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(Vol.1〜50)

ワンポイントアドバイス Vol.51〜 目次

Vol.59 「小型ボートの定員に関する注意」 2024.1.30
Vol.58 「ロッドの修理・改造・カスタムをする祭の注意」 2022.4.10
Vol.57 「花粉症対策」 2020.2.20
Vol.56 「クローワームの片爪仕様について」 2019.5.22
Vol.55 「グローカラーのトップウォータープラグについて」2018.8.3
Vol.54 「雪降りはバスが良く釣れる?」2017.2.11
Vol.53 「本当は簡単なトップウォーターの釣り」 2014.7.3
Vol.52 「ベイトリール購入のヒント」 2014.3.5
Vol.51 「ロッド」のガイド取り付けに関して」 2013.10.11



Vol.59 「小型ボートの定員に関する注意」 2024.1.30

 本日のニュースで琵琶湖長浜において釣り用小型ボートで3人がお亡くなりになるという事故が報道され、非常に気になる事があったので書き記す事にしました。

 事故の詳細はニュース報道の内容以上の事を知りませんが、映像を見る限りでは12ftクラスのカートップ仕様のアルミボートだと思われます。 映像でボートのメーカー名も確認しておりますが、ここでは割愛させて頂きます。

 日本国内で販売されている所謂Vハル12ftクラスのアルミボートの定員はほぼ全て3名だと思います。 ですので、今回の事故のボートに3名が乗られていても一応は合法なののですが、これ事実上の定員オーバーだったのではないかと思われるのです。

 ボートの定員ですが、付属品の無いエンジンや燃料タンクだけのボートに乗れる定員と考えられています。 更に人間一人の体重60s位と考えて計算されている場合が多いです。 ですので、体重が90sの人であれば2人乗船すれば定員重量に達してしまいます。

 問題は、このアルミボートが何用のボートであったかという事です。 もしバス釣り用ならエクトリックモーター(以下エレキ)・エレキ用のバッテリー・魚探等が積み込まれており、更に多くのルアーの入ったタックルボックスやロッドも載せられています。

 エレキはポンド数の少ない小さな物でもフットコントロールタイプなら10sを楽に超え、大型の物であれば30s位にもなります。 バッテリーも105Aクラスなら1個30s近くあり、12V・40ポンド程度のエレキでもデッキや魚探などを合わせると人間一人分の60s位になります。 ましてや24V・100ポンドクラスのエレキだとバッテリーも更に1台増えるし、魚探も大型の物を複数積み込むと、それらの装備だけで人間2人分にもなってしまいます。

 つまり装備によっては定員が3人のボーとでも、安全に乗れるのは1〜2人になるという事です。 それを定員一杯まで乗船してしまうと完全な積載オーバーとなり、当然の様に喫水線も上の方にまで来ます。 すると波を被り易くなり、一旦波を被れば喫水線が上がって更に波を被り、積載オーバーのボートは一瞬で沈没します。 浮力材が入っている浮沈構造を謳っているボートであっても、積載オーバーの状態であれば何の役にも立たなくなってしまうのです。

 こればワンポイントアドバイスVol.41にも書いた事ですが、低体温による大人の平均生存時間について記載しておきます。

  水温        水中での生存時間
   0℃         15分〜45分
   0〜5℃        30分〜90分
   5〜10℃      1時間〜3時間
   10〜15℃     1時間〜6時間
   15〜20℃     2時間〜40時間
   20〜25℃     3時間〜体力の続く限り
   25℃以上     体力の続く限り

 上記はあくまで平均値であり、個々の体力や怪我・疲労の有無で大幅に変るだろうし、意識不明等に陥るのは1/3位の時間で起こる事も覚えておいて欲しいです。

 これを書いている今の時期の琵琶湖の水温はおそらく5〜8度程度だと思います。 つまりボートが転覆・落水等すれば20〜60分で意識を失い、1〜3時間で失命するという事です。 夏場でもボートでの釣行は安全第一ですが、特に冬期は過剰な位の安全対策をして出掛けてください。

 
店主の私は店のお客さんであると同時に信頼出来る友人である方を琵琶湖のボート事故で失っています。 この様な悲劇を繰り返して欲しくは無いので記事としました。

 今回の事故でお亡くなりになった方々には心よりご冥福をお祈り申し上げます。



Vol.58 「ロッドの修理・改造・カスタムをする祭の注意」 2022.4.10

 インターネットが普及してから、サイト・ブログ・動画でカスタムロッドの作製やロッドの修理・改造をしているものをよく見かけます。 業者のものから個人のものまで多くあるのですが、感心するものもあれば、絶対にやってはいけない事を堂々と載せているトンデモないサイトや動画もあります。 今回は、そんな事についてチョットお話ししましょう。

 ロッドの修理・改造・カスタム等をするには何の資格も必用ありません、誰でも出来るのです。 逆を言うと技術を教える所も無いので、殆どのロッドビルダーや業者は何の教育も受けずに独学や見よう見まねで始めているのです。 当店の店主も19歳の時に釣りの本を参考にガイドを付け直したのが初めで、その後は独学でロッド改造や修理をし、5年後にはブランクからカスタムロッドを作る様になりました。 当然の様に失敗も多く、始めてスピニングロッドをベイトロッドに改造した物はガイド取り付け位置のマズさからデビュー当日に折れてしまったという苦い思い出もあります。

 ロッドメーカー関係者でも、開発・製造に長年携わった方でないと間違った知識をお持ちの人が居られる場合があるので困ります。 特に素材の特性を理解していないと厄介な事が起こり、以前私がロッドアドバイザーを務めていた「天龍」で発売したロッドでも事件がありました。 ブランクやガイドスレッドのコーティングに日本で始めてUV樹脂を採用したのですが、人材派遣会社から来た作業員が材料の特性を無視して指示に従わ無かった為に、クレーム扱いの大量の不良品が出てしまった事例があります。 同じ様な不良品の事例は数年前に大手の「S」社のロッドでも起きており、ルアーロッドの糸巻き式ガイドが全て誘導式になってしまう珍事がありました。

 最近見たサイトの中には、「ガイド取り付け用に巻くスレッドにPEラインを用いると丈夫で良い」と言う、信じがたい事を載せている記事がありました。 PEがどの様な素材かを理解してない様ですが、PEはポリエチレンの事でポリバケツなどに使われている素材です。 割れたポリバケツを接着剤で修理できますか? ラッカー・ペンキなどを使って塗装できますか? 答えは全てNOです。 つまりPEラインをガイド用スレッドとして巻いてコーティングしても、コーティング剤が剥離してしまう特性の素材なので必ず後に問題が起こるのです。 ですから「他所ではやらない独自の技術」などと謳っている業者や個人の話しは要注意です。 本当に素晴らしい独自技術の場合もありますが、問題があるから他所では絶対にやらない事を知識不足ゆえにやっている場合もあるからです。

 この様な事は全て基本を理解していないから起こる事なので、個人でロッドの作業を行う場合は多くの本や資料を読んで基礎知識を付け、まずは基本通りの事を行いましょう。 また業者に依頼する場合でも、何の説明もせずに請ける業者や、事更に自慢する様な業者の話しは安直に信じず、十分に納得できてから依頼する事をお勧めします。

 当店の場合は超一流などとは決して言いませんが、まあ二流・三流と言われるほど技術が低いとも思っていません。 店主が「天龍」のアドバイザーを務めている時に、工場長兼社長室長であった斉田さん(故人)から多くの事を学ばさせて頂いていました。
 この斉田さんはアメリカに自分の会社もお持ちであるにも拘らず10年間USAダイワの社長を勤め、チームダイワUSAのリッククラン・ラリーニクソン・ギドヒブドンらの超一流プロを全部集め、彼らがトーナメントで使う市販品ではないカスタムロッドをお作りになった方で、USAダイワを去った後もそのバスプロからの特注オーダーを請けておられました。 店主が学んだものは斉田さんの知識のほんの一部に過ぎませんが、それが無ければ今の自分も無く、斉田さんとの出会いは幸運だったと思い、世の釣り人にそれを還元する事が恩返しだと信じてロッドの仕事をしています。 読者の方々も同じ様に感じれるビルダーや業者を見つけ、仕事を依頼したり教えを乞うと良いでしょう。


Vol.57 「花粉症対策」 2020.2.20

 今回は極めて簡単で有効な花粉症対策について書きましょう。 店主は花粉症で、現在は体質改善でかなり良くなっていますが花粉の影響は毎年受けています。 20歳代の頃は岐阜県のダム湖へ釣りに行き、花粉舞い散るスギ林の中を潜り抜けても平気だったのですが、30歳代の頃から発症しました。 警察の白バイ隊員であったので、毎日の様に埃・粉塵・排気ガスを吸って鼻の粘膜が傷んでしまった事が大きく影響していると思います。 子供でも杉が多い山の近くの学校より、交通量の多い国道脇の学校の生徒の方が花粉症の割合が極めて多いそうです。

 鼻粘膜の細胞が正常であれば花粉症などアレルギーは起きない筈なので、まずは健康な身体を作る事は重要です。 身体は全て食べた栄養素から作られるので、バランスの良い食生活が第一ですね。 普段の食事だけで3大栄養素を十分に摂取しても、代謝に必要なビタミン・ミネラルなどが不足すると正常な細胞が出来ないので、その分はサプリメントなどで補充する事も現代人には必要です。 ただ、サプリメントは摂取の仕方を間違うと無駄が多くなったり過剰摂取による弊害のあるので、よく勉強して欲しいですね。

 難しい話しは飛ばして、ここからは極めて簡単で効果的な花粉症の対策をお話ししましょう。 実は昨年観たテレビ番組で知った方法なのですが、鼻の穴にワセリンを塗るというものです。 ワセリンは手足のヒビ割れ・アカギレに塗ったりするもので、ボクシングで目尻を切った際の血止めにも使われてます。 これを鼻の穴の中に薄く塗っておくと、吸い込んだ花粉がワセリンにくっついてしまい、鼻の粘膜が保護されるのです。 「たったそれだけの事?」と最初は思いましたが、これが驚くほど効果的でした。 最初は既に症状が出てしまっていたので、点鼻薬で処置してから塗りました。 その後は1日2〜3回位、鼻をかんでから指に付けたワセリンを薄く塗るだけですが、個人的感想としては予防効果抜群です。 テレビ番組によるとヨーロッパでは誰でも知っている一般的な予防方法なのだそうで、今までそれを周知させていなかったのは製薬会社の陰謀ではないかと思えてきた程ですネ。

 ただ、このワセリンによる予防法は鼻には効果的ですが、直接目に入ってくる花粉には対処できません。 その為、目のかゆみには眼鏡・ゴーグルなどの予防と花粉アレルギー対応の目薬は必要です。 ちなみにワセリンはドラッグストアで売っており、50g入りの瓶で数百円位だった筈です。 ワセリンハ一瓶あればワンシーズン大丈夫でしょうし、目薬は一瓶で1ヶ月位は何とかなるので、千円程度の目薬として考えると非常に安上がりと思えます。 ワセリンを使いだして2年目になりますが、何よりも鼻のかみ過ぎで鼻の下が赤くなってヒリヒリする事が無くなり、夜も鼻詰りで苦しむ事無く安眠できるので助かってます。



Vol.56 「クローワームの片爪仕様について」 2019.5.22

 最近は使う人が少なくなってしまった為かショップであまり販売されていないクローワームですが、非常によく釣れるワームです。 先日も岐阜県の大江川にて2日間の陸ッパり釣行で26尾のバスを釣り上げたお客さまも、廃盤になったクローワームをシークレットとして使い続けているそうです。 そんなクローワームですが、デカい物だとデカいバスが釣れるがヒット率が極端に悪いという声も聞きます。 それを解消する裏ワザがクローワームの片爪仕様です。

 この裏技を使うようになった切っ掛けは、ライブベイトを使ってバスを釣るアメリカでの第一人者の方が書かれた本でした。 気心の知れたお客様からお借りした本でしたが、非常に参考になりましたので、その内容の要約をお伝えしましょう。 その方は自宅でエサ用に飼育しているザリガニを何匹か選んで釣りに行くのですが、そのザリガニの片方の爪をペンチで潰すのだそうです。 爪をむしり取るとザリガニが死んでしまうのですが、潰すとザリガニ自身が爪を外すので片爪でも元気に生きているのだそうだ。 その片爪のザリガニをエサとして釣り針を仕込んで釣るわけですが、両方の爪のあるザリガニより明らかにヒット率が高くなるとの事でした.。 デカい立派なザリガニは良く目立ちバスが見つけ易いですし、活きが良ければ尚更でしょう。 栄養価も高いのでバスには御馳走なのだが問題があり、それが爪による反撃なのです。 ところが片爪のザリガニだと反撃する能力が半減しているのでバスが襲い易くなり、結果として大型のエサを食うデカバスが釣れるのだそうだ。

 小型のザリガニだとバスは反撃を受け難いので、釣り人は喰わせ易いと思って小型を選択してしまう。 だがシルエットが小さいのでバスにとっては見つけ難く、しかも小型のザリガニほど地味なナチュラルカラーの体色をしているので尚更バスに発見され難い。 エサでもルアーでもバスが発見してくれなければバスは釣れないのだが、デカいザリガニはシルエットも大きく色も赤く派手で見つけ易く、しかも喰えばボリュームがあって腹も膨らむので、バスとしては是非とも食べたい生き物である。 が、しかし難点は爪による反撃・・・。 その反撃力が半減すれば、バスが見つけ易い上に襲い易くなるという理屈である。

 以前、「ギドバグ」という一世を風靡した中型のクローワームがあったが、そのシリーズの中に「ソーバグ」という大型のタイプがあった。 これも人気があったので他社からも「ビッククロー」というの大型クローワームが発売され、大型バスがヒットするという事でテキサスリグやラバージグのトレーラーとして多くの釣り人に愛用された。 ただ問題はヒット率が低い事だった。

 ある日、常連の高校生のお客様から相談を受けた際に前述のエサ釣りでの片爪ザリガニの話しをし、大型クローワームを片爪にして使う事をアドバイスしたのです。 すると、その高校生のお客様は翌日大江川へ釣行し、片爪にした大型クローワームをトレーラーにしたラバージグで40pアップの良型バスを何尾も釣り上げ、非常に喜んで釣果報告に訪れてくれました。

 店主は店の近くを流れる野府川で鯉用に自作しているスモールラバージグの「コイラバ」にエコギア社のロックロー2inという小型クローワームをトレーラーとして良く使います。 大型の成魚の鯉はザリガニ等の甲殻類も食べる雑食の大食漢ですが、バスと比較すれば口は小さくて70pクラスでもバスの25pクラスと同じ程度の口の大きさでしょう。 その為に鯉は立派な爪を持つデカいザリガニは好んで食べないので小型のロッククロー2inをトレーラーにしているのですが、使用中にクローワームの爪が千切れて片爪になってしまう事が度々あります。 通常であればトレーラーのロッククローを新品に交換するのですが、喰いが浅いと感じた時は交換せずに片爪の物をそのまま使う事で釣果がアップする事も珍しくないのです。 バスのエサ釣りや鯉のルアー釣りでのテクニックを皆さんもバス釣りに応用してみては如何ですか?


Vol.55 「グローカラーのトップウォータープラグについて」 2018.8.3

 ここ数、年ナマズのナイターフィッシングが流行っていますね。 今回はナマズ用のトップウォータープラグの中に多いグローカラー(夜光色)のプラグに関してのお話です。

 個人的な感覚ですが、昔のグローカラーはもっと光っている時間が長かった様に感じます。 以前に使われていた夜光塗料の蓄光剤は放射線物質であったので、放射線に関する規制が厳しくなった為に20年ほど前から使われなくなり、新たな夜光塗料に変わったからではないかと思われます。 その代わり最近は蓄光を促進するフラッシュライトやブラックライトがあるので然程に不便は感じませんね。

 ナマズ用プラグにはケミボタルなどの小さなケミカルライトが挿入できるものが多いので、あえて夜光塗料を塗る必要がない様に感じますが、それでも夜光塗料を塗ってあるプラグは多いです。 そして面白い事にプラグのボディカラーは黒なのに背中だけに夜光塗料が塗られているルアーが結構多い事です。 店主が初めてこの様なカラーリングのルアーを見たのは40年くらい前に買ったフレッドアーボガストのジッターバグだったと記憶しております。 なぜこの様なカラーリングが定番カラーとして何十年も残り続けているのか、今回はそれについて話をしましょう。

 まず黒(ブラック)はある意味で目立つカラーだという事です。 これは明るい派手な色で目立たせるのではなく、ハッキリとしたシルエットを出す事で目立たせるカラーなのです。 しかも黒いシルエットは普通に自然界に存在するカラーですので魚に警戒心を与え難いというメリットもあり、濁り・ローライトでだがハイプレッシャーな時にもに有効となります。 店主がバズプロとしてトーナメントに出場していた頃に、プラクティスではホワイトやチャトリュースカラーのスピナーベイトでグッドサイズの釣れるエリアを見付けていたのですが、本戦では全く釣れなかった試合がありました。 ところが店主の知り合いの中部のプロ仲間の一人が、そのポイントでスピナーベイトを用いてリミットメイクを果たして賞金を獲得していたのです。 後で尋ねると、彼は真っ黒なスピナーベイトを使用していたのでした。

 不思議に思える方も居られるでしょうが、夜空を飛ぶコウモリって結構判りますよね。 それと同じで、黒色の物体はシルエットで認識し易いのです。 更に僅かでも逆行となる条件、コウモリの場合であれば月夜であれば尚更良く判ります。 格闘技の試合で選手が登場する際に、バックライトで入場して来ると選手の姿がシルエットでハッキリ浮かび上がるのも同じです。 だからナイターフィッシングで黒いトップウォータールアーを魚が下から見上げたら、やはりルアーはやはり月明かりや街路灯の光を背に受けてシルエットで出易くなるという事はお判りになりますね。

 では月も街路灯もない真っ暗な夜だったたどうなるか? そんな状況下でもルアーの背中側が光っておればシルエットで浮かび上がるのです。 しかも黒いシルエットは魚に警戒心を与える色ではないし、釣り人は光る夜光塗料の塗られた部分を見るのでルアーの位置を掴みやすいという非常に優秀なカラーリングとなるのです。 明りがあるならば背が夜光である必要は無いかもしれませんし、ババ濁りの場合は全体が発行する方が良いかもしれませんが、状況によっては理想的な色になります。

 ルアーのカラーには意味がある物が多く存在し、特に昔から定番となっているカラーには確実に理由があります。 ただ単にリアルだから・カッコ良いから・見易いから等と言う人間目線でカラーを選ばずに、「何故?」と理由を考えるて選ぶと面白いですよ。 今回は背中がグローカラーのトップウォータープラグを例にしてみました。



Vol.54 「雪降りはバスが良く釣れる?」 2017.2.11

 雪が降ると真冬でもバスが釣れるという話しが、昔からよく聞かれます。 これが何故かという事を店主なりの理論で解いてみましょう。

 雪が降ればどんな状況でも良いのかと言えば、決してその様な事はありません。 キンキンに冷え込んでから吹雪になる様な条件では、やはり良くありません。 良いのは暖かい日が数日続いた後、どんより曇ってから雪がしんしんと降る様な条件です。 暖かい日が数日続けば水温が上がります。 そして曇れば放射冷却が抑えられるので水温が下がり難い状況がしばらく続きます。 つまり、その様な状況の日であれば、雪が降り出す前や降り始めは水温が上昇しきった状態だという事です。

 そして雪が降り出す時には気温が急に下がり、積もるタイプの雪である事も重要です。 積もるタイプの雪であれば、水温を下げるのは水面に降った分だけであり、陸上に降った分は積もるので水を冷やさないのです。 逆を言えば、直ぐに解ける雪や雨混じりのミゾレは水温を低下させ易いので良くないという事にないます。 また、しんしんと降る雪は風が強くない場合が多いので水をかき回す事がありません。 これらの様な雪降り状況なら、降り始めの頃であれば決して悪条件ではないのです。

 更に、魚や野生動物は予知能力と言うべきか、天候の変化を先読みします。 たとえば台風などで大荒れになる直前に爆釣するのは、荒れて水がかき回されたり濁流が入ったるする事でしばらくはエサを捕る事が出来なくなる事を気圧の変化などで察知して、荒れる前に食い溜めするからだと言われます。 積もった雪も解ければ川や池に流れ込んで水温を下げて環境が悪くなるので、バスはその前になるだけ多くのエサを捕ろうとして低水温下でも活発に行動するのではないかと考えらえます。

 あと、雪の結晶には多くの酸素が含まれており、雨粒よりも溶酸素量が多いらしいです。 つまり雪が降ると水面の溶酸素量が増えるので、魚や水生昆虫の活性が上がるとも考えられます。 雪が降り出すと冬季でもユスリカの様な虫がハッチする事が良くあります。 虫がハッチすれば雑食性の小魚が捕食活動をし、それに連動して食物連鎖の上位にあるバスが捕食行動を取っても不思議ではありませんからね。

 これらを総合すると特定の条件での雪降りは、降り始めのタイミングであればバスの活性が上がって釣れる確率が高くなるという事になります。 逆に雪が止んで晴れて暖かくなると、冷たい雪解け水が流入して水温を下げるのでバスは不活性となります。 つまり雪が降り出して冷え込みや帰りの道路状況が不安になる様な条件はバスが釣り易い条件で、雪が止んで人間が暖かく感ずる様になったタイミングがバスにとっては最低の条件と言う事になるのです。

 簡単に言えば陸上と水中ではタイムラグがあるので、それを計算に入れて釣行するのが良いという事ですね。 ただ雪により帰りの道路状況が悪くなったり、車がスタックして駐車した場所から出せなくなったりする恐れもあります。 過去に雪の琵琶湖で大物バスを釣り上げたが、帰りに苦労した友人を何人も店主は知ってますからね。 釣りは楽しくあるべき遊びですし、何事も安全が第一ですので決して無理をせず、気象情報・道路情報を絶えず確認しながら安全に釣りを楽しんでくださいね。



Vol.53 「本当は簡単なトップウォーターの釣り」 2014.7.3

 トップウォーターでのバスフィッシングが面白くなる梅雨時期は、雑誌やサイトにもトップの記事が目立つようになります。 ただ、世の中にはトップでの釣りが難しいと思い込んでいる方が居られるので、実は簡単なんだと言う事を今回は書きましょう。

@ まず、トップウォーターでのバス釣りが難しいと思い込んでいる方に、本当は非常に有利な釣り方である事を知って頂きましょう。

 どの様な釣りであっても、対象魚がルアーや餌に気付いてくれなければ、全く釣りになりません。 魚の目は基本的に上側についている為に魚自身の腹側は見えないのですが、上の方は確実に見る事ができます。 透明度があれば水深10m以上深い所にいる魚であっても常に水面の獲物を発見する事が出来るのですが、逆に腹側にいる獲物は下を向かない限り見つける事ができません。 つまり、トップウォーターのルアーは透明度の問題がなければ、常にバスの視野に入る位置にあるという事です。

 次にトップウォーターのルアーは小型の物であっても、非常に良く目立つという事です。 水面に落ちた小さな虫が作り出す水の波紋は遠くからでも判ります。 波がない穏やかな水面であれば50m以上離れていても判るでしょう。 当然の様に水中側からでもそれは判り、極小ルアーであっても、波・濁りの影響がなければそれが作り出す波紋は遠方や深い場所からでも確認できるので、ルアーが魚から発見され易くなります。

 魚だけでなく、カエルや虫でも目は基本的に上側に付いています。 つまり、水面にいる獲物からは水中側は見えない死角となっており、これを襲うバスからすれば見つからずに非常に接近し易いと言う事です。 しかも急所である腹側を狙えるので、バスにとっては非常に有利な位置関係となります。

 水中の小魚がバスに襲われた場合、小魚は上下左右と立体的に逃げる事が可能です。 ですが、水生生物は基本的には空を飛べずジャンプする程度なので、水面にいる状態で水中から襲われると、水面を平面的にしか逃げる事ができません。 護岸際などであれば更に左右にしか逃げれず、障害物の角にでも追い詰められれば一巻の終わりです。 ボクシングの試合で相手選手をロープ際やコーナーに追い込んだ場合で考えれば、その有利さが簡単に理解できます。

A 上記の@を読めばトップウォーターの有利さが御理解頂けたでしょうが、では何故に簡単に釣れないと思われてしまうのか。 それを解く鍵の部分を説明しましょう。

 ここでバスの立場を獲物となる小魚と入れ替えて考えれば直ぐに判ります。 バスが獲物を襲う為に水面まで浮き上がる事は、そのバスはより大きな魚に下から襲われる危険性が出るだけでなく、空中から鳥などに襲われる可能性もでてきます。 つまり、獲物を捕まえやすいメリットが高い反面、自分自身が襲われるリスクも高まり、ハイリスク・ハイリターンなのが原因なのです。

 リスクが高い条件でトップウォーターゲームを行うと、バスを釣るのは非常に難しくなってしまい、バスにとってのローリスクの条件を考えて釣りをすれば良いだけなのです。 その条件とは簡単な事で、バス自身が水中の他の魚や空気中の鳥から見つからない様に獲物に近づけるかどうかです。

 獲物を見つけるには透明度が高いほうが有利ですが、適度な濁りがある方が鳥などからは見つかり難くなります。 雨粒の波紋や風による波もルアーの作り出す波紋を消してしまうので、遠くのバスからルアーを発見されやすくなるメリット部分は低下します。 必用なのは、このバランスを考えてトップを使うエリア・タイミングとルアーのタイプ選択をするのです。

 浅いエリアのボトムにいるバスは、自分自身より深い場所にいる大型の魚は存在しません。 つまり水面まで出ても水中から襲われる可能性がないのでトップに出易くなります。 橋脚・杭・枯立ち木・ウィード等の縦のカバーや岸壁やダム湖の岩盤等の縦ストラクチャーの近くであれば、それらに身を隠しながら浮上する事が可能であり、万一の場合は直ぐに隠れる事が可能となればバスは安心して行動できます。

 杭やウィード等のカバーが水面まで出ていない場合は少し問題があり、カバーから水面までの僅かな空間がバスにとっての見つかり易くなるリスクとなるからです。 透明度が高くベタ凪だと、水面直下までウィードが密集して生えている様なエリアでも僅か数十cmの空間でもバスには大きなリスクになり、その様な条件下ではパラパラと生えているウィードでも水面まで延びている方が有利になります。 逆にシトシト雨やさざ波の条件下では数十cmの空間はリスクとならず、四方八方へ投げてもヒットするパラダイスになる事もあります。

 要は、バスにとってのローリスク条件で使えば良いだけであり、カバーやストラクチャーから極力近い位置にルアーがある様にするかです。 上記の数十cmの空間リスクの場合も、トップでは釣れないのにミノーやシャロークランクを潜らせると入れ喰いになる事があるのはこの為です。

 なお、カバーは濁りや影である場合もあります。 夜に明かりのついている部屋の中からは暗い外の様子が判り難いのに、逆に外からは明るい室内が丸見え状態になります。 それを利用して捕食者であるバスは影や濁り側に隠れているので、明るい側・透明度高い側から影・濁り側へ近づけるのが良いですね。

B 皆が悩む事にポーズの時間があります。 着水後、どの位の時間ポーズをとるのかのヒントを書きましょう。

 透明度があり急深いダム湖や溶岩帯のある天然湖では、バスは深い側に隠れています。 硬い低質では音が反響して着水音が遠くまで届き、更に透明度の高さから遠く深いエリアに居るバスにもルアーをアピールさせれます。 そのバスがルアーを確認にコッソリと近づくにはある程度の時間が必要であり、バスが近づく前に動かすとカバーからルアーが離れるのでバスにとってリスクが高くなってしまいヒットし辛くなります。 この様なエリアでは、岸寄りのカバーにボッチャンと大きめな着水音でキャストし、長めのポーズを取ってから異動距離の短いアクションでネチネチ誘うのが正解でしょう。

 広大なウィードエリアの天然湖だとバスが広範囲に居るので、どこを攻めたら判り難いです。 この場合も着水音は大きめにしますが、これはウィードの中に居るバスに気付いてもらう為です。 ただウィードは音を吸収してしまうので遠くのバスにアピールさせれないので、ポーズ時間は極端に長くする必要はありません。 長過ぎると近づいたバスがルアーを見破ってしまうので、注意したいです。 散っているバスへアピールする為に、アクションは大きめでアップテンポで広範囲を攻めるのが基本となりますが、ウィードエッジ等が明確な場合で深いエリアの場合はダム湖的な攻め方が有効で、浅い場合は下記の沼・野池の攻め方をします。

 浅くて濁りのある沼・野池エリアは狙ったカバーの真下にバスがいる事が多く、大きな着水音はバスを追い散らしているのと同じです。 ポーズ時間を長くすればバスが戻ってくると言われますが、タイミングが合わなければバスが居ないのにルアーを異動させてしまうし、逆にバスにルアーを観察させる時間を与え過ぎる事になるので、非常に効率が悪いです。 理想なのはややライナー気味でキャストし、サミングでブレーキを掛けてカバーの際にポチャと静かに落とす事です。 泥質の底やウィードは音を吸収するので遠くまで着水音が届かず、濁りがあれば遠くのバスがルアーを探しに近づいてくる確立は非常に低いです。 逆に真下や直近のバスが長時間ルアーを確認して見破る事になるので、ポーズ時間は短くせねばなりません。

 店主がバス釣りを始めた40年も前に、トップウォーターの釣り方はユルユルとキャストしてポッチャンと着水させ、30秒以上のロングポーズが基本でした。 これは日本のバス釣りの発祥地が芦ノ湖であり、そこで釣りをしていた人達の釣りスタイルが紹介された本がバイブル的になった事に起因します。 当然の様に野池の様なエリアには不利な釣り方の為に、バスが釣れないトップウォータープラッがーが増え、トップウィーターの釣りは難しいと思い込まれる様になってしまいました。 ですが、それはフィールドに合わない釣り方をしていただけで、トップウォーターの釣りそのものが難しいのではありません。 一部の釣り人が信じるように高尚なものという事もなく、釣り易い普通の釣り方だとお考えになるべきでしょう。

C トップの技術面での有利さをお考えになった事はあるでしょうか? 視点を変えるだけでトップウォターの釣りの有利さが更にお判り頂けます。

 アンダーウォーターの釣りで、杭の脇でワームやラバージグをシェイクして誘ったり、ミノー・シャッド・クランクをジャークでヒラ打ちさせる事は良くあります。 ですが、本当に狙い通りに杭の真横でそれを行っているのでしょうか? 誰もが「多分、杭の真横くらいだろう」と言う程度であり、水中のルアーが見えずに確認できていないから当然でしょう。 ですが、トップウォータープラグの場合はルアーの位置が確実に見えるので、狙い通りか否かが明確に判断できます。

 水中のルアーは透明度が高いシャローレンジでない限り動きも確認できません。 つまり自分のイメージ通りにルアーを動かせているか否かが判らないのです。 トップは動かすのが難しいと言う方が居られますが、それはルアーの動きが見えるからで、練習することで上達する事ができます。 しかし、動きが見えないと上手くルアーを動かせていないのに気付かず、何時までも上達しない恐れもあるのです。 新しいルアーを使う場合は動きが見えないと最適なアクションの付け方を体得するのに時間がかかちますし、慣れたルアーでもロッドやラインが変わると同じアクションの付け方だと動きが変わってしまう事があります。 そんな時でも動きを見ながらアクションの付け方を確認できるトップウォーターの釣りは非常に有利です。

D トップのアワセは難しく、フッキングミスが多いという方も居られますが、これも理論的に考えれが決して難しいものではありません。

 アンダーウィーターも釣ではバスがルアーにアタックすると、引かれる事によるアタリがラインを伝わりロッドに届き、ロッドを伝って手の触感神経がそれを感じ取り、さらに腕を伝って脳までたどり着いて「アタリ」として認識してアワセるのである。 それに対してトップの場合はバスのアタックは光の速度で目に入り、目からダイレクトに脳に達するのでタイムラグが殆どありません。 その為に早アワセになってしまい、すっぽ抜けもフッキンググミスとなり易いだけなのです。

 昔、透明度が非常に高いダム湖でワームの釣りをしていたところ水深5mほどのボトムでバスがワームにアタックし、完全に口の中にワームを吸い込んで反転してから初めて手にアタリを感じました。 つまり即アワセをしてもその程度の訳なのです。 つまりトップウォーターの場合はバスがアタックしたのを目で見たら軽く聴きアワセをし、バスの重みを感じてからフッキングすれば良いだけなのです。

 バスのアタックあってもルアーが浮いておればバスが喰い損なっているのであり、再度アクションを付ければ追い喰いを誘ってヒットに持ち込む事も可能です。 逆に目に見えないボトムでのワームフィッシングでアタリがあっても口に中に入っているので即アワセるべきか、吐き出しているので再度誘って確実に喰わせるかの判断は感覚に頼るしかない。 そう考えると、トップウォーターのアワセのタイミングは非常に取り易いと言えるのである。

 以上説明した通り、トップウォーターの釣りは決して難しいものではなく、考え方次第では最も釣り易く簡単な釣り方とも言えるのです ですので、皆さんにはもっともっとトップウォーターでの釣りを楽しんで欲しいと願っております。



Vol.52 「ベイトリール購入のヒント」 2014.3.5

 今回はベイトリール購入の際のヒントに関して書いてみました。


 
ブッチャケて言えば、自分の釣りに必用な性能があれば、余分な性能は不必要と言うのが店主の考え方です。 自動車で言えば、フェラーリやポルシェがどんなに凄い性能であっても、通勤と買い物位しか自動車を使わない人には無用の性能であり、コンパクトカーや軽四の方が普段の使い勝手・燃費・維持費そして購入費用に関してもグッドと言うのと同じです。

 ベイトリールの飛距離に関して考えてみましょう。 飛ばないより飛んだ方が良いに決まっていますが、60〜70m以上の飛距離が果たして必要かどうかです。 琵琶湖で立ち込み釣りをなされる方等は、沖のブレイクまでキャストする必要がある場合もあるので、その様な方にはリールの飛距離は非常に重要です。 ですが、野池等で釣りをする方やボート主体で釣りをする方々にその飛距離は必用でしょうか? 野池を主体に釣りを方の多くに「過去に最も遠くでバスをヒットさせた距離が何m位で、良くバスをヒットさせる距離は何m位ですか?」と尋ねると、「最大でも20〜30m程度で、普段ヒットさせる事が多いのは足元からせいぜい15m位ですね」と言う返事が多い。 と言う事は40m位の飛距離がでれば十分であり、逆に至近距離でのキャストがスムーズでコントロールし易いリールを選ぶべきと言う事になります。 今、日本国内で販売されているベイトリールであれば数千円の安物で無い限り、その程度の性能は十分に備えており、あとは耐久性や手に合う形状であるか等の問題だけとも言えますね。

 重要な性能としてドラグがあります。 一般的にドラグ設定はラインの強度の1/3の負荷が加わった際に作動する様にするのが基本です。 ですが、その様な設定をせずに常にフルドラグとし、大型魚がヒットした際はクラッチを切ってサミングでコントロールする方も居られます。 個人的には折角の高性能ドラグが付いた最新型リールを使っているのにもったいないと感じる事も多く、いっそダイレクトドライブのリールでも良いのではと思うのは私だけでしょうか? ちなみに障害物や魚の歯によるラインの傷もなく正常なドラグ設定であれば、理論的にはラインの強度の3倍のウェイトの魚を釣り上げる事は可能らしいです。 高強度ラインで超大物狙い以外なら、現在はメーカー物であれば実用上問題のある様なリールは殆ど無いでしょう。

 最近のベイトリールは大口径ギヤの採用やマイクロモジュールギヤの採用で、非常に滑らかに巻けるリールが増えています。 チョット気になるのは、巻き着心地の良いリールを使うようになってからクランクベイトやスピナーベイトでバスが釣れなくなったと言う方が居られることです。 どうやらスムーズに巻け過ぎて、ウィードの絡み等による巻き心地の変化が判らなくなってしまうのが原因ではないかと思えるのです。 これまた自動車で例えるのであれば、路面の舗装状態が変わってもベンツやセルシオの様な車だとそれを全く感じさせずにスムーズに走ってしまうと同じ事ではないかと思うのです。 その為、巻き心地の良いリールを使用する様になってからクランクベイトで釣れなくなってしまった琵琶湖のガイドプロが、一代前のリールに戻したらまた釣れる様になったと言う話も聞いています。 これを聞くと用途によっては滑らか過ぎるのも問題ありなのかもしれませんね。

 ギヤ比に関しても最近はハイギヤのリールが多いのですが、用途によって向き不向きがあります。 ハイギヤはワーム・ジグ類の打ち物系やトップ・ミノーの様にルアーをロッドで操作し、糸ふけを素早く取ったり回収するには非常に便利です。 ですが、クランクベイトやスピナーベイト等をユックリ巻く必要がある時は極めて使い難いです。 これはリールのハンドルを早く巻く事は可能でも、ユックリと等速で巻く事が非常にシンドクて難しいからです。 店主もバズベイトの初期立ち上がりが早くなって便利だろうと思って7:1以上のギヤ比のリールを使い出したら、バズベイトで全く釣れなくなってしまった経験があります。

 リールのレベルワインダーには動きの早いクロス巻きタイプと、動きの遅い平行巻きタイプがあります。 これはPEライン用とナイロンフロロカーボン・ライン用の違いです。 PEラインを平行巻きすると、メインラインがスプールに巻かれたラインに食い込んでしまうトラブルが起きるのでクロス巻きのレベルワインダーが適しています。 ではナイロンやフロロカーボンラインをクロス巻きするとどうなるのでしょうか? これらのラインはPEの様な軟らかい編み糸ではないモノフィラメントの為、クロス状に巻くと下のラインが上に巻かれたラインに押しつぶされ強度が落ちてしまうのです。 その為、完璧にはいかないのですが、ライン同士が平行上に巻かれた方がラインを痛め難いのです。 では1台のリールだけでPEとナイロン・フロロカーボンラインを使い分けたい人はどうすべきか? その場合はクロス巻きリールを選択し、ナイロン・フロロカーボンラインを使用する時はラインが痛み易い分だけ早めにライン交換するのが良いかと考えられますね。

 今回はベテラン諸氏や数多くのリールを所持しておられる方には関係ない話でしたね。 ですが、まだ初心者域の方や、リールを何台ももっておらず新調しようとお考えの方には参考になるだろうと思って書きました。 限られた予算の中での、間違いのない買い物をして欲しいものですね。



Vol.51 「ロッドのガイド取り付けに関して」 2013.10.11

 今回はロッドのガイド取り付けに関して書いてみました。

 ガ
ドの取り付けに重要なのはガイドの機種・サイズ・位置であるのは当然のことで、これはロッドの長さ・アクション・パワー・使用するラインの種類と太さ等を勘案して、個別に決めねばなりません。 今回ここで記すのはその件ではなく、スレッド巻きやコーティングに関してです。

 スレッドの巻き方等は、ロッドビルディングの本やFiji・マタギ・ジャストエースのカタログにも紹介してあるので、このでは割愛しますが、重要な点だけ言えば、密にシッカリと巻き上げる事です。 太いC・Dスレッドを使っても荒くラフに巻いた物はガイドが緩んだりするトラブルが多く丈夫ではありません。 細いÅスレッドでも密にキッチリと巻き上げた物は非常に丈夫で、個人的にはビックベイト用のロッドでもガイド全てをAスレッドで巻き上げた物を使用しています。 ただ、フットの太い大型ガイドはAスレッドで巻きにくい場合があり、その場合のみC・Dスレッドを用いる位です。 ロッドビルディング初心者の方は太いスレッドの方が巻くのに楽ですので最初の内は太いスレッドで巻き、慣れてきたら細いAスレッドを使うことをお勧めします。

 スレッドは色選びも重要です。 色止め処理が施されていない通常のナイロンスレッドだと、コーティングすると透けて下のブランクの色の影響を受けるので一般的には色が濃くなります。 特に修理等ではスレッドの色を合わせたつもりでもコーティングするとノーマルの色と異なった発色となるので注意が必要です。 スレッドには色止め処理した物や、通常のナイロンラインに塗る色止め剤もあります。 ただ、少し白っぽくなり深みのある色合いにならないと言う事も知っておいて下さい。 スレッドにはメタルスレッドという細いナイロンやポリエステルスレッドの上に着色した金属テープを巻いてあるスレッドがあり、縁取りや中間のラインに入れるのに良く使われます。 金属テープは伸びが無いので巻く際に力を入れ過ぎるとブチッと切れ易い特徴があります。 特に全体をメタルスレッドで巻く場合は、その点に注意が必要です。 メタルスレッドの金属テープは通常アルミの様ですが、以前ははスチール系のテープを用いた物も合った様です。 その為、某有名国産メーカーのソルト用ロッドで、ガイドフレームはチタンなのに、ガイドフットの隙間から染み込んだ海水の影響でスレッドが錆びて茶色くなった物がありました。

 スレッドは紫外線によって色褪せする事があり、特に淡い色に起き易いです。 一般的な市販ロッドのスレッドにブラック・ネイビー等の濃い色が多いのは、色褪せ防止の為だと思われます。 特にメタルレッドのパープルやブルー系は色褪せし易いと感じるので、メインスレッドとして全体に巻き上げる事はあまりお勧めしません。

 ガイドにスレッドを巻く際には、ガイドをブランクに仮止めせねばなりません。 ダブルフットガイドであれば、巻くのと反対側のフットを粘着テープで巻いて仮止めします。 シングルフットガイドの場合は粘着テープを1〜2mm幅に細く切った物を使うのですが、シッカリとテープを巻いておかないとスレッドを巻いているうちにズレてくるので、最初の仮止めは重要です。 特に小型ガイドをソリッドティップ等の細く軟らかいブランクに取り付ける際は非常に難儀な作業になるので初心者向きではありません。 一般の方の中には仮止めに接着剤を使う方が居られますが、これはお勧めしません。 特に瞬間接着剤は絶対やめた方が良いです。 どうしても使わねば仮止めできないのであれば、透明ボンドをほんの少しだけ塗って粘着テープと併用する位にしてください。

 ガイド取り付けの作業で最も面倒で難しいのはコーティングです。 20年以上前の昔のロッドはバーニッシュというニスの様な乾きの早く薄い皮膜となるものを何度も塗っている物が多かったです。 現在は耐久性の高いエポキシ系の2種混合化学変化硬化型のコーティング剤が主流です。 このタイプの注意点は混合比です。 注射器等をを使って量ることが多いのですが、それでも誤差があるので、混合比が狂うと異常に早く硬化したり、何日経過しても固まりきらない事が起きます。 部分修理などで1ccもあれば十分などと少量を混合する場合に誤差が生じやすくなります。 無駄な様に思えるかもしれませんが、最低でも3cc位は混合して作らないと失敗の元です。

 コーティング剤の塗り方には重ね塗りと1回で厚塗りするボタ塗りという方法があります。 重ね塗りは粘度の低いコーティング剤を薄く塗り、硬化したら更に重ね塗りする方法です。 コーティングを薄くも厚くも塗れますし、均等に塗り易くて仕上げが綺麗になり易いので一般にはこの方法が用いられます。 粘度が低いコーティング剤を使うので(粘度が高い場合は3〜5ccに対し、シンナー等の薄め液溶剤を1滴加えます)アルコールランプ等で軽く過熱するだけでスレッドの中までコーティング剤が染み込み易いという利点もあります。 ただ、先に塗ったコーティングが完全に硬化してから重ね塗りするとコーティング剤の樹脂の層ができ、その層がコーティングの剥離や割れの原因にもなります。 その為、重ね塗りのコーティング剤が下塗りと同化する様に下塗りが硬化しきる前に重ね塗るするのが良いのです。 下塗りを触ると指紋が付く位のタイミングと言ったところでしょうか。 ただ、気温などの影響で硬化時間が異なるのでそのタイミングが難しく、それを考えて作業時間を決めて作業を開始せねばなりません。 市販ロッドにコーティングが剥離したり割れるものが多いのは、決められた作業時間の制約がある為だと考えられます。

 ボタ塗りは粘度の高いコーティング剤を1度に厚塗りする方法で、当店が採用している手法です。 粘度が高いコーティング剤はスレッドに染み込みにくく、気泡も残りやすいのでアルコールランプ(ライターはススが付くのでNG)で加熱して粘度を下げながら作業せねばなりません。 加熱し過ぎると硬化速度が速くなって均等に塗れず凸凹になって失敗したり、アルコールランプの火がコーティング剤が引火したり細いスレッドが焼き切れたりするので非常に難儀です。 しかも粘度が高いと筆では塗り難く、店主の私は小さなヘラやピンを用いています。 ロッドメーカーの職人さんでもこれを得意とする方は極めて少ないのですが、上手く塗るとガイドフット・スレッドが一体となったコーティング樹脂で固められるので非常に丈夫です。 店主が使うコーティング剤は適度な弾力もあるので割れ難く長持ちするのですが、均等に塗るのが非常に難しくて相当な練習を必要とするので初心者向きとは言えません。

 ガイドを取り付けるだけでも、色々なテクニックや問題点があります。 御自身でロッドを作ったり修理したりする事にチャレンジする場合はもちろん、カスタムロッド作成や改造・修理をどこかへ依頼する際にでも多少の知識があると良い事もあるので参考にして下さい。


※ 釣り・タックル等に関するお悩みや疑問、ワンポイントアドバイスに対するご質問には可能な限りお答え致しております。 ご連絡はTel・Fax・Eメールのいずれでも構いません。 Eメールの場合はウィルスに感染していると自動削除されますし、まれに返答で送ったメールが「迷子」になり届かない例もありましたので、1〜2週間経過しても返答がない場合はTel等で確認して下さい。


 
   

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