは微笑んで見せたけど、うれし涙は次から次から溢れて止まらなかった。
「どこか痛むの? ごめんよ。つい嬉しくて暴走してしまったんだ・・・あぁ、泣かないで・・・お願いだ・・」
おろおろとマーシャルが自分のことを心配してくれるのが嬉しくて、フレデリックの涙はますます止まらなくなってしまった。
「違・・っ・・・うれし・・・から・・」
思うように言葉が出なくて、フレデリックはマーシャルの胸にすがりついた。
マーシャルは指を閃かせて体液に塗れた身体を清めると、メソメソ泣いているフレデリックをそっと抱き締めた。
「ありがとう・・・・僕の想いを受け入れてくれて・・・」
その言葉にフレデリックは、マーシャルの胸に顔を埋めたまま首を振った。
「僕も・・同じ気持ち・・・ありがと・・僕を好きになってくれて・・・・」
フレデリックが泣き笑いの顔を上げると、マーシャルは涙に濡れたその頬を両手で包んで、ついばむようなキスを落とした。
「来年の『ナイト』で、母に会ってくれるね?」
プロポーズの言葉に、フレデリックはどう返事をすればいいのか、言葉に詰まった。