「今年の『ナイト』で、俺はお前を伴侶にするつもりだ。だから、怖がらずに出て来い。いいな?」
「はんりょって・・?」
意味がわからなくて僕が尋ねると、グレアムは苦笑した。
「伴侶の意味もわからないお子サマに惚れるとは、俺サマもとうとうヤキが回ったな…」
そして優しく僕を抱き寄せると、そっとくちづけた。
「好きだ・・セラフィ…」
口唇が離れるとそうささやかれて、僕の頭の中は真っ白になった。
僕はどうやって家に帰りついたのか、よく覚えてなかった。気がつくと家の前にいて、背負っていた籠には薬草が一杯入ってたんだ。
「近頃、薬草がたくさん採れるようになったのね。一体どこまで行ってるの?」
かあさんに訊かれたけど、僕は答えられなかった。だっていつもグレアムが魔法で一瞬にして連れてってくれるから。
「よく・・わかんない・・」
僕の答えに、かあさんは納得していないようだったけど、それ以上は何も言わなかった。
グレアムは次の『ナイト』で僕を伴侶にするって言ったけど、当然僕は行けなかった。かあさんと二人で静かに十日間を過ごしたんだ。
その日は待ち合わせをしてた訳じゃないのに、僕がいつもの楡の木に行くとグレアムがいた。
でも、今日はなんだか険しい顔をしている。
「どうして『ナイト』に出なかった!?」
いきなり怒鳴られて、僕は驚いた。
いつも笑っていて穏やかなグレアムが、怒りで顔を真っ赤にしている。僕が感じるグレアムのウェーブも激しく乱れていた。
「ご…ごめんなさい…び・・病気で…・その・・」
「ずっとお前を待ってたんだ。今年は伴侶を発表するつもりだったのに・・」
手を差し伸べられて、僕は一歩下がった。
「何故逃げる?」
グレアムが一歩踏み出してきたので、更に僕は一歩下がった。
なんだか急にグレアムが怖くなって、僕はその場を逃げ出した。
「セラフィ!」
でも、すぐに拘束魔法がかけられて、僕はその場に縫い止められてしまった。
「無体なことはしたくなかった…『ナイト』で優しく抱くつもりだったけど…」
グレアムが苦しそうに言うと、僕の着ていた服が引き千切られるように霧散した。
「お前・・ウィッチじゃないのか?」
裸になった僕を見て、グレアムが驚いたように目を瞠った。
でも、僕が怯えてるのがわかってても、それを無視してグレアムは僕に圧し掛かってきた。
「いやぁっ! やめて! グレアム」
僕が女のコじゃないとわかってもグレアムはそのまま行為を続けた。
拘束魔法で身体の自由がきかない分、感覚だけが研ぎ澄まされたように鋭敏になっている。グレアムは荒々しい仕草で僕の快感の芽を暴きはじめた。
「いや…いや・・怖い・・グレアム・・やめ・・て・・」
自分でするよりも強い快感を与えられて、僕は身体が熱くなるのを感じていた。
「熱い…背中が・・痛い…やめて…お願い・・」
柔らかい落ち葉の絨毯の上に押し倒されていたのに、背中が裂けるように痛む。それなのに、僕はグレアムの指に感じていた。
「我慢するな・・ほら、達け・・」
「いやあぁ・…っ…!」
グレアムに囁くように僕の耳元に吐息を吹き込まれて、僕は身体の内部で渦巻く熱を放出した。と同時に背中が斧か何かで叩き割られたような痛みを感じて、僕は気が遠くなりかけた。