18

「徹・・・・愛してる・・・」
 慎司は囁くと、愛しい徹にくちづけた。舌をそっと忍ばせて歯列をなぞり、おとなしくしている徹の舌を絡め取ると、そっと吸い上げた。
 ピチャッと濡れた音がして、慎司の鼓動が一気に跳ね上がった。
 シャツのボタンを引き千切るような勢いで外して、あらわになった胸の淡い飾りに軽く歯を立てた。
「んっ・・・」
 徹が小さく呻き声を立てて身じろぐ。
『リアルな夢だな・・・』
「徹、起きろよ」
 慎司は徹の胸を愛撫したまま呼びかけた。
「慎ちゃん・・・?」
 寝惚け眼で自分に覆い被さっている慎司を見上げると、徹は驚いて飛び起きようとした。
「えっ!?」
「徹・・・ココ・・感じる?」
「うわっ! あ・・・んっ・・」
 いきなり乳首を吸われて、徹は声をあげてしまった。慎司はそれに気をよくして、もう片方も摘んでクリクリっと弄った。
「ヤだ・・・んんっ・・」
 パニックしている徹から身につけているものを全て剥ぎ取った慎司は、自分も素早く服を脱ぎ捨てた。
「好きなんだ・・・徹・・だから、イイだろ?」
「ホントに? 俺のこと嫌いになった訳じゃないんだな?」
 徹の応えに、慎司はハッとした。
「夢・・・じゃないのか?」
 慎司は一瞬のうちに正気に戻った。その顔はりんごより真っ赤になっていた。それを見た徹もおなじくらい真赤になった。
 しばらく二人で全裸のままベッドの上に正座したままお見合いした後、慎司は思いきったように口を開いた。
「好きです! 俺の、恋人になってください!」
 言い切ると深々と土下座した。
 徹は真赤から真っ白へ、見事な変貌を遂げた。
「・・・・・・・・・・・・・」
「徹・・・徹っ!?」
 目を見開いたまま気絶しているような徹を、慎司は揺さぶった。コクってしまったからには、絶対に手に入れるつもりだ。
 しかし、ガクガク揺さぶられて我に帰った徹は、慎司の告白の意味に、考えが巡った。
「だ・・だって・・・慎ちゃん、好きなコがいるって言わなかった?」
「俺、好きなヤツって言わなかったか?」
「ヤツって・・・それって・・・」
「徹のことだよ・・・」
「うそだっ!」
「嘘じゃないっ! ホントに徹のことが好きなんだ!」
 慎司はわかってもらえないもどかしさに徹を抱きしめようと腕を伸ばした。
「だ・・・だって・・・俺、女のコじゃねぇし・・・慎司はモテるじゃんか! なんで俺なんだよ!?」
 徹は抱きしめようとする慎司の胸を、両手で突っ張って押し返した。
「なんでって訊かれても、ずっと昔から好きなんだから仕方ないじゃんか! 俺にだってわからないよ! 徹だけが好きなんだ! 欲しいのは徹だけなんだ!」
 慎司も徹の突っ張りに負けずに力一杯抱きしめて激情のまま叫んだ。そのままベッドに押し倒し、強引に口唇を奪った。
「イヤだって言っても、もう止まらないから・・・」
 慎司は徹に覆い被さりながら言った。徹の身体は震えていたが宥めるように優しいキスを繰り返すうちに覚悟を決めたのか、おずおずと慎司の背中に腕を回してきた。