こまごまとした雑事を片付けて自室に戻ってきたグレアムは、セラフィが見当たらないので寝室に足を伸ばした。
明かりが落とされた部屋の真中に置かれたキングサイズのベッドの隅だけ上掛けが盛りあがっていて、セラフィがそこにいることを証明していた。
「セラフィ… 寝たのか?」
側に近寄って声をかけても規則正しい寝息が返ってくるのみで、グレアムは少しがっかりした。
「いろいろあったからな…疲れてるんだろう。ま、いいか」
グレアムはセラフィの眠りを妨げないように、そっと隣に滑り込んだ。
「ん…」
背を向けて眠っていたセラフィが寝返りを打ってこちらを向いたので、グレアムの心臓が跳ね上がった。
「セラフィ…」
暖かなぬくもりを抱き寄せると、グレアムも目を閉じた。
「グレ…アム?」
「あ、起こしちまったか?」
セラフィは寝ぼけているのか、ぼんやりとしていた。
「セラフィ?」
答えが返ってこないので名前を呼ぶと、セラフィはふわっと微笑んでグレアムの胸に顔を埋めると、また目を閉じた。
「おい・・嘘だろ?」
これほど無防備に信頼されたらうかつに手を出せないと、グレアムはため息をついて、腕の中で眠る天使を見つめた。
「あ・・そうだ」
眠っているのだとばかり思っていたセラフィが、パッと顔を上げたのでグレアムは驚いた。
「眠れないのか?」
訊くとセラフィはフルフルと首を振った。
「おやすみのキスしてなかったから…」
グレアムが意味を理解した時には、伸び上がってきたセラフィの口唇が頬に押し当てられていた。
「おやすみ。グレアム」
セラフィは満足したのか、寝ぼけたままなのか、再びグレアムの胸に顔を埋めると、呆然としているグレアムを置き去りにして目を閉じた。
「冗談じゃねぇぞ、コラ」
グレアムは欲望に火がつけられた形になり、体勢を変えると、眠っているセラフィの上にのしかかった。
「今夜はこのまま寝かせてやるつもりだったのに、お前が悪いんだからな…」
グレアムは、ぼんやりと目を開けたセラフィの口唇を吐息ごと奪った。
「っ!?」
いきなりの深いくちづけで覚醒したのか、セラフィは腕を突っ張ってグレアムの胸を押し返したが、びくともしなかったばかりか、両手首をまとめて頭上で拘束されて、もっと深く口唇を貪られるはめに陥った。
「んっ… やっ!」
グレアムの口唇が首筋を伝って薄く柔らかい皮膚に軽く歯を立てる。
「セラフィ・・」
名前を呼ばれると何故か胸が熱くなった。
「ヤだよ…グレアム・・」
泣きそうになったセラフィがやめてくれるように懇願しても、グレアムの愛撫は止まらなかった。
「あっ…」
グレアムが指をパチンと鳴らすと、着ていた夜着は一瞬のうちに消え失せ、セラフィは一糸纏わぬ姿にされていた。
「セラフィ…キレイだ・・」
グレアムはうっとりとつぶやくと、奮えるセラフィの胸に顔を伏せた。
「グ・・グレアム…グレアム…」
「愛してる・・俺の伴侶になってくれ・・」
怯えるセラフィにかまわず、グレアムは胸の粒を舌で転がしはじめた。
「やっ・・あぁ…」
「いい声で啼くな… 感じてるのか?」
気を良くしたのか、グレアムの愛撫は段々と熱がこもっていった。