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「っ! 徹・・・」
「慎司に比べりゃ、テクないけど・・・」
 徹を腕の中に攫い込んだ慎司は、まだ何か言おうとしている口唇を強引に塞いだ。
「んっ・・・」
 怯えて逃げまわる舌をからめて吸い上げながら、慎司は徹をシーツに沈めた。
「いっ・・痛いからっ! 今日はもうヤだっ!!」
 濃厚なくちづけに潤んでしまった目で見上げながら、徹は慎司を拒んだ。
「もう、痛いことはしないから・・・・今度は徹をヨくしてあげるだけだから・・ね? 怖がらないで」
 慈しむような慎司の眼差しに、徹は覚悟を決めてそっと目を閉じた。
「優しく・・・しろよ・・・」
 恥じらいに消え入りそうな声に、慎司の理性は焼き切れそうになったが、先ほどつけた傷を癒すように、舌を這わせた。
 胸に小さな引っ掛かりを感じて、そこばかり弄っていたら堅く尖ってきて、徹の口唇からは熱い吐息が洩れた。
「やっ・・あぁ・・・・ん・・・」
 自分でも信じられない甘い声に、徹が両手で口を押さえると、慎司は軽く睨みながらその手を外した。
「ダメだろ? 徹のイイ声を聴かせてくれなきゃ」
「ヤだっ! そんなこっ恥ずかしくなるようなこと言うなよぉっ!」
 真赤になっている徹が可愛くて、慎司はもっと声を上げさせたくて、存在を主張している胸の飾りに軽く歯を立てた。
「ヤっ・・・あぁ・・・ん」
 もう片方も摘み上げられて、徹は更に嬌声をあげさせられることになった。慎司は愛しくてたまらない恋人に尽くすため、貯め込んだ知識を総動員することに専念した。
「しっ・・・慎司ぃ・・・やめて・・・もうイイから・・・ギュって抱き締めてくれるだけでイイから・・・あっ・・・・ん」
 徹は上気した頬をバラ色に染めて訴えた。これ以上のことをされると、自分が自分でなくなりそうで、怖かったからだが、慎司は一蹴した。
「ダメだよ・・・徹が達くトコが見たい・・・」
 慎司は容赦なく徹の分身に指を絡めた。それは既に期待にうち震えて歓喜の雫を溢れさせていた。
「ホラ・・こんなに濡れてる・・・嘘ついちゃダメだよ・・」
 先端に浮かぶ雫を舌で掬い取ると、そのままスッポリと咥え込んだ。
「ひゃっ・・・んんっ・・・」
「感じるんだね? もっと声出して・・イイとこをもっと教えて・・・」
 分身を愛撫しながらしゃべられて、徹の口唇からはひっきりなしに声がこぼれ出した。慎司は、さらに硬度を増す徹に気をよくして、追い上げようと、強く吸い上げた。
「ヤだっ・・・んんっ・・・・慎司ぃぃっ!」
 恋人の名前を叫んで、徹はのぼりつめた。
 慎司もその声を聞いただけで、達ってしまった。
 ドアの陰で、ネタに事欠かなくなった耀子はホクホク顔でスケッチブックを抱えていた。
 何も知らない徹は、慎司に抱かれて睡魔の誘惑に応えようとしていた。
「なぁ、徹・・・昔さ、大きくなったら何になるって言ってたっけ?」
 慎司の問いかけに、徹は夢うつつの中で答えた。
「・・・・看護婦さん・・・・お医者さんの・・・慎ちゃん・・・ずっと一緒に・・・いる・・ん・・だ・・・・」
 慎司はふわっと、幸せそうに微笑むと徹の寝顔にくちづけた。