「ごめんね。忙しいのに呼び出したりして・・・」
マーシャルが振り向くと、夕陽色の髪がさらさらと揺れた。フレデリックは眩しく感じて目を細めた。
「自分でも試してみたから怖がらないでいいよ」
フレデリックはマーシャルが指差したソファに腰掛けた。
「この薬を飲んで、いくつか質問に答えてくれるだけでいいから・・」
そう言って水の入ったグラスと共に手渡されたのは、赤くて丸い粒だった。
フレデリックは小さな豆粒ほどの大きさの薬を一息に飲み干した。
「10分くらいで効き目が出てくると思うからそれまでくつろいでいて」
マーシャルはフレデリックの向かいに腰掛けた。
「ねぇ、これ何の薬?」
フレデリックの問いにマーシャルは答えをくれなかった。
「今はまだ内緒。最初にそれを言っちゃうと意識しすぎて過剰反応してしまうかもしれないからね。ところでどうかな? 何か違和感とか感じないかい?」
ノートを片手に、マーシャルは質問を始めた。
「今のところ別に・・・」
そう言ってソファに深くもたれかかった途端、胸がドキドキと激しく鼓動を刻み始めた。
「あ・・れ・・・? なんだか・・」
気のせいか熱が急激に上がったように顔が火照る。
「あぁ・・・効いてきたようだね。苦しいかい?」
マーシャルは表情を変えずに淡々と質問を重ねた。
「苦しくはないけど・・・熱い・・・」
なんだか眩暈まで感じる。フレデリックは大きく息を吐いて目を閉じた。
「熱いだけ?」
マーシャルは立ち上がるとフレデリックの側にやってきた。
「!?」
いきなり上衣に手をかけられて、フレデリックは驚いて飛び上がった。
「なっ・・何をっ!?」
薬のせいだけでなく、顔を真っ赤にして、フレデリックは後ずさった。
「いきなりでびっくりさせたね。ごめん。でも身体の状態も見せて欲しいから、できたら上だけでも脱いで欲しいんだけど・・・」
大げさに反応してしまって、自意識過剰だと思われなかったかと恥ずかしくなったが、マーシャルの研究のためなので、フレデリックは大人しく上衣を脱いだ。
「ラクにしててね」
マーシャルは胸の音を聞こうとして、わざと胸の突起に指を掠めた。
「あっ・・・」
案の定フレデリックは甘い声を上げて、身体を弾ませた。
「ん? 苦しいかい? 少し鼓動が早いし息も荒くなってるね」
マーシャルは様子を見る風で、フレデリックの肌を撫で回した。
「あ・・マーシャル・・」
くすぐったいような気持ちいいような、初めての感覚にフレデリックは翻弄された。
「気持ちいい?」
熱い吐息を洩らす口唇に指を滑らされて、フレデリックは曖昧に首を振った。
「わかん・・・ない・・・こんなの・・」
自分でも息が乱れているのがわかる。身体の内部からどんどん熱が上がって下腹部に集中してきた。
「そうだね。誰にもこんな風に触れられたことないものね」
そう言いながら、マーシャルは指で赤く色づいたフレデリックの胸の突起をつまんだ。
「ひゃっ・・ん・・」
思わず自分の上げた声の甘さに、フレデリックは驚いた。
「ふふ。気持ちイイんだね。カワイイよ・・・フレッド・・」
マーシャルはしばらく揉んだり引っ張ったりして堅く尖らせると、口唇を寄せた。