「こ・・・こんなキス、反則だよ・・・舌入れたりして・・・こんなのって・・」
「恋人同士のキスだよ・・・怖い?」
徹は真赤になって頷いた。まだ高校生になったばかりだし、女のコともつきあったことがないので、おこちゃまなのは仕方ない。
慎司自身も女のコとつきあったこともないし、徹との行為が初めてだったが、耀子にもらった教科書(!)で予習してたおかげで、徹よりも知識と余裕があった。
「大丈夫だよ。怖がらなくていい。優しくしてあげるから」
「う・・嘘つくんじゃないぞ・・約束したからなっ!」
叫んだものの、語尾が掠れている。目じりに涙を滲ませて睨みつけてくる徹に、慎司は苦笑した。
「徹・・そんなに睨まないでくれよ。俺達、これから愛し合うんだから」
「あ・・あ・・愛し合うって・・・・愛し合うって・・・・?」
「メイクラブ・・・愛し合うんだよ・・・違う?」
「ちょ・・・ちょっと違うかも・・・・」
徹の顔は泣き笑いになっている。
「徹・・俺のこと嫌い・・?」
「慎ちゃん・・・」
「俺のこと嫌ってるヤツとは、こんなことできないからさ。言ってよ」
「き・・・嫌いじゃ・・・ない・・よ」
「好きだよ・・徹・・・」
このままではいつまでたっても徹と押し問答を繰り返すような気がして、慎司は先に進むことにした。
「二人で気持ちイイことしよう・・・」
一瞬で全身朱に染まった徹を慎司は優しく抱きしめた。微かに震える口唇をなめただけで、ピクッと徹の身体が跳ねあがるのでウブでカワイイと思った。何か言おうとしているような口唇を、深いくちづけで塞ぎながら脇腹に手を這わせた。
「ふっ・・・ん・・あぁ・・・っ・・」
くちづけが解かれると、徹の濡れた口唇から熱い吐息がこぼれた。
「いいよ・・・徹・・もっと声・・出して・・・」
慎司は愛撫の手を止めることなく徹を煽っていく。おこちゃまな徹は慎司の拙い技巧にすらなす術もなく、翻弄されるがままになっていた。
胸の突起を爪先で弾かれるだけで、自然と甘い声がこぼれた。
「あ・・・っん・・・」
「もっともっと、俺を感じて・・・」
もう1つの突起を舌で弄られて、徹の身体はベッドの上で弾んだ。徹本人の意思を無視して、陸に上げられた若鮎のようにビクビク跳ねた。
「ヤだ・・・ヤだ・・・慎ちゃんなんか、キライだっ!」
キライだといわれて慎司の動きが止まった。
「なんでそんな可愛くないこと言うの? もう、好きだという言葉しか聞かないよ。愛し合うって言っただろ? 徹はもう、俺の恋人なんだから」
「だ・・だって・・だって、慎司ってば・・・慣れてんだもん・・・俺なんか・・・俺なんか・・・・」
徹は言葉に詰まってしまった。『恋人』になるのはイイけど、慎司に抱かれて、思うように喘がされてしまうのは、男としてのプライドが許せないような気がしたのだ。
「慣れてなんかないよ。俺だって誰ともこんなことしたことない。徹とこうなりたくて、俺、勉強したから・・・本当だよ。信じてよ」
いつになく真剣な表情でそう言われて、徹は怯んだ。勉強したと聞かされて、どうやっても慎司には勝てないと思うと、なんだか情けなくなって涙が溢れてきた。
「もう、ヤだ。こんなのっ!」
徹は子どものように泣きじゃくって、慎司の腕の中で暴れた。