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【愛してる。冬夜】
【ぼ・・・僕も・・】
 ベッドに押し倒されながら囁かれて、答えた声はみっともないくらいに震えていて、冬夜の目に涙が浮かんだ。
【泣かないで、冬夜・・・なんだか悪いことをしている気になってしまう・・・】
 困ったようにアーニーが言うので、冬夜は思わず手の甲でゴシゴシと目をこすった。
【ダメだ。そんなに強くこすると赤く腫れてしまう・・・】
 やんわりと冬夜の手首をつかんで引き剥がすと、アーニーは指先にキスをした。冬夜は一つ深呼吸すると、シャツの袖を少し捲り上げた。
【おや・・・これは?】
 冬夜の左の手首に真っ赤なリボンが巻かれているのをみつけたアーニーは、首を傾げて冬夜を見た。
【プ・・プレゼント・・お誕生日の・・・僕なんかでよかったら】
 もらって下さいという言葉は、唐突に降りてきたアーニーの口唇に吸い取られた。
【22年間生きてきて、最高に嬉しいプレゼントだよ。ありがとう、冬夜。遠慮なくもらうから・・・】
 アーニーはそう言うと、かすかに震える冬夜のシャツのボタンを一つ一つ外し始めた。
【あ・・アーニー・・好き・・・好き・・】
 熱に浮かされたように冬夜は繰り返した。

【キレイだ・・・本当に私のものなんだな・・】
 冬夜の肌に口唇を這わせながら、アーニーはうっとりと呟いた。
 冬夜は初めてのことにどうすればいいのかわからずに、身体を硬くしていた。
「冬夜・・・愛シてる・・」
 日本語で囁かれると、冬夜は嬉しくて泣き出してしまった。
【と・・冬夜・・どうして泣く? やっぱりイヤなのか? 怖い?】
 アーニーが慌てふためいているが、声にならない冬夜はただ首を振った。
「ち・・違・・うれし・・から・・」
 アーニーにしがみついて泣きじゃくる冬夜に困惑を隠せずに、アーニーは涙が止まらない目元にキスを落とした。
【こんなにピュアなコに手を出したらいけないような気がしてきた・・・】
 ここまで決心したのに、途中でやめられたら困る。アーニーの言葉を聞いた冬夜は自分からアーニーにくちづけた。
【冬夜・・?】
【やめないで・・・】
 冬夜の必死の様子にアーニーは苦笑を浮かべると、冬夜の身体を荒々しく組み敷くと、激しく口唇を奪った。
【・・もう、泣いてもわめいてもやめてあげられないからね・・】
 アーニーは冬夜の首筋に所有の刻印をつけた。

「やっ・・あぁ・・も・・ヤだ・・ぁ・・」
 自分で慰めるのより遥かにすさまじい快感に、二人でいる時には英語で話すというアーニーとの約束も忘れて、冬夜の口からこぼれるのは日本語になっていた。
【やめないでと言ったのは君だよ。冬夜】
 冬夜の張り詰めた分身を手で扱き上げながら口唇で胸の中心を吸い上げると、冬夜は釣り上げられた魚のようにビクビクと身体を弾ませた。
【もう一度達ってごらん。今度はずっと見ててあげるから】
もう既に一度アーニーの口の中で弾けている。冬夜はイヤイヤするように首を振った。
「やっ・・・アーニーのイジワル・・・」
 憎まれ口を叩いた途端、根元を強く戒められて、弾ける寸前だった熱は出口を失ってしまった。
「ひっ・・」
【いけないコにはおしおきだよ。素直になったら許してあげよう。さぁ言ってごらん、冬夜。どうして欲しい?】
 冬夜はボロボロ泣きながら首を振り続けたが、最後にはアーニーが望む言葉を口にした。
「お願い・・い・・かせて・・・」
【今日は初めてだからこれくらいで許してあげよう】
 アーニーは手の動きを早めて、冬夜が弾けるのをうっとりと見つめた。