ほとんど意識がないだろうセラフィの上げる声は、もう意味を成していない。掠れているものの艶めいていて、グレアムの欲望を揺さぶり続けた。
 指と口唇を使って何度達かせても熱は冷めず、もう達っても何も出なくなっているのに、もっとと欲しがって泣いた。
 何度目かの射精で現れた背中の翼も切なそうに震えている。
「今夜は交わらずに済ましてやるつもりだったけど、もう俺も限界だ・・・許せよ・・・セラフィ」
 細い腰を抱えるとグレアムは蕩けきったセラフィの蕾を、熱根で深々と貫いた。
「あ・・・あ・・・ぁ・・」
 グレアムを食いちぎる勢いで締め付けたかと思うと、セラフィはまた全身を震わせて達った。
「あ・・クソっ・・・イイぜ・・」
 グレアムがセラフィの最奥に欲望を叩きつけた時には、セラフィは完全に意識を手放していた。
 魔法で後始末をしてから、グレアムはフレディの元へ瞬間移動した。

「どういうつもりだ? フレデリック」
 グレアムの声音でどれだけ怒っているのかがわかる。しかしフレディは笑みを浮かべていた。
「楽しんできましたって顔してるよ。なんだかんだ言ってもすることしてきたんだろ?」
 仕事している時とは打って変わって、フレディの口調はくだけていた。
「そ・・・それは・・・」
 グレアムは図星を指された悔しさに、口唇を噛み締めた。
「で、どうだったの? 魔力はまた上がった?」
 フレディの問いにグレアムは首を振った。
「最初のあの一回だけだったようだ」
「ふーん。初めてっていうのがキーワードだったんだ?」
「そうみたいだな」
 グレアムはふて腐れていた。怒鳴り込んだのはいいが、実は全てフレディに上手いこと操られていた状態の自分に気づいて、情けなくなったからだった。

「あの薬の所為でセラフィは散々な目に合ったんだがな」
 グレアムが嫌みを言ってもフレディには痛くも痒くもないようだ。
「あのね、最初に、あのコの精液飲めば魔力が上がるから今からちょっとヤッてくるって言って、仕事を放り出そうとしたのは君なんだけど・・・ まさか忘れたなんて言わないよね、グレアム」
 フレディの指摘に、グレアムは返す言葉もなかった。
「最初は一体何を言い出すんだろうかと呆れたけど、まぁそれで君の魔力が上がるなら、利用させてもらわない手はないと思って、早めに仕事から解放してあげたんだよ。まさかそれで怒鳴り込まれるとは思わなかったけど・・・」
 しれっと言うフレディに、グレアムは敵わないと思った。絶対に敵に回したくない人物の一人だ。
「それにしても、副作用で悩ましい気持ちになる滋養強壮剤って言ってたけど、あんなにイキっぱなしになるものなのか? 何度達っても全然萎えないし、意識失うまで欲しがったんだぜ」
「え?」
「滋養強壮どころか、明日はベッドから出られないんじゃないかな」
「・・・間違えたかも・・・」
 フレディは頭を抱えた。
「間違えたって、一体セラフィに何飲ませたんだ?」
「君が想像してる通りのモノ・・・」
「媚薬・・か?」
「ご名答・・・」
「全くお前ともあろうものが、そんなヘマやらかすなんて・・・」
「すまない・・・」
「わざとじゃないなら仕方ない」
 素直に謝るフレディの肩をポンと叩くと、グレアムは自室に戻った。

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