「・・さま…グレアム様…・起きてください」
 何かとても幸せな夢を見ていたのに、唐突に中断させられたグレアムは、のっそりと起きあがると、不機嫌の絶頂でその揺り起こした犯人を睨みつけた。
「どういうつもりだ? フレデリック・・」
 フレディという愛称でなく、フレデリックと呼ばれて、グレアムの機嫌が最悪なのがわかったが、そんなことで怯んでいてはグレアムの側近は務まらない。
「お忘れですか? 本日はセラフィ様が王に謁見されることになってましたが」
 寝起きでボーっとしてたグレアムの目が、ハッとしたように見開かれた。
「ところでこの惨状は一体何ですか? セラフィ様と枕投げでもされてたんですか?」
 そう言われて改めて見まわすと、純白の羽根が部屋一面に散らばっていた。
「いや…これは・・」
 グレアムが口篭もっていると、上掛けに埋もれて眠っていたセラフィがもそもそと動いて顔を覗かせた。
「セラフィ様、おはようございます。ゆうべはよく眠れましたか?」
 フレディに声をかけられて、最初セラフィはキョトンとしていたが、意識がはっきりしてくると、ガバッと起き上がろうとした。
「あっ…!? 痛…・」
 起き上がれずにシーツに撃沈したセラフィの身体には、ゆうべグレアムに愛された印が多数残っていて、フレデイは眉を顰めた。
「グレアム様…」
 そのまま大きなため息をついたフレディに、グレアムはバツの悪そうな顔になったがセラフィの身体をシーツに包み隠して抱き上げると浴室に向かった。
「小言なら後でまとめて聞くから」


 何? 何? 何? 一体何が起こってるんだ?
 混乱している僕をグレアムはどこへ連れて行こうとしてるんだろう・・
「あ…あの… グレアム…」
「すまない。身体が辛いんだろう?」
 シーツに包んだ僕を軽々と抱き上げたグレアムは、申し訳なさそうに言った。
「あの・・どこへ?」
 僕は尋ねたけど返事はなく、瞬きをする間にゆうべの大浴場にいた。
「あのまま寝てしまったから、きれいに洗ってやる」
 そう言ってグレアムが指を鳴らすと、僕に巻きつけていたシーツはどこかへ消え失せてしまった。
「そ…そんなの、自分でできるから…」
 僕は慌てて逃げようとしたけど、また拘束魔法がかけられて、グレアムのなすがままになってしまった。
「ゆうべは我慢がきかなくて、ナカに出しちまったからな… まずはそこからキレイにしとかないとな…」
 グレアムは、身体の自由を奪われたままの僕の両脚を開くと、指を鳴らしてシャワーを浴びせた。
 グレアムは指で僕のお尻を割り開くと、ソコにシャワーを当ててきた。お湯が逆流してくる感覚が気持ち悪い。
「グレアム! ヤ・・ヤだっ! 一体何をっ?」
「何をって、ゆうべナカに出しちまったモンを掻き出さないと、腹を壊すからな・・」
「おなかだけじゃなくて、もうあちこち痛いよっ!」
 僕の抗議の声はしっかり無視して、グレアムは作業を続けた。
「ヤだ…もう…気持ち悪いよぉ・・」
 僕が泣き声になると、グレアムは中を掻き回すのをやめてくれた。
「ほら、一度出しちまいな」
 おなかを押されると、僕はグレアムの目の前で粗相をしてしまった。
「よしよし。お利口だったな。もう一度やるぞ」
 再びシャワーを押し当てられると、僕の意思を無視して身体は熱を帯びてきた。
「ん? 感じてるのか?」
 おなかの中にお湯がいっぱい入ってきて気持ち悪いはずなのに、しっかり勃ちあがっていたんだ。
「もう、こんなのヤだぁ… 魔法でパッパッとやっちゃってよぉ…」
 瞬間移動や拘束魔法が使えるんだから、それくらい訳ないはずだ。なのにグレアムはニヤニヤ笑うばかりだった。

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