【好きだよ・・】
吐息だけの囁きと共に優しいキスが降りてきて、クリストファーの口唇をついばむと、すぐに離れていった。
【イヤじゃない?】
クリストファーがそっと目を開けると、リチャードのエメラルドの瞳が心配そうに見つめていた。
【イヤ・・・じゃない・・よ・・・】
クリストファーの答えに微笑むと、リチャードはクリストファーの身体をそっとベッドに横たえた。
【最後までしないから・・・・だから、もう少しクリスに触れさせて・・・】
【で・・・・でも・・・】
【大丈夫だよ。俺が全部教えてあげるから・・・・】
【リック・・・・】
【怖がらないで・・・さあ、目を閉じて・・・】
リチャードは緊張して強張る恋人を優しく抱き締めた。その身体から奮えが消え去るまで。
【クリス・・・俺の名前を呼んで・・・】
【リック・・・】
触れるだけのキスの合間に、リチャードは声をかける。そうでないと幼い恋人は、キスだけで意識を飛ばしかねなかったので。
【もっと・・・ずっと呼んでて・・・】
ほっそりとした首筋に口唇を這わせながら、リチャードはそう言った。
【リック・・・リック・・・・リチャード・・・・】
自分の内に渦巻く欲望を理性で押し殺して、リチャードはキスだけで我慢していた。
まだ「好き」だとは言ってくれないけれど、きっとクリストファーも自分のことを好いていてくれてるはずだ。
そうでないと、こんなことまで許してくれるはずはないのだから。
【このままずっと二人でいたいな・・・・】
【リック・・?】
リチャードは潤んだ目で見上げてくるクリストファーをギュッと抱き締めた。
【好きな時にピアノを弾いて、好きな時にキスしたりして、いつまでもこんな気持ちのまま、ずっと二人でいられたらいいな・・・・・って・・・・】
【うん、そうだね】
クリストファーの返事に、リチャードは目を瞠った。
【本当に? クリス・・・本当に俺と同じ気持ちで?】
【え・・・と・・本当はよくわかんない・・・・・でも、俺もリックと一緒にいたいよ。ピアノを弾いたりして。その・・・キスはまだ恥ずかしいけどさ・・・・】
小さな声でそう言ったクリストファーの頬は、朱に染まっていた。
【ワーオ! 信じられない! あ・・・何て言ったらいいんだ・・・・・うれしいよ・・・クリス】
喜びで舞い上がったリチャードは、クリストファーのTシャツの裾から手を入れて捲り上げると、まだそういう意味では誰にも触れられたことがないであろう、胸の粒を摘んだ。
【んっ・・・】
かすかな声と共に、クリストファーの身体がピクンと跳ねた。
【気持ちいい?】
ツンと存在を主張し始めた粒に口唇を寄せて、リチャードクリストファーの反応を覗った。
【ヤッ・・・そこ・・・ヘンだよっ・・・リック】
チュッと音を立てて吸い上げてやると、クリストファーは乱れ始めた。ジーンズのフロントに手をやると、こちらも窮屈そうに頭をもたげ始めていた。
【感じやすいね。嬉しいよ。クリス】
【あぁ・・・んっ・・・】
ウブなクリストファーは、リチャードの手が下着に潜り込んできただけで、達ってしまった。
簡単に後始末をするとリチャードは、顔を真っ赤に上気させて荒い息をついているクリストファーに覆い被さり、ぎゅっと抱き締めた。
【可愛かったよ。クリス】
いつもはサラサラと揺れるクリストファーの髪が、汗でしっとりしている。上下する胸がまだ薄いあどけない少年は、今脱皮するかのごとく綺麗になりつつあった。潤んだ瞳はさながら黒曜石のようで、リチャードを魅了した。
【気持ちよかった?】
顔を覗き込んで尋ねるシチャードに、クリストファーはコクコク頷いた。
【でも・・・こんなの恥ずかしいよ・・・・】
生まれて初めて人の手で達ってしまって、羞恥で全身をピンクに染めて蚊の鳴くような声でクリストファーは答えた。