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『抱きたい・・・』
 さっきのビデオでなく、ゆうべの耀子のマンガに刺激されていた。それに加えて裕にも必需品のアイテムをもらっていた。ここで据え膳を蹴ってしまっては男が廃る。
 慎司はポケットを探った。裕にもらったボトルはしっかり入っていた。ベッドに腰を下ろすと、徹の薄く開かれた口唇にくちづけた。
 最初は触れるだけ・・でも、それだけで歓喜に全身が震えた。
 生まれて初めてのくちづけ。それも愛しい徹との・・・
 慎司はもう一度口唇を寄せた。今度は触れるだけでは止まらない。徹が苦しそうに身を捩った。うっすらと目が開いた。
「しん・・・ちゃん・・・?」
 見上げてくる瞳は潤んでいて、慎司は理性が吹き飛ぶのを感じた。徹の両手首をベッドに縫い止めると、荒々しく口唇を貪った。深く舌を絡ませて吸い上げる。
 徹はいきなりのことで、パニックに陥って動けなくなっていた。それをいいことに、慎司の口唇は徹の顎のラインを辿り、耳の後ろの柔らかい敏感な部分を軽く食んだ。強く吸い上げると朱の花びらが散った。
 硬直している徹からTシャツを剥ぎ取ると、綺麗に筋肉に覆われたなだらかな胸の二つの飾りに、愛撫の手を伸ばした。
 左の飾りは指で、右の飾りは舌で、存分に弄った。
「あ・・・っ」
 徹の上げた悩ましい声に、慎司の欲望は沸点に達した。荒々しく徹の身につけているものを全て剥ぎ取って、自分も服を脱ぎ捨てると、徹に覆い被さっていった。


 徹は激しく混乱していた。慎司は一体何をしようとしているのかと。
『これって、もしかしたらセックス?』
 徹が呆然としている間にも、慎司の口唇は身体中を這い回っていて、いたるところに所有の印を散らしていた。
「ヤ・・・ヤだ・・慎ちゃん・・・・やめろっ!」
 我に返った徹は必死で抗った。なのに、酔っている所為で身体に力が入らず、慎司はビクともしなかった。
 ペロッと乳首を舐められると、徹の身体に電流が走り抜けた。
「は・・あんっ・・・」
 思わず甘い声が漏れてしまって、徹は慌てて両手で口を押さえた。
「感じたの?徹」
 ブンブン首を振った徹は、羞恥の為真赤になっている。
「かわいいよ、徹。もっと感じさせてあげるね」
 嫣然と微笑んで慎司は言った。
「いらないっ! そんなのいらない。ヤだよ・・こんなの・・・」
 徹は暴れたが、慎司に股間のモノを握られてしまって身体が跳ねた。
「ひっ」
「ごめんね、徹。俺、もう止まんないよ・・・」
 それからは徹にとって拷問ともいえる長い時間だった。許しを乞うても懇願しても、慎司はなかなか解放してくれなかった。手で1回、口に含まれて1回、初めて人に達かされて、徹は我を忘れて悦がりまくった。
 荒い息をついてぐったりしてしまった徹をうつ伏せにすると、慎司は膝を立たせて腰を突き出したポーズをとらせた。
 あらわになった、双丘の奥で息づく蕾に、裕にもらったボトルの中身を塗り込めると、慎司はまず人差し指をゆっくりと埋めていった。
「う・・っ・・」
 くぐもった悲鳴を上げて、徹は身を捩った。何かに縋るように伸ばされた指先はシーツを手繰り寄せる。
「痛い? 大丈夫だよね。ゆっくり慣らしていってあげるよ。傷つけたい訳じゃないんだ。だからいい子にしててね」
 耀子のマンガの受け売りとはいえ、まったくの初心者なのに手順をインプットしている慎司は、流石に学年トップの成績を誇っているだけはあった。
「なんでだよ。なんで、俺なんだよぉ。こんなこと女のコとするもんじゃん・・」
 徹は何故自分がこんな目に合うのか、訳がわからなかった。慎司が自分のことを恋愛対象としているとは、思いもよらなかったからだ。