「セラフィ・・・いいのか?」
グレアムのその言葉に僕は吹き出した。
「何度もこんなことしておいて、今更何言ってるの? もういいよ。僕、覚悟決めたから。グレアムの伴侶になるから・・・」
「・・・本当に・・・?」
心なしかグレアムの声が震えているように感じた。
「本当だよ」
僕は小さな子どもに言い聞かせるように、はっきりと言った。
「でも、マーシャルのことが好きになったって・・・」
僕の言葉が信じられないのか、グレアムはモゴモゴつぶやいてる。
「とても綺麗で優しいからマーシャルさんのことは好きになったよ。それを言うならとうさまやかあさん、ラナやウィッチの友達も王様もフレディさんもアーサーさんもケインのことも好き」
グレアムは目をぱちくりしてる。
「じゃあ・・・俺は? 俺のことは?」
いつになく真剣な顔をしてるグレアムは、本当に子どもみたいでカワイイ。
「グレアムのことは大好き」
「!」
「初めて逢ったときは全身真っ黒で怖い人かなと思ったけど、優しくて、おもしろくて楽しい話もいろいろしてくれて、強くてカッコよくて、子どもみたいにカワイイから大好き」
「セラフィ!」
グレアムは僕の息が止まってしまうんじゃないかと思うくらい、きつくきつく抱きしめてきた。
グレアムは歓喜に震えていた。
「本当に・・・ 本当に俺でいいのか?」
声も震えてかすれている。
「いいって言ってるのに・・・信じてくれないの?」
下から見上げてくるセラフィは、戸惑うグレアムに少し頬を膨らませている。
「いや・・・信じてる・・信じてるけど・・」
降ってわいたような幸運に、グレアムはまだモゴモゴ口ごもっている。
「もう、ハッキリしないなぁ。明日からマーシャルさんのとこで仕事が始まるんだから、僕もう寝るよ」
セラフィが煮え切らないグレアムに背を向けて寝る態勢に入って初めて、グレアムは我に返った。
「ちょ・・・ちょっと待ってくれ」
「今度は何?」
セラフィは、顔だけグレアムの方に向けた。
「思いが通じ合ったんだから、その記念にシよう」
グレアムは嬉々としてセラフィの身体に圧し掛かっていった。
「えっ、えっ!?」
「愛してる・・セラフィ・・・・」
最初は抗っていたものの、口唇をふさがれるとセラフィは両腕をグレアムの背に回した。
心が通じ合って初めての口づけは情熱的に舌を絡め取られるだけでなく、手でわき腹から胸へと撫で回され、セラフィは酔ってしまったように頭がボーっとなった。
「・・・ぅん・・・」
口唇が銀の糸を引いて離れていくのが何だか寂しいような気がして、セラフィは自分からまた口唇を押し付けていた。
まさかセラフィがこんな大胆な行動に出るとは思わなかったので、不意を突かれたグレアムは心底驚いた。
「セラフィ・・・?」
「グレアムぅ・・・気持ちいぃ・・・」
箍が外れたように奔放に振舞われて、グレアムは指を鳴らして全裸になると、セラフィを強く抱きしめた。
「今夜は優しくしてやるから・・・」
無防備に身体を委ねるセラフィに、この世のものとは思えないほど気持ちよくしてやろうとグレアムは思った。