「フレッドって、執務モードになると口うるさくてかなわないと思わないかい?」
あれ、マーシャルさんはフレディさんのこと、フレッドって呼ぶんだ?
僕が不思議そうな顔をしていたので、マーシャルさんは首を傾げた。
「何か変なこと言った?」
「いえ・・あの、マーシャルさんはフレディさんのこと、フレッドって呼ぶんだなと思っただけです・・・」
僕がそう言うと、マーシャルさんはうなずいた。
「だって、フレデリックなんて名前、長すぎると思わないかい?」
綺麗な人のあんまりな言い草に、僕は吹き出してしまった。
その日はマーシャルさんと、魔法学校が終わってから飛び込んできたケインも一緒に、明日からのことについていろいろ話をした。
ケインはとりあえず学校を優先させること、僕は薬草を摘みに行ったり、マーシャルさんの助手として薬師の仕事を覚えることになった。執務の合間に顔を出したフレディさんも、それで了承してくれた。
「グレアム様が夕食を一緒にとるようにと、おっしゃってます」
思いがけなく賑やかになった夕食は、とても豪華で、僕は動けなくなるくらいおなかいっぱい食べてしまった。
食事が済むと、グレアムに攫われるように部屋に連れ込まれた。
「あの・・グレアム・・・僕、自分の部屋で一人で大丈夫だけど・・・」
「セラフィ、マーシャルとはうまくやっていけそうか?」
僕の言葉が聞こえなかったのか、グレアムにそう訊かれたので、僕は頷いた。
「マーシャルさんってとても綺麗な人ですね。でも、なんだかお茶目で可愛いところもあって好きになっちゃいました」
「何だと!?」
振り返ったグレアムは、いきなり僕の両腕を掴んだ。
「グ、グレアム・・・?」
なんだかグレアムがとても怖い顔をしてる。
「マーシャルみたいな優男が好みなのか? 俺よりも好きになったと言うのか?」
一体グレアムは何を言ってるんだろう?
「グレアム・・・・どうしちゃったの?」
「答えろっ! セラフィ!」
掴まれた両腕をガクガク揺すられたけど、どうしてグレアムがそんなに怒ってるのかわからなくて、僕は返事ができなかった。
「どうして答えないっ!?」
ふわっと身体が浮いたと思ったら、ベッドに運ばれていて、グレアムが圧し掛かってきた。
「お前は俺のモノだ。マーシャルなんかに・・誰にも譲らないからな・・・」
グレアムは苦しそうにつぶやいて、魔法を使わずに両手で僕のシャツを引き裂いた。
「グレアムっ!?」
「セラフィ・・・どうして俺の気持ちに応えてくれない?」
まるで吸血鬼のように僕の首筋に噛み付いて、グレアムは僕を蹂躙し始めた。
グレアムはまるで赤ちゃんのように僕の胸に吸い付いてきた。
どうしてだろう。今日は何だか冷静にグレアムのこと見てる。こんなに乱暴にされてるのに・・・
「セラフィ・・・セラフィ・・」
何度も僕の名前を呼びながら、指で口唇で僕の身体を開いていく。性急なその様はまるで飢えてる人のようで、それほどまでにグレアムは僕のことを求めてくれてるのかなと思うと、ちょっと嬉しいと思った。
「・・・グレアムぅ・・・」
えっ? ただグレアムの名前を呼んだだけなのに、自分でも信じられないくらい甘い声がこぼれた。
「セラフィ・・?」
グレアムもびっくりしたみたい。動きを止めて、僕の顔を覗き込んだ。
「乱暴にしないで・・・・逃げたりしないから・・優しくして・・」
そう言うとグレアムはポカンと口を開けて、目を瞠った。