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(Vol.51〜56)




ワンポイントアドバイス Vol.1〜50 目次

Vol.50 「ロッドの破損防止に関して」 2012.11.21
Vol.49 「フィッシングプレッシャーについて」 2012.9.7
Vol.48 「風のお話」 2011.10.22

Vol.47 「釣り人の健康管理」 2011.2.26
Vol.46 「ウィンターバスフィッシングのヒント」 2011.1.20

Vol.45 「新たなるルアー対象魚の開拓」 2011.1.9

Vol.44 「2010年の釣り予想」 2010.1.22

Vol.43 「続・用水路におけるコイのルアー釣り」 2009.9.23
Vol.42 「用水路におけるコイのルアー釣り」 2009.7.23
Vol.41 「ライフジャケットの選択・使用・保守点検について」 2008.12.5
Vol.40 「漂流物・ウィードエリアでのボートトラブル対処法」 2008.6.22
Vol.39 「ターンオーバー時の対策」 2007.10.13
Vol.38 
「スピナーベイトのメンテナンス」 2007.1.19

Vol.37 
「ロッドの修理B グリップの修理」 2006.12.29

Vol.36 
「ロッドの修理A 折れたロッドの修理」 2006.10.19

Vol.35 「ロッドの修理@ ガイドの修理」 2006.9.11
Vol.34 「釣り人の暑さ対策」 2006.8.11
Vol.33 
「夏の日中のトップゲーム」 2006.7.15

Vol.32 「最近のバス釣り場の状況と釣り方」 2006.6.25
Vol.31 「上手な写真の録り方」 2006.5.26
Vol.30 
「プリスポーン〜スポーニング時期のバスの行動」 2006.4.02

Vol.29 
「早春の大江川でのバス釣り」 2006.2.16

Vol.28 「フィッシングショーの楽しみ方」 2006.1.26
Vol.27 「身体のメンテナンス」 2005.12.1
Vol.26 
「琵琶湖の条例 ボート航行制限に関して」 2005.11.7

Vol.25 
「ロッドの話 セパレートグリップ」 2005.8.11

Vol.24 
「ロッドの話 スパイラルガイド」 2005.6.9

Vol.23 「バスのスポーニング時期の釣り」 2005.5.28
Vol.22 「冬の定番ルアー メタルバイブレーション」 2005.1.11
Vol.21 
「これからの時期のバス釣りのヒント」 2005.11.5

Vol.20 
「秋のバス釣りは難しい? フォールターンオーバー対策」 2004.9.14

Vol.19 
「ビッグベイトでバスを釣るためのヒント」 2004.7.2

Vol.18 
「釣り場の環境変化とその対処法」 2004.6.2

Vol.17 
「当たりルアーについて」 2004.6.1

Vol.16 
「釣れるルアー・釣れる釣法とその流行」 2004.5.7

Vol.15 
「キャスティング ピッチングの投げ方」 2004.4.16

Vol.14 
「キャスティング 構え(スタンス)」 2004.3.22

Vol.13 「キャスティング 基本」 2004.3.2
Vol.12 「ルアーの色は水の色に合わせる」 2004.2.10
Vol.11 「ルアーのカラーパターン」 2004.1.24
Vol.10 「ルアーの色について」 2004.1.5
Vol.9 「バスやトラウトに色の識別能力はあるのか」 2003.12.23
Vol.8 「ルアーの動きによる能力の違いと使い分け方」 2003.12.12
Vol.7 「ルアーの誘いの能力と喰わせの能力の使い分け方A」 2003.11.28
Vol.6 「ルアーの誘いの能力と喰わせの能力の使い分け方@」 2003.11.12
Vol.5 「冬の定番 ラバージグ」 2003.10.23
Vol.4 「秋の爆釣シーズン」 2003.10.8
Vol.3 「秋の爆釣シーズン 釣れない日には」 2003.9.25
Vol.2 「秋っぽい状況になって」 2003.9.18
Vol.1 「今年の夏のバスは釣れ方」 2003.8.25



Vol.50 「ロッドの破損防止に関して」 2012.11.21


 今回はロッドが何故破損するかと、その防止法について書いてみました

 長年釣りをしていると誰でもロッドを折ったり破損させた経験がある筈です。 店主もルアーフィッシング歴40年の間に10本のロッドを折っています。

 その全てを記憶しており、
 ・友人からプレゼントされたグラスロッドを室内でぶつけてトップを折った。
 ・安物のパックロッドを無理に曲げてトップを折った。
 ・スピニングをベイトに改造したが、ガイド位置の為に曲がり方が悪く折れた。
 ・安いツーピースのロッドで、根掛かりを外す際に無理に曲げて折れた。
 ・15年以上使ったロッドが経年劣化によるヘタリが原因で折れた。
 ・バスボートに積んでいたロッドが、エレキの上げ下げの際にラインが絡んで折れた。
 ・上記と全く同じ原因で、同じ機種のロッドを2週間後に再び折った。
 ・アルミボートに積んだロッドを取り出す際、テップが絡んでいた事に気付かず折った。
 ・ガイド中にゲストが振ったロッドのルアーが、店主のロッドに直撃して折れた。
 ・根掛かりを外したラバージグがロッドを直撃し、その後で魚とのファイト中に折れた。
以上である。

 これを見れば判るとおり、殆どが人的なミスによる破損である。 つまり釣り人自身が取り扱いに注意すれば、かなりの率でロッドを折る事故が防げるのである。

 当店にはロッドの修理依頼が頻繁にあるのですが、ロッドの折れの多くは、
 ・車や家のドアで挟んで折った。
 ・車のパワーウィンドーで挟んで折った。
 ・根掛かりを外そうとして無理に曲げて折った。
 ・キャスト時や魚とのファイト時に突然折れた。
である。

 ドアや窓で挟んで折るのは完全な人為的ミスなので特に説明は要らないだろう。 根掛かりを外そうとして折るのは「しの字曲げ」が殆どの原因である。 ロッドはラインバット部との角度が90までであれば折れる事はまず少ない。 だが、極端に曲げて平仮名の「し」の字の様にロッドが曲がると極めて折れ易くなる。 スローテーパーのグラス・低弾性カーボンやソリッッドブランクだと折れ難いが、高弾性カーボンで薄いブランクのロッドは極端な曲げ、特に急激に曲がると折れ易い。 これは根掛かりを外そうとしてロッドをあおる様に曲げる事で起きる。 軽くあおっても外れない根掛かりであれば、ロッドとラインが一直線になる様にして、真っ直ぐ引っ張って外す方が安全である。

 ここで気をつけたいのは、外れたルアーが一直線に自分に向って飛んでくる事で、必ず身体の中心をずらしてラインを引っ張って下さい。 身体に直撃すると針が刺さって怪我をする事もあり、自分だけでなく周りの人の所に飛んでいかない角度で引っ張って下さい。 店主も顔面直撃の経験が2回あり、一度は目の部分に当ったが、強化ガラスの変更グラスのレンズが割れただけで、幸いにも失明する様な大事には至らなかったという怖い思い出があります。

 「しの字曲げ」は電撃アワセと言って身体ごと反り繰り返る様なアワセをする場合にも起こります。 フッキングは針先が数cm動いて魚の口に刺されば良いので、ビシッと瞬間的にベリー〜バットのパワーを針先に伝えれば良いのです。 いくら力を入れて大きくアワセたつもりでも、グィ〜ッという感じのアワセでは手に持った釘をカベに突き刺そうとするのと同じで深く刺さりません。 ハンマーで釘を打ち込む様に短く鋭いアワセの方が刺さり易い事も覚えておいて下さい。

 突然ロッドが折れる場合の原因は、見えないロッドの傷による事が多いです。 ロッドをあおって根掛かりを外した際に、飛んできたルアーがロッドを直撃する事があります。 その際にロッドの表面が傷付いていなくとも、局部的・瞬間的にロッドが凹んでロッドブランク内のカーボン繊維が断裂する事があるのです。 ロッドに傷が付いてないので安心して使い続けると、キャスト時やファイト中に一定以上の負荷が加わった瞬間に繊維破断で弱くなっていた部分で一気に折れてしまうという訳です。 今回、この記事を書こうと思った店主のロッドの折れの原因がこれです。 これを防止する為にも、軽くあおって外れ難い根掛かりはロッドとラインを一直線上にして引っ張った方が良いのです。

 同じ様な理由で折れる原因としては、バックスイングの際に後の木等にロッドを当ててしまったり、狭いボート上で同船者のロッドと当ってしまった場合などがあります。 ただ、ここ何年か前から別の理由で折れるロッドが有り、しかもバット部の太い箇所でも折れる物が増えています。 原因はパンチング等で用いるヘビーウェイトのタングステンシンカーにありました。 ボートデッキにロッドをベルトで固定してもテキサスリグのシンカーはラインに通してあるだけなので、結構跳ね回ります。 大型バスボートでもラフウォーターを走るとバウは大きく上下し、バウ側にグリップを置くと跳ねたシンカーがガロッドにガンガンと当る事が起き、それがブランクを傷める原因となるのです。

 ボートの跳ねのパワーは馬鹿にならないもので、以前にカーペット張りのバスボートデッキに固定したロッドに取り付けてあっマグネシュウム合金製のスピニングリールのハンドルが、ラフウォーター走行後に折れていたという方も居られますので。 これを防止するにはポークが乾かないようにスポンジが内側に貼ってあり挟み込む構造増のポークセイバー等でシンカーをロッドを包んでしまうと良いでしょう。

 折れたロッドは、修理可能な場合であっても決して元通りにはなりません。 実用可能な程度に修理可能な事は結構ありますが、それでも費用が掛かりますし、修理不可能な場合だと買い直さねばなりません。 それより愛竿が折れたショックや、その日釣りが出来なくなったショックの方が大きいかもしれません。 折れの修理が無くなれば当店としては利益も少なくなるのですが、ロッドの折れは無い方が良いに決まってますからね。 修理の費用が浮いた分だけ、当店で何か買い物をしたり、新しいカスタムロッド作製や改造の資金に回してもらえれば幸いです。



Vol.49 「フィッシングプレッシャーについて」 2012.9.7

 今回はフィッシングプレッシャーについて思いついた事を書いてみました
フィッシングプレッシャーとは、簡単に言えば魚がスレた状態の事です。 スレていない魚は実に無警戒で餌やルアーを簡単に喰ってくる事が多いのですが、スレてくると餌の仕掛けやルアーを見るだけで逃げる様にまでなってしまう事もあります。 管理釣り場でのトラウト釣りをした事のある方なら、放流したての魚は簡単に釣れるが、時間経過と共にスレて釣り難くなる経験を何度も味わっておられる筈だ。 そこで魚に警戒心を抱かせないようにラインを細くしたりルアーを小型化したりします。 もっとも、バス釣りでは、逆に強い興味を持たせる為にアピールの強い大型で動きの激しいルアー(ビックベイト等)に変える等する事も有効な場合がもありますが・・・。

 昔の釣り人のファッションは地味で目立たない物が多く、これは派手な色で魚に警戒心を持たせないようにする為であり、動きも極力小さくしたものです。 渓流釣りでは「木化け・石化け」という諺があり、釣りの為には自然に溶け込む必要が有ると言う教えです。 店主も以前に迷彩服に身を包み渓流釣りしていた頃、手首だけでキャストしてルアーを引いてくると、水に立ち込んでいる足元までアマゴがチェイスし、ルアーをピックアップすると見失ったルアーを探してアマゴが足の間をウロウロと泳ぎ回るという経験を何度もしています。 ですがバスフィッシングが一般的になってからは釣り人のファッションも派手になってきており、カッコ良いのですが釣りという意味ではマイナス要素に思え、店主も赤いジャンパーを着ているとクリアーウォーターでは釣果が落ちていたと感じます。
 服ではありませんが、以前にバスボートディーラーのスタッフから、「赤いバスボートは、バスが一番釣れないボートのカラーですね」と教えられた事もあります。

 魚に警戒心を与えるのは視覚に影響するものだけではなく、音・振動も大きな要素です。 アメリカの餌釣りでのバス釣り名人の本を読んだ事があるのですが、アルミボートは金属音を出してバスに警戒されるので木製のボートを使うそうです。 しかもポイントの数百m手前でエンジンを切って木製パドルで静かに近づき、ポイントに仕掛けを投入してから再びパドルでバックして離れた場所で待つというものでした。 以前に書いたかもしれませんが、河口湖でスキューバで潜ってバスを観察する人の話もあります。 溶岩帯の溝をバスが群れで移動している時に、ボートのエレキのプロペラが水を切るシュッシュッという音が聞こえてくるとバスの群れが移動を止め、更に魚探のトランデュサーからのプップッという発信音が聞こえてくるとバスは胸ビレを使ってバックしていったと聞かされました。 ウィードが繁茂しているエリアではウィードが音を遮ってくれますが、反響し易い岩盤のエリアでは魚探をオフにしたり、風上から風任せで接近する事が有効な事も多いと言う訳です。 もっとも、音の反響し易さを利用し、岩盤質のダム湖でトップの釣りをする際、遠くや深場のバスが着水音
に興味を持って近づく事も多いので、着水後のポーズ時間を長めにとった方がヒット率が高いという逆転の発想もありますが。

 店主は最近、近所の野府川でルアーで鯉を釣ることが多いのですが、冬場は足音にも然程警戒しなかった鯉が、夏場にかけてナマズ狙いの釣り人が増えると足音に警戒して逃げる魚が多くなると感じています。 草を踏み分ける音には無反応でも、コンクリート護岸の上で小石を踏んだジャリッという音には10m以上離れていても警戒して逃げる事が多いです。 それだけではなく、リールのクラッチを切るカチッという音でも逃げる事さえあります。 クラッチを切る時は何事もなくても、キャスト後にルアー(鯉釣り用に作ったスモールラバージグであるコイラバ)をフリー流れに乗せ、鯉の鼻面に通し易い位置でクラッチを戻すと、その途端に鯉が逃げる事は非常に多いです。 これはクラッチを戻した際のカチッという音がラインを通して水中に伝わっている為だと思われます。 そこで店主はクラッチを戻す際に、スプールを指で押さえながら静かにハンドルを回し、コクッという程度の小さい音に抑える様にして対処しています。 こればバス・トラウトでもプレッシャーの高い釣り場で応用が効くと思えますので参考にして下さい。


Vol.48 「風のお話」 2011.10.22

 今回は釣りと風の関係について話をしみましょう。

 風は、釣りにとってプラスに作用する場合もあればマイナスにも作用します。 一般的に多少風がある方が良く釣れ、琵琶湖などでは南風はダメで北風は釣れると言われますが、釣りスタイルによっては当てはまらない事もあります。 そこを理解していないと、自分の釣りスタイルに合わない情況で釣りをしているのに、「良い情況なのに何故釣れないのだろう?」と悩む事になりかねません。 そんな話を書き進めてみましょう。

 風が吹くと魚が釣れ易くなるのは、ある意味で事実です。 夏場等は風による波で強い陽射しが弱められ、鳥等の外敵から発見され難くなる為に、魚が活発に行動する様になるからです。 更に風が起した波は水面の表面積を増やしたり白波を立てることで空気中の酸素を取り込み易くするので、高水温の溶酸素量が少ない時期は魚を活性化させる要因になると考えられます。 風は表層のプランクトンを風下側に吹き寄せるので、そのプランクトンを食べる小魚が集まり、更にその小魚を狙う大型フィッシュイターも活性化するという図式も成り立ちます。

 琵琶湖などで北風の方が良いとされるのは、湖流との関係があるからだと思われます。 太平洋側に流れる河川なども同じで水は北から南へ流れています。 ところが、この様なフィールドでは南風が吹くと表層の水に北への流れが発生し、海でいう二枚潮の様な状態となってしまいます。 魚は流向性といって流れに向う姿勢をとる習性があるので、通常と異なる方向への流れへの戸惑いや、上層・下層の流れがが逆という居る水深を変える際の姿勢の取り辛さ等が悪影響を起すのだと考えられます。 また、攪拌現象によるターンオーバーの様な濁りの発生や水温・溶酸素量の変化が起こる可能性もあり、それも原因の一つと思っています。 それ故に流れと同方向への風の方が釣りには向いていると言えるのでしょう。

 風もほどほどであれば良いのですが、強風となれば釣りになりません。 それでも超大型魚は波にもまれてフラフラになった小魚を食い易くなるとして強風になると釣行に出かける釣り人も存在しますし、釣り難くなればなるほど他人の知らないピンスポットで釣果を出す事で試合に勝てると喜ぶトーナメンターも居られます。 ですが一般の方には強風は辛いだけであり、特にボートでの釣りの場合は事故の危険性もあるので嬉しいものではありません。

 強くない風であってもマイナスの場合はあります。 冬や早春の低水温期だと、北からの冷たい風は水温上昇を妨げ、寒冷前線による冷たい雨を伴うと最悪の条件となります。 適水温であっても、秋の水温下降時期は水を攪拌してターンオーバーを増幅させるので良くない事が起こる場合があります。 これ以外にも、店主の様にバスを水面まで誘い出して釣るトップウォーターの釣りの場合、水面が波立つとルアーが作り出す波紋が消え、集魚能力が低下して釣り難くなる場合もあります。 バスが高活性であれば波風でより活性化し、バズベイトやラトル入りペンシルベイトの超アップテンポウォーキングドックで爆釣した事は何度もあります。 しかし、低活性時のロングポーズを必要とする条件下ではベタナギがベストで、サザ波が立つ程度の風であっても悪条件となってしまう場合もあるのです。

 南からの風にも良いところがあります。 暖かく湿った空気を運んでくるので、水温が上がり易くローライトという釣りに向いた条件を作り出してくれることが多いからです。 ただ発達した温暖前線と湿った空気の為に土砂災害をもたらす様な豪雨になる場合もあり、大増水やドチャ濁りを引き起されると困りますが・・・。 ただ店主は真夏でも快晴条件であると、サザ波を起す程度の南風を歓迎する時があります。 魚は流れがあると障害物の流れに対して裏側にポジションする習性が有り、琵琶湖のウィードで言えばウィードパッチの南側になります。 真夏の快晴だとバスはウィードが作り出すシェードの中に居るのですが、本来居たいはずの南側は強い陽射しが当たるので、ウィードの中や広い恒状ウィードの下に入り込むか、陽の届き難い深場へ移動してしまいます。 パンチングやフロックゲームであれば攻めれるのですが、ハードルアーによるトップウォーターゲームには非常に辛いです。 ここで南風によって表層に南から北への流れが生じると、恒状になっていないウィードパッチでも流れの裏側がシェードとなり、トップウォータープラグで攻め易くなるのです。 この為、一般的には釣り難くなると言われる南風ですが、トップウォータープラグゲームを好む店主には好条件となる場合があるのです。

 ついでに太陽の向きついても一言。 トップウォーターゲームで太陽を背にキャストすると、ルアーを追うバスからは逆光となってルアーを見失ったりミスバイトの原因になります。 近づいてくるルアーは確認し易いので真上に来た時に下から喰い上げる事もありますが、全体的にみればバスがルアーを追う場合に順光となる方がヒット率は高くなります。 アンダーウォーターの釣りにだと影響は少ないのですが、トップウォーターの場合は影響が出やすいのです。 その為に琵琶湖のボート釣りだと、夏の日中は北から南へボートを流しながら釣る事が多くなるのですが、ここで北風に吹かれるとボートが進んでしまって非常に釣り難くなってしまいます。 向い風ならエレキでボート位置をキープできますが、追い風ではボート位置を保つのが困難なのです。 エレキの向きを逆にしてもボートは横向いてくるし、エレキの引き起こす水流をバスの方へ向けるとバスが警戒してしまう問題もあるのです。 これも店主が南風を好む場合がある理由の一つです。

 ここまで書いた様に、店主は琵琶湖においてボートからトップウォータープラグゲームをする事が多いので、一般的に嫌われる無風ベタナギや南風を好む場合があります。 フィールドや釣り方が異なっても、人それぞれの釣りスタイルによって一般的悪条件が好条件となる場合があると言う訳です。 自分の釣りスタイルと、本当に自分にとっての好条件と言うものを一度見直してみると面白いと思いますヨ!


Vol.47 「釣り人の健康管理」 2011.2.26

 今回は釣り人の健康管理について書くのですが、今月号のBasser誌にアメリカで活躍中の大森プロが腱鞘炎で苦しんだ記事を見て書く事にしたものです。 以前にVol.27で「身体のメンテナンス」という記事を書いた事もあり、重複してりる内容かもしれませんが読んでみて下さい。

 スポーツ選手には付きものの怪我などの身体的トラブルは、プロだけではなく趣味で楽しむアマチュアにも起こり得るものです。 実は店主の私も腕の腱鞘炎などの身体的トラブルを抱えており、非常に苦しんだ経験があります。 皆さんにはその様なトラブルに見舞われる無く釣りを楽しんで頂きたく思い、筆を書き進めます。

 私の身体的トラブルは、釣り以前に警察官時代の逮捕術全国大会県代表メンバーでの訓練中に腰・膝・足首・手首・親指の各関節を痛めており、それ以外にもオートバイでのトライアル練習中等に足首・手首・肋骨に大きなダメージを受けた事があります。 30代の頃はあまり気にもしませんでしたが、40代・50代になると古傷が痛む事も多くなり、時には歩行時にビッコをひく事もありました。 それとは別に釣りによって腕が腱鞘炎となり非常に苦しんだ時期があり、現在も腱鞘炎は完治していないので悪化させない様に常に注意しています。

 釣りによって引き起こされた腱鞘炎は腕の使い過ぎでした。 私の釣りスタイルを知っている方は御存知の通り、私はハードルアー主体の釣りであり、しかも接近戦でアップテンポに攻める為にキャスト回数が非常に多いのです。 まだJBバスプロとしての活動をしていた40代の頃は、春になると連日早起きして大江川・五三川へ出撃していました。 春に最も得意とするのがスピナーベイトのガーグリングで、1/2ozに6番ブレード・3/4ozに7〜8ブレードを装着したボリュームのある物を所謂マシンガンキャストで投げまくっていたのです。 この釣法は夏場のカバー周りでも有効の為、早春の2月後半から7月位まで続けていました。 腕が壊れたのは47〜48歳頃の7月に開催されたJBマスターズ霞ヶ浦戦の時でした。 プラクティスの時点で腕に痛みを覚え始めていたのですが、初日の試合が終わった夜に事件が起きました。 その日、私は大山スロープで車中泊していたのですが、夜半に非常に強い風が吹き、車が揺れるので目が覚めました。 起き出してみると水際に並べられたアルミボートがスロープに打ち寄せる大波で流されそうになっていました。 スロープに並べられていたアルミボートは200艇位あり、それらの大半が流されそうな危機的状態になっていたのです。 JB本部に至急の連絡を入れると同時に車中泊していた選手数十人と5〜6人位のグループに分かれてアルミボートを波の影響を受けない位置まで移動させる事となったのですが、回りは暗闇でフル装備したアルミボートは200kg前後になっており大変な重労働です。 既に水を被って半沈状態のボートもあり、エンジン・エレキ・バッテリー・デッキを外して運んだ後にボートをひっくり返して水を出さないと持ち上げられないケースも多くありました。 数時間の作業で何とか全てのボートを安全な位置まで引き上げましたが、センターキールが折れたりエンジンが完全に水没したりして廃船となりそうなボートも数艇出たようでした。 その作業後、私の腕には激痛が走り、夜が明けた2日目の試合はまともにロッドを振れない状態にまでなってしまっていたのです。

 暫くは整形外科へ通い、テニスコーチをしておられるお客様から握力アップの運動をする様にアドバイスをもらったりして回復に努め、なんとかロッドが振れる様にはなりましたが、2DAYトーナメントはさすがに辛く、プラクティス時にはワンキャストもせずに魚探と目視だけでチェックを入れる様にする程で、他にも理由はありますがバスプロを引退する要因の一つでもありました。 現在も琵琶湖でのガイド中に腕に痛みを覚え始めると、ロッドを置いてゲストの釣りを見ながらエレキ操作に専念し、30分位は腕を休める様にしています。 釣り以外でもロッド作業でスレッドを巻く為にロッドを回していると、腕が引き攣ってくる事はしばしばあります。 腱鞘炎は一旦発症すると完治が難しいらしく、恐らく棺おけに入るまで付き合っていかなければならないと思っています。

 若い頃であれば新陳代謝も活発なので回復も早く、多少の無理が利きますが年を取ってくるとそうはいきません。 年といっても60代70代ではなく、所謂厄年の40代前後から起こり得るのです。 無理が利かなくなると同時に若い頃に傷めた古傷が疼き出すのもこの頃からで、多くのスポーツ選手が現役引退する時期と重なります。 私は40歳の時から10年間バスプロ活動をしていましたが、よくもったと思っています。 現在バスプロでメジャーな方々の多くが40歳を超えて50代の方も増えてきているので、ボディケアが行き届いていないと引退を余儀なくされるバスプロも増えるでしょう。 特にガイドプロなど年間200日以上釣りをされている方は要注意でしょう。

 しかし前述し通り、これはプロに限らずアマチュアの一般釣り人にも起こり得る可能性があるのです。 それを防止するには、やはりボディケアは必要です。 仕事で疲れた週末に釣りでリフレッシュするのは非常に良い事ですが、逆に疲れが残るハードスケジュールの釣りは程々にしましょう。 釣りの際もガツガツ釣るのではなく、休憩を入れてノンビリと空を見上げながらコーヒーでも飲む時間を入れましょう。 普段から十分な睡眠をとって身体を休め、正しい食生活を送り、必要ならビタミンなどのサプリメントも補給しましょう。 また、ある程度の筋力トレーニングも必要です。 適度なジョギング・ウォーキングも良いですし、寝る前に数十回のスクワットや腹筋運動をしたりするのも良いでしょう。 入浴中にお湯の中でユックリと手を開いたり握ったりする運動を毎晩100〜200回するだけでも握力が付いて腕の腱鞘炎予防にもなります。 私が店の営業時間前にカープフィッシングに行くのも、堤防の斜面を降りたり登ったりしながら数Kmを歩く事と、適度な回数のキャストをする事で全身運動となるのが一つの理由なのです。

 若い頃に身体を鍛えた人はその貯金で年をとっても多少の無理が利き、私も警察官時代の体力的貯金のお陰で何とかなっていた事もありますが今や弾切れ状態です。 バスプロなどの特殊な方々を除けば釣りは遊びですが、遊びにも体力は必要です。 若い皆さん方も、何時までも釣りを楽しむ為に多少の体力トレーニングやボディケアはなさってくださいね!



Vol.46 「ウィンターバスフィッシングのヒント」 2011.1.20

 今回は冬季のバスフィッシングのヒントになりそうな事を書いてみましょう。

 水温が低い冬季のバス釣りには難しいものがあります。 バスの適水温より遥かに低い水温下では釣り辛いのは当たり前ですが、盛期の釣りと比較すればバイト数が極端に少なくなるのでバスの反応からパターンを導き出すのが困難な事も理由だと思います。 もし冬季におけるバスの行動パターンが判るのであれば、今よりもずっと楽にバスを狙えるのではないでしょうか。

 実は昨日ルアーによるカープフィッシングをしていて、バス釣りにも応用できるのではないかと思えるヒントに気付いたのです。 バスもコイも適水温はほぼ同じですし、産卵期も同じです。 つまり冬季にも産卵の為の栄養を体内に蓄える必要があるので、低水温期であってもある程度の捕食活動をしています。 それ故に雪が降り積もった2日後の冷たい雪解け水が入り込む状況下でもコイがルアーにヒットしてきたのでしょう。

 一般的な考え方をすれば最も水温が高いエリアのコイの方が喰ってくる確立は高いと思われるのですが、家庭からの温排水が流れ込む水路下や日当りが良い流れが穏やかな場所のコイは全く釣れませんでした。 釣れないと言うよりルアーに対して何の反応も示さないか、逆にルアーを嫌う反応を示したのです。 釣れた場所はというと、盛期に釣れる場所と同じ瀬尻や流心にあるハンプの裏側などで、水温的にも低いと思われる場所でした。 これは何故か?

 冬のバスは釣れれば大型がヒットしますが、小型のバスは温排水などで暖かいエリア以外ではあまり釣れません。 魚であるバスは変温動物なので水温によって体温も変化します。 質量の多い大型のバスは一旦体温が上がれば冷たい場所に移動しても直ぐには体温が下がらないので長時間活動できますが、質量の少ない小型のバスは直ぐに体温が下がるので冷たい場所では長時間の活動ができません。 風呂の湯を桶に汲んで置いておくと、桶の湯の方が直ぐに冷めてしまうのと同じことです。 また大型のバスは体脂肪分も多いので、それによる断熱効果で内蔵や筋肉が冷え難いのも理由だと思われます。 つまり、大型のバスは暖かい場所で身体を温めてから、冷たい場所で捕食活動してる個体も多いと考えられるのです。

 これから考えると、前述した温排水の流れ込みや日当りの良い場所に居たコイはまだ身体を温めている状態の個体の為に喰ってこず、瀬尻や流心のコイは活動に適するだけ十分に体温が上がっていた個体だと推測できます。 そして上流から餌が流れてきそうな瀬尻や溜まり易い流心のハンプというフィーディングゾーンで捕食活動をしていたと見るのが正しいのではないでしょうか? これをバスに当てはめてみると、水温の低い場所であっても捕食に適したフィーディングゾーンであれば、捕食に来たアクティブなバスが居る確率が十分にあるという事になります。

 日当りの良い場所や温排水の入る暖かい場所でもバスは釣れますが、より暖かい水温を好む小型バスが多くなると思います。 日中は日当りも良く人間生活や工場等からの温排水も入り易いので、その様な条件下では小型バスは活動的になります。 それに対し大型バスは夜から明け方にかけての冷え込みで体温が下がっており、質量が多い為に体温を上げるのに時間がかかります。 その為に大型バスの体温が上がりきるのは、水温が下がり始める夕方から夜にかけになると考えられます。 そして夕方以降に体温が十分に上がっている事が、冷たい冬のナイターフィッシングで大型のバスが釣れる理由なのではないでしょうか?

 総合的に考えると、
・バスが身体を温められる日当りの良い場所・温排水・安定し水温の湧き水等の存在。
その近くに水温が低くともフィーディングに適した場所が存在する。
・大型バスの体温が上がりき、気温・水温が下がり始める時間帯からのタイミングで釣行。
これらが冬の大型バスに出会えるヒントというのが店主の考え方です。

 残念ながら、この時期の店主はロッドの修理・改造・カスタムで年間最も多忙なので、なかなかバス釣りに行けません。 またバスフィッシングで得意なトップウォーターの釣りにも厳しい時期なので、簡単には実証できそうもありません。 ナイターフィッシングが好きでない事もありますので、寒い冬季のナイターフィッシングを物ともしないアングラーに実証を御願いしたいですネ! もっとも既にそんな釣り方で大物を釣り上げている方も居られますので、間違いではないでしょう。




Vol.45 「新たなるルアー対象魚の開拓」 2011.1.9

 最近強く感じるのは、どのジャンルの釣りも極端に専門化し過ぎている事である。 それはそれで良い事ではあるのだが、反動も大きく悪影響も多いと思える。

 昔は不況になると釣りが流行ると言われたが、それは費用がかからず手軽に楽しめたからである。 安い竹のノベ竿、テグス・ハリス・針・オモリ・ウキと仕掛けもシンプルで、餌も掘ってきたミミズや小麦粉にサナギ粉を混ぜて練った物で十分楽しめた。 ところが最近の釣具は専門化し過ぎており、ロッドやリールが5万円以上しても当たり前、ルアーも数千円以上の商品がゴロゴロ存在する。 店主が1本づつ作るカスタムロッドより高い市販品が多いのは疑問ですよネ! これはヤング層の釣り人つまり初心者が少ない為に、現在釣りをしているユーザー層だけで収入を得ようとする釣具業界の企業戦略としか思ません。 確かに高度に専門化した釣りは面白いが、釣りが難し過ぎたり安価で性能の良いお手頃な釣具が入手し難くなり、余計に初心者が増えないという悪循環のスパイラルに陥っている。

 釣りブームの頃には中・高校生の釣り人も多く、彼らは現在30〜40歳台の年齢になっており、子供が居られる方も少なくない。 しかも多くの方が釣りを止めてしまっていても、まだ当時の釣具を持っている様だ。 そんな方々が子供を連れて昔の釣具で手近な場所で釣りを楽しむようになれば、その子供達も釣りを始めて初心者が増えるのではないでしょうか? そうすれば、回り回って皆さんが安価で性能の良い釣具を入手できたり、ご自身も手軽に釣りを楽しめる様になれると考えています。

 ここ数年、店主がルアーでの鯉釣りを広めようとしているのも、それが理由です。 店主がルアー釣りを始めた35年以上前は、バスの数も少なくトラウトの管理釣り場も現在の10分の1以下位しか存在していませんでした。 その為にルアーで釣れるならばどんな魚種でも楽しく、ライギョ・ナマズはもちろんウグイ・ハス・ニゴイを狙ったり、フライでオイカワやアブラバエ等も釣って楽しんだものです。 タイトルは「新たなるルアー対象魚の開拓」ですが、原点復帰して何でも狙ってみましょうという事です。 海水魚だとメバルやアジの様な以前ルアーの対象外だった魚も釣られる様になっているが、淡水魚では対象魚が増えていません。 そこでバス・トラウト類と雷魚・ナマズ等の従来の対象魚以外に、淡水魚で新たにルアーで狙えそうな魚を考えてみました。

○ ルアーで確実に狙える対象魚
・ コイ
 これは言うまでもなく、店主がかなりの数を狙って釣り上げています。 バスタックルでスモールラバージグ+クローワームを使えば小河川で平均60〜80cmクラスのコイ釣りが思い切り楽しめます。 近いうちに一般的なルアー対象魚となる可能性は高いでしょうし、いずれ他の釣方・ルアーも開拓されるでしょう。 鯉は当然の様に食用になりますが、最近の日本人はあまり食べませんし店主も食べません。 ゲームフィッシュとして大切に扱って楽しみましょう。

・ ニゴイ
 バス・ナマズ・コイ釣りの外道として釣れ、サクラマス・サツキマス・河川でのシーバス釣りの外道としても有名です。 40〜50cmクラスが多いが70〜80cmクラスも居り、流れの強い河川で大物がヒットするとメチャクチャ良く引く。 底生の餌を喰う習性と光り物に反応が良い事から、スプーン・メタルジグで狙い易い。 棲息域も広いので十分ルアーの対象魚になります。 食用になりますが小骨が多く鯉よりは不味との事で、店主も一度食べた事があるだけです。。

・ ウグイ(マルタウグイ)
 渓流から汽水域まで河川・湖沼に多く生存している。 20cm前後が多いが、大河川のウグイや汽水域のマルタウグイは40〜50cmにもなる。 色々な種類のルアーに反応するが、小型のスプーン・スピナーへの反応が良い。 「ハヤのひとノシ」と言われる様に、ヒット直後の引き込みの強さが魅力である。 渓流用・管理釣り場用のULクラスのタックルで狙うと非常に面白い。 ダム湖のイワナ釣りの外道として悩まされもしましたが、早春に長良川の伊自良川との合流地点で30〜40cmクラスの入れ食いを楽しんだ思い出もある。 場所や時期によっては美味な魚で、長野県の諏訪・佐久地方では名物で専門料理店もあるそうです。 ほとんど全国に居るので、対象魚にし易い魚である。

・ ハス(ケタバス)
 琵琶湖と福井県の一部にしか棲息していなかった魚だが、琵琶湖産の鮎の放流に混じって全国に広がった国内外来種であり、その為に琵琶湖から鮎を入れたエリアには棲息している。 魚食性が強く、最大30〜40cmにまで成長する鯉科の魚であり、バス釣りが一般化するまではハスをルアーで釣る為に琵琶湖へ通う人もいた。 ミノー等に良く反応するがスプーン・スピナーも良く、特にシルバーにブルーが入った細身のスプーンに良くヒットする。 バスや鯉の様なパワーは無いので、ULクラスのバスロッドや軟らかいトラウトロッドの方が楽しめる。 滋賀県の五箇荘の方では魚田楽にして食べるらしく、同地出身の母からは美味だと聞かされている。

・ テラピア
 低温に弱い為に温泉地や都会の工場・家庭からの温排水の入る河川・湖沼に多く棲む外来種で、ナイルテラピア等の種が居る。 水温が25℃以上あれば年中産卵する雑食性で、温泉の排水池で残飯を餌に飼える為にに「イズミダイ」の和名があり、美味なので温泉宿で刺身で料理にでたりファーストフード系で使われている。 体型はブルーギルに似るがヘラブナの様な口の使い方をし、警戒心が強いところもあのでブルーギルより喰わせとフッキングが難しくゲーム性がやや高い。 大型になると引きはかなり強く、手の掌クラスはフライ釣りの対象魚としても面白い。

○ ルアーで狙える可能性のある対象魚
・ ワタカ
 琵琶湖と淀川水系特産の魚であったが、ヘラブナの養殖放流に混じって各地に増えている国内外来種である。 琵琶湖ではバスの為にで数が減ったとされているが、バス釣りで知られる岐阜県の大江川・五三川等だと大群をなして泳いでいる姿は珍しくないので環境の影響であろう。 完全な植物食の魚と言われるが、小型ジグヘッドに1〜2インチのシャッドテールワームの組み合わせで釣れる。 どちらかと言えばフライの対象魚として面白く、緑系カラーのニンフフライに良くヒットする。 30〜40cmに育つが、ウグイやハスと同じくウルトラライトタックルや4番以下ラインのフライタックルがお勧めである。 食用になるが、傷むのが早く流通に向かないそうである。

・ ヘラブナ
 琵琶湖と淀川水系特産のゲンゴロウブナを昭和時代に改良した種で、元は食用だったらしいが釣り対象魚として各地に放流されて広がった国内外来種である。 バスの外道として時折釣れるが、本来プランクトンイーターなので釣れるのはマブナとの混血種との説もある。 ミノー・シャッド・バイブレーションプラグ等へのヒット例が多く、店主もシャッドラップラパラを丸呑みにされた経験があるし入れ食いの話も聞くが、確実に狙って釣る方法はまだ確立されていない。 産卵期のいわゆる「のっ込み」の時期に、トラウト管理釣り場用の小型ルアーで狙える可能性が高いと思われ、ワタカと同じく小型シャッドテールワームやニンフフライも良いかもしれない。 店主はエッグフライの様な形状の管理釣り場用ルアーで狙ってみたいと考えている。 生息域は全国各地に広まっているので、対象魚として確立させたい魚種である。

・ マブナ
 ヘラブナほど大きくならないが、雑食性の為に時折ルアーで釣れたという報告があり、5cm位の小型ミノーへのヒット例が何件か報告されている。 魚体自体が小さいので口も小さく、大型のルアー・ワームでは釣れないのでバス釣りの外道としてはあまり聞かない。 最近はメバル・アジ・キスを狙う為の極小ワームやジグヘッド等も多く市販されているので試す価値はあると思う。 生息域は広いので、ヘラブナ同様にルアー対象魚となれば面白い存在である。

・ ウナギ
 完全な魚食魚であり、かなり獰猛な性格なので十分にルアーの対象魚となり得ると思える。 バスの外道でのヒット例報告はあるが、その数は少ない。 夜行性で普段は石積みの間等の穴の中に居るので日中に狙うのは困難だが、ナイターで小・中型のワームを使ってボトムを攻めれば可能性があるだろう。 天然ウナギとなれば美味ゆえに、単に釣りの楽しみ以外に狙う価値は十分あると言えるので、既に密かに狙っている人々がいるかもしれない。

・ ボラ
 汽水域の魚であるが河川中流の完全な真水域まで上るので、夏季には各地に多く棲息している。 クロダイの筏釣りの外道として有名だが、引きが強く釣りのターゲットとしては非常に面白い。 卵は高価なカラスミとなり、綺麗な海水域でのボラの身は非常に美味で刺身にすると鯛よりも美味い。 ルアーでのヒット例はあるもののハッキリしない点が多いが、毎年冬季に温排水のあるエリアにてフライで狙って釣っていた友人がおり、狙って釣れる事は間違いない。 フライの場合はポーラーベアー(白熊の毛)を巻いたストリーマーが良いとの事だったので、シルバー系やアワビ貼りの細身スプーン等で狙えるのではないかと思える。 店主としては鯉に次ぐ狙ってみた対象魚No.1である。 何しろ大都会のド真ん中の河川でも大群で泳ぐ姿は珍しくないので、ルアーで狙って釣る方法を確立すれば格好の対象魚となるからである。 もっとも都会の汚れた河川で釣ったボラは食用には適さないだろうが・・・。

・ オイカワ等
 店主の地方ではシラハエと呼ぶオイカワやアブラバエ等の一般的にハエと呼ばれる鯉科魚類である。 せいぜい10cm前後のサイズなのでルアーで釣り難いが、店主はオイカワもアブラバエも小型のスプーン・スピナーで何尾か釣った事がある。 オイカワはフライ釣りのターゲットとしては知られており、冬季でもドライフライにアタックする事や、ライズしてもフッキングのタイミングが難しいのでトラウト禁漁期のトレーニング用の魚として重宝された。 4番以下ラインでのフライフィッシングは面白く、専用のフライロッドも存在した程である。 ルアー対象魚と成り得るかどうかは疑問だが、管理釣り場用ULトラウトロッドと極小ルアーなら十分狙えるだろう。 より小型魚を専用の和竿や超極小針で狙うタナゴ釣りの様な「ワビ・サビ」の世界をルアー釣に持ち込める可能性もありそうである。

 さて、読者の皆様のお近くにはどんな対象魚が居ますか? 今年は皆で手近に楽しめる対象魚や釣り方の開拓をしてみましょう。 自分で開拓・研究すれば新たなる発見や楽しみが増える筈です。 是非チャレンジしてみて下さい。


Vol.44 「2010年の釣り予想」 2010.1.22


 2009年は梅雨が長引き夏が無い様な気象情況であった事や、遅くに来襲した台風の影響でシーズン半ばから後半が例年と全く異なった為に非常に釣り難い年であった。 そこで店主の私なりの今年の釣りに関する予測を書いてみる事にした。

○ 釣り全般に関して

 地球温暖化と言いながらも今年の冬は結構寒くて降雪も多い。 昔から雪が多かった年は魚が良く釣れると言われている。 これは山に積もった雪がジワジワと溶け出して地中に染込み、それが地表に湧き水となって現れ河川へと流れ出す事に原因すると思われる。 雨水と異なり、一気に流れ出す事無く一旦山の地面に蓄えられた水は、地中のミネラル分等を多量に含んでいる。 山の栄養分を含んだ水が河川に流れ込む為に、プランクトン等の成長にとってプラスとなり、そのプランクトンを餌とする水生昆虫・小魚も成長し易くなり、更にそれらの水生昆虫・小魚を捕食する大型魚も良く成長するという食物連鎖が効率良く働く為と考えられる。 昨年は降雪量が少なく、雨が多かった為に山の栄養素が薄められた上に、表地表の栄養素が一気に流れ出してしまった為にプランクトンの成育が悪くなり、これが魚の成長にも影響したのだと私は考えている。

 今年は降雪量が多い様なのでプランクトンの成育、そして魚の成長も期待出来るので、非常に良い釣果が期待できる年になると予想している。 ただ、梅雨以降の降雨量や気温の影響もあるので断言できるものではないが、少なくとも入梅位までは十分に期待できるだろう。 雪解け水の影響が少ない平野部の野池等では何とも言えない点はあるが、河川や河川から水が流れ込む湖沼、そして海は好釣果となる可能性が高いだろう。

 また、暖冬の年などは春が早くて魚も早くから釣れ出して爆釣が期待できる等と言われてきたが、過去の例からすると然程でもない。 逆に季節のメリハリが無い為に、バス等の場合は何時産卵期に入って何時終わったかも判らない様になり、スポーニング時期の釣りが成立しない事もあった。 今年の冬は冬らしく寒いので季節のメリハリが期待できる。 いわゆるシーズナルパターンを組んだ釣り方が成立し易いので、教科書通りの釣りが通用するとも言える。 つまり、特殊な釣り方では無く、基本的なセオリー通りの釣り方が最も有効な釣り方になるのではないかと考えられる。 最近では特殊な釣り方やそれに伴うタックルが主流となっている為に、オーソドックスな釣り方を知らなかったり、それ用のタックルを持っていない人もいる。 その様な方々には、基本を勉強してタックルも充実させる事をお勧めしたい。 経験がありタックルも揃っている方々も、オーソドックスなタックルを仕舞い込んでしまって埃を被らせてしまっているかもしれませんね。 そんな方はロッド・リール・ルアーのメンテナンスを早めにやっておきましょう。

○ ビックサイズのバスに関して

 近年釣れている60cm・70cmオーバーのビックサイズのバスが今後も釣れるか否かについて、私なりの推測があります。

 巨大なバスはフロリダバスや、その混血バスであると一般には言われていますが、私はそうだとは思っていません。 確かに池原ダムのバスはフロリダバスの血が入っていますが、全国的・特に琵琶湖で釣れている巨大バスの殆どはフロリダバスの血が入っているとは思っていません。 真実かどうかは断言できませんが、巨大バスの正体はいわゆる三倍体の類と思っています。

 今から15年位前に、滋賀県のの水産試験場がバスの三倍体を作って琵琶湖に放流しているという噂がありました。 その頃、店のお客さんから「滋賀県の水産試験場に勤務する親戚がおり、バスの三倍体の実験をしているという話を聞いた事がある」と聞かされた記憶があります。 当時はまだ外来魚として駆除する等の世論は少なく、逆に資産資源としてバスを利用しようという風潮がありました。 琵琶湖周辺の方がバスの事を「ビワバス」と言うのを聞いた事はありませんか? この「ビワバス」という呼び名はブラックバスではイメージが悪いので、20年位前に滋賀県が一般公募して付けた愛称です。 当時は水産試験場前等に「愛称はビワバスに決定しました」とい垂れ幕まで設置し、新聞報道までされました。 その写真は所蔵している当時の釣り雑誌にも掲載されています。 バスは滋賀県一部の学校給食にも使われ、JR草津駅では「ビワバス弁当」なる物まで販売されていたと聞き及んでいます。 現在も某大手コンビニの弁当に入っている白身魚フライにはバスの身が使われる事があり、バスの身を使った時は通常の白身魚(おそらく北洋に生息するオヒョウの冷凍)より美味しいというアンケート結果が出ているので常時使いたいが、バスは安定的に供給されないのが問題だ聞いた事があります。 となれば、水産産業振興の為に巨大バスを人工的に育成する実験をしていたとしても、まんざらウソや噂ではないのではと思えるのですが、皆さんはどの様に考えますか?

 バスの寿命は概ね14年位で、バスは死ぬまで成長を続けるそうです。 もし15年位前にバスの三倍体の放流実験を数年間続けていたと仮定すると、そのバスはそろそろ寿命であると同時に最大限まで成長している事になります。 私は、これが琵琶湖の巨大バスの正体であり、その一部が稚アユやヘラブナの放流に混ざって全国に広まったのではないかと考えています。 その為に、ここ数年間が全国的な巨大バスのピークであったと思うのです。 ただ、ピークを過ぎれば三倍体の巨大バスは死滅して居なくなる事になります。

 遺伝子を操作された三倍体は通常生殖能力がありません。 つまり卵を産まないので、卵となる養分が全て身になって大型化するそうです。 卵を産まないという事は子孫を作らない一代限りの個体なので、その血筋は絶えてやがて絶滅する事になります。 中には生殖能力を持つ個体も現れるでしょうが、産卵する為に巨大化はしないでしょう。 ノーザンラージマウスバスと亜種であるフロリダバスを混血させると生殖能力のない一代限りの巨大バスが生まれるが、生殖能力を持って生まれた個体は本種であるノーザンラージマウス化して大きくならないそうです。 この為、純粋なフロリダバスが居なくなると巨大バスも生まれなくなります。 フロリダの様な温暖で水深の浅い場所と異なる池原ダムではフロリダバスの純血種同士が交配して繁殖する確率が極めて低いので、純潔フロリダバスが居なくなってくるのに伴って巨大バスが減ってしまったのが、現在の池原ダムの現状でしょう。 それと同じ様な減少が琵琶湖等でも起きると考えられます。

 何年か前に琵琶湖博物館学術研究員が、「琵琶湖南湖の40cm以上のバス8割(確か・・・)の遺伝子が、その頃より10年前の琵琶湖のバスと異なる遺伝子を持っていると」という調査結果を発表した新聞報道がありました。 その学術研究員は池原ダムのフロリダバスとは異なる遺伝子なので、誰かが大量のフロリダバスを放流した可能性があるとしていましたが、南湖のバスの8割が混血する量を考えると国家的プロジェクトの放流でもなければ無理なので、現実的な話ではない。 しかし、何年にも渡り三倍体の稚魚を何万尾も放流実験し、その内の生殖能力を持つ個体が繁殖したり在来の個体と交配したならば、その可能性も高いのではないだろうか・・・?

 池原ダムでは、数は少なくなったが今でも60cm・70cmのバスが存在する。 これはフロリダバスの遺伝子を受け継いだ生殖能力のあるバス同士が交配し、偶然に先祖戻りの様に生殖能力の無い個体が時折産まれているのではないかと思っている。 という事は、琵琶湖等でも今後も巨大バスが産まれる可能性は十分にある事になる。 ただ、生殖能力がなくて巨大化する個体が産まれる確率は未知数であり、産まれたとしても自然界では一つの産卵床から成魚になれる確率は3尾と言われるので、巨大バスが激減する事は間違いないと思う。 もし60cm・70cmを釣り上げたいと思う方々であれば、あと数年がチャンスであり、それ以後は極めて確率が下がると予想している。 ハッキリ言ってもう遅いかもしれない位だと思えるので、狙う方は今年頑張って頂きたい。

 餌を使わないスポーティでファショナブルという事でルアーフィッシングが流行り、有名になり一攫千金も夢見てバスプロトーナメントブームが起き、今はワールドレコードクラスを夢見るバスフィッシングの世界。 だが、釣りとはその様なものなんだろうか? 自然の中で野生の生き物と知恵比べをしたり戯れたりするのが釣りの本質ではなかったのではないだろうか? 異常なバスブームに嫌気がさしてバス釣りから離れた方が、古いタックルを持ち込んで修理・改造して再びバス釣りを始める姿を見ると何故かホッとする。 前段で書いた様に今年はオーソドックスな釣り方が私のイチオシであるので、皆さんも初心にもどって基本的なオーソドックスな釣り方を楽しんでは如何かと思う。


V
ol.43 「続・用水路におけるコイのルアー釣り」2009.9.3

 先回、用水路におけるコイのルアー釣りに関して書いたが、具体的なルアーや狙い方を知りたいという方が多いので、今回はそれについて書きます。

 まずルアーであるが、店主の私は基本的にワーム・ラバージグ系を用いている。 過去に実績があったワームにはパワーホッグ3inやグラスミノーM・同Lがあるが、最近はエコギアのロッククロー3inと2inが一番適していると感じて多用している。 バスと異なり口が小さいので小型のワームが良いが、小さくともボリューム感がある方が良いのだと思う。 テキサス・スプリットショット等のリグも試したが、ジグヘッドやラバージグのトレーラーとして用いるのが最適であろう。

 ジグヘッドは軽量かつ小型のフックの物が良いのだが、通常のバス用ジグヘッドではフックが細すぎて巨大なコイの引きに絶えられない。 これが悩みであったが、今年になって黒鯛用のジグヘッドを用いる事で悩みは解消された。 私が使用しているのはカツイチのデコイSV-30の1/32oz・4番フックと同じく1/16oz・2番フックである。 小型フックにもかかわらずヘビーワイヤーで、おまけにバレ難いネムリ針なので極めて有用である。 ワームは必ず通し刺しでフックを出す事。 コイの口は柔らかく、咥えるというより吸い込む様に喰うので、フックポイントが隠れているとアワセてもスッポ抜けが多発するので注意して下さい。

 ラバージグも軽量かつ小型のフックの物が良い。 バス用スモールラバージグでは、やはりフックのワイヤーが細過ぎる。 これも私はカツイチのフットボール型黒鯛用ジグヘッドのSV-32の3/32oz・4番フックと同じく1/8oz・2番フックにラバーを巻いて自作している。

 ジグヘッド・ラバージグ以外で面白いのがハドルバグである。 値段が少々高いが、極めてリアルなザリガニ型なので大型コイの反応は良い。 但しこれもマス針使用ではとても無理の為、カン付きのチヌ針等を使用している。 コイが水面の浮遊物や虫を捕食している場合はアイバムシが活躍する。 スピナーベイト用トレーラーフックやスプーン用シングルフックのシャンクがやや長い物を用い、フックポイントが下に出る様に通し刺しして使用する。

 カラーであるが、地味な色が良い。 食パンを流して喰わせてから白いプラグやフライで釣る方法がある為に派手で明るい色を選びがちだが、黒・茶・緑系のカラーが良い。 光物にも反応するので、ラメは多少入っていた方が良い様に思える。 明るい赤や紫は明らかに嫌う事が多いので避けた方が賢明である。

 釣り方はサイトフィッシングであるので、良質の偏光グラスは必需品となる。

 基本的にはコイを見つけたら上流側からキャストし、流れに乗せてワームやラバージグをコイの鼻っ面に送り込むのである。 食い気のあるコイならば、これだけで一発で喰ってくる。 川底をついばんでいる奴や水面でパクパクしているタイプは比較的簡単に喰う。 問題は底に張り付いて動かないタイプや流れにのってユックリ泳いでいる奴等である。

 底に張り付いている奴はワームやラバージグを流れに乗せ、底を這いずるザリガニがユックリと流されていく様に演出しながら鼻っ面まで送り込む。 直に反応しなければ鼻先で止めてポーズを入れ、軽くシェイクを入れてみる。 それで反応がなければ大きくシェイクしながらワームやラバージグを水面近くまで持ち上げてからフォールさせるとリアクションバイトしてくる場合がある。 それでも反応しなかったりポジションを変えてしまうコイは全くヤル気のない奴なのでパスして次の獲物を探すのが正解である。

 一番難しいのが流れに乗ってユックリ泳いでいるタイプだ。 これはコイの鼻先より少し上流を通る様に流れにクロスさせてキャストし、水面を泳ぐ様に巻いてきてからコイの直前で軽いシェイクを入れながらフォールさせると良い。 ただ、コイもユックリではあるが移動しているので、狙ったコースを流れに乗せて引いてこれるかが難しいところである。

 ヒットさせた後はドラグを活用して十分にコイを走らせ、弱らせねばならない。 なにせ重量とパワーがあるので無理は禁物。 用水路は然程に深くない場所が多い為に潜られる心配がないので、丈夫なML〜Mクラスのロッドにドラグの良いリールをセットし、14〜16Lbクラスのラインを組み合わせれば十分対応できる。 

 一番の問題はランディングで、引きずり上げられる様な場所でない限りは70cmオーバーのコイをハンドランディングする事は不可能であり、護岸された用水路などではまず無理であるので、大型のランディングネット等を用意する必要がある。 獲物のサイズもデカイので、バス用の特大サイズかソルトウォーター用の柄の長いネットがあると良い。 私が行く釣り場の様に水面まで近い場所であればボガグリップの様なフィッシュグリップでも対応できるが、それでも流れの中で大きなコイを岸際まで寄せるには苦労するので、短いフィッシュグリップでは辛い場合もある。 ロングタイプのフィッシュグリップだとフック部が大き過ぎてコイの口に入らないので、私はフック部を小型の物に改造したロングタイプのフィッシュグリップを使用している。

 コイ専門の釣り氏は湖や大型河川でのブッ込み釣りが主体で、一部にノベ竿で野池のコイを狙う人もいるが、用水路のコイは手付かずの獲物であり数も多くいる。 パワー・サイズを考えると淡水では最大級のルアー対象魚となりうる。 私自身もこれ程ドラグを滑らしてラインを引きずり出される魚は、淡水では九頭竜川のサクラマス以来と思う。 都市近郊でも探せばコイを狙える用水路はいくらでもあるだろう。 一度味わうと病み付きになりそうなパワーゲームが楽しめる対象魚が近くにいるのなら、手を付けずにいるのは勿体無いと思うのだが・・・。 バス等の対象魚がいる釣り場が遠くて頻繁に釣りに行けない方等は是非チャレンジしてもらい。



Vol.42 「用水路におけるコイのルアー釣り」 2009.7.28


 近年ルアーフィッシングをする子供の姿が以前より減っていると思える。 これは単純にバス釣りブームが落ち着いたという事だけではなく、駆除にるバスの減少や釣り禁止によって釣り場が減ったり、偏った知識をもった大人がバス釣りを子供にさせない事が原因ではないかと思われる。 バス問題は別として、子供達が釣りと言う素晴らしいアウトドアの遊びを知らずに育つ事は、子供の将来の為にも望ましい事ではない。 そこで最近は手軽に行ける近場で狙う事が可能なコイを、如何にルアーの対象魚として確立するかを研究している。

 店主自身は過去に湖でのトラウト狙いのスプーン・ミノーでコイを釣り上げた事があり、お客様の中にもワーム・ラバージグ・ミノー・クランク等でのコイのヒット情報がある。 しかし何れも狙って釣ったものではなく、偶然に釣れてしまったと言うのが本当の所である。 コイがルアーで釣れる事は間違いない事だが、狙って釣るほど確立されたものではない。 これを如何に狙って釣るかである。

 過去にもコイのルアー釣りは雑誌等で紹介された事はある。 しかし、食パンを千切って水に投げ込み、コイがそれをパクパク喰い出したら白いポッパーやクランクベイトをキャストして喰うまで浮かせておく等の釣法であった。 またブッコミ釣りの吸い込み仕掛けの針1本にワームを刺して釣るもの等もあったが、これらはルアー釣りとは言い切れない釣り方である。 バスバグの様なコイバグと言う物を使うフライフィッシングもあり、こちらの方が正当な疑似餌釣りだろうが、しかし子供が手軽に出来る釣ではない。 そこでワームを使って手軽に出来る釣り方はないかと研究を始めたのである。

 とりあえず店の近くの農業用水路の様な野府川にて2年前からチャレンジし始めた。 ナマズ狙いのスピナーベイトにアタックするコイが居り、釣り上げれなかったが友人と息子にヒット例があった。 そこで小型スピナーベイト・ジグスピナー・トラウト用スピナー等を試してみたが、反応はあるもののヒットさせるのは容易ではなかった。 ミノーのヒット例も何件かあるので試したが、店の近くの野府川は浅くてゴミも多い為に根掛かりが多発してなかなか使えないのが現状でした。 時を同じくして近所の子供がナマズを釣りたいという子が何人か現れた。 子供ではプラグやスピナーベイトではロスト時の経済的問題があるのでワームを薦めたのだが、そのワームでコイを釣ったという子が何人も現れたのである。 偶然に釣れたにせよ、その数が多いので確率はかなり高いと感じ、ワームを試す事になったのである。

 色々と試した結果、小型だがボリューム感のあるワームに軽量ジグヘットの組み合わせが効果的だという事が解ってきた。 どうもコイは目でワームを確認している様で、ボリューム感の無いワームには反応が悪い。 しかしバスの様に一飲みでワームを吸い込むのでは無く、吸い込んでは吐き出す等の喰い方をするので、大型のワームでは喰い込みが悪い事が判ってきた。 一番の問題はジグヘッドであり、軽量ジグヘッドはフックも細い物が多い為に、大型のコイがヒットすると曲げられたり折れたりする事であった。 その為に昨年はヒットさせた大型のコイを何尾もバラす事になってしました。 現在店主が愛用しているのはカツイチのVJ-30という黒鯛用のジグヘッドで、1/32ozや1/16ozクラスでも太軸の#2・#4のフックなので、リールのドラグを効かせれば大型のコイにも十分対応出来るのである。 ワームは現在のところエコギヤのロッククロー3in・グラスミノーL又はMやバークレーのパワーホッグ3in・スライダーワームのバスグラブ等に実績が高い。 ハドルストンのハドルバグもかなり高いヒット率であったが、ことごとくマス針を曲げられてしまったのでカン付きのチヌ針使用を現在検討中である。

 釣り方であるが、浅く流れのある用水路の様な川では、サイトフィッシングでワームのナチュラルドリフト釣法が有効である。 本流に注ぐ小さな排水路の流れ込み付近に溜まっているコイを見つけ、コイのポジションを確認して流れに乗せてワームをコイの目の前へ送り込むのである。 何度も繰り返して流すと見切られる事も多く、ラインがコイの体に触れると逃げていってしまい場荒れして釣れなくなる為、ポイントに入っての数分が勝負となる。 場荒れした場合はポイントを休めて入り直すのが原則である。 水路の流れ込みでコイが溜まっている場合は流れてくる餌を待っているので釣り易いが、流れの中で漂っている様なコイは釣り難い。 その様なコイでも頭を下げて川底をつついている様な状態であれば、上流から静かにワームを流すように送り込むとヒットしてくれる。 この場合はノーシンカー・スプリットショットリグの方が有効だが、これもハドルバグと同じくフックの問題があったので研究の余地がまだまだ多い。 ワームに小さなアクションを加えて喰いを誘う事は可能だが、遠くのコイをアクションで誘ってくるのは困難である。 コイのポジションを確認する為には偏光グラスは必要だ。 偏光グラスを持たない子供達は橋の上からコイを見つけ、橋の上からワームを流れに乗せてコイの目前まで送り込んで釣っているが、この方法もかなり有効だと思う。 基本的にサイトフィッシングである事と、コイがワームを目で確認して喰っている事から濁りは大敵である。 フォーミュラの匂いで対応出来ないかと色々試したが然程の効果はなかった。 ただクリアーウォーターの状況下では匂い付きワームやフォーミュラを付けた方がコイの反応が良い様に感ずる。

 ワームが着水したと同時のヒット例もあるので、水面の浮遊物を捕食している時は上記の釣り方以外にポッパーや虫系ワーム類も効果的と考えられるので今後試してみたい。 一定の条件下の場祖や情況であれば、かなりの確率で大型のコイを釣る事が可能であるが、ルアーの対象魚として本格的な研究をしている人は少なく、私もまだ始めたばかりだと言える。 コイが手近な大物ルアー対象魚である事は間違いない事なので、皆さんもお住まいに近い釣り場での有効なコイの狙い方を研究して頂きたい。 近場であれば時間の無い人でも頻繁に釣が楽しめ、足場の良い用水路であれば子供連れでも安心して釣が可能であるからだ。

 ちなみに私のタックルは6〜6.6ftのL〜MLクラスでバット部の丈夫なベイトロッドに14〜20Lbのナイロンラインを巻いたベイトタックルであったが、12〜16Lbラインでリールのドラグを緩めに調整した方が良いと感じている。 スピニングタックルの場合はバットの強いL〜MクラスにPE1.5〜2号に10〜12Lbのリーダー等が適当であろう。 なお、私が行く釣り場は足場が低いので魚の口を挟むフィッシュグリップを使用していますが、足場の高い場所で大物をヒットさせた場合のランディングには柄の長い大型ネットが必要になります。

 ではチャレンジした皆さんが大物を釣り上げる事をお祈り致しております。
 

Vol.41 「ライフジャケットの選択・使用・保守点検について」 2008.12.5


 先日の膨張式ライフジャケットが作動しない(意識不明で手動式ライフジャケットを作動させれなかった)ボート事故が発生した事から、今回はライフジャケットに関して書きます。

 ライフジャケットには浮力材入り・自動膨張式・手動膨張式が一般的であるが、最も確実なのが浮力材入りで、膨張式と異なり作動不良等で機能しないというトラブルはない。 ただ通気性に問題があり、浮力材自体が断熱材と同じなので、寒い時期は良いが夏場は辛い。 その為に浮力体入りが主流だった頃のライフジャケット着用率は低かったが、膨張式ライフジャケットが一般的になったから着用率がUPした。 何よりも膨張式ライフジャケットは通気性が良く、コンパクトの為に動き易いので、着ていても快適に過ごせるのが大きな理由である。 膨張式の大きな問題は、はたして非常時に正常作動するかどうかである。

 ボート関係の雑誌社数社が合同でライフジャケットメーカー関係者立会いの元、一般ユーザーが使用している100着の膨張式ライフジャケットを集めて実験した記事を見た事がある。 驚くことに100着中33着に何らかの問題があったとの結果が出ていた。
 手動・自動に関わらず手動作動用索が中に収まっていて、直に作動させれない。
 ガスボンベの取り付けが緩んでいた
 ガスボンベが使用済みの空の物が取り付けてあった。
 ガスボンベが全く取り付けられていなかった。
 ボンベが錆びて腐食していた。
 自動膨張式の感知部のスプールが使用済みの物だった。
 スプール取り付けの際に、浮力部の布を挟み込んでいた。
等の所有者の取り扱いに問題がある物が大半であったが、それ以外にも大きな問題があり、
 浮力部の接着が剥がれて空気漏れが起こる
 浮力部の布にピンホールがあり空気漏れが起こる
 ガスボンベ取り付け部から空気漏れが起こる
 手動では作動したが、自動では作動しなかった(1着のみ)
 自動でも手動でも作動しなかった(1着のみ)
があったそうだ。

 これらからすると、普段のメンテナンスがいかに重要であるかが判る。 年に何回かは補助送気管から空気を吹き込んで膨らませてみよう。 破れ等は直に発見できるが、ピンホール等から少しづつ空気が漏れるのは判り難いので、膨らませてから1〜3時間は放置して空気漏れが無いか調べよう。 また、ガスボンベの取り付けが緩んでいないかチェックしましょう。 年に1回位はメーカーに点検に出すのが理想。 メーカー点検に出さなくともガスボンベやスプールを取り外して、ハウジング部のヒビ割れ・Oリングの劣化・手動索を用いてガスボンベに穴を開けるピンの作動状況の点検等は年1〜2回は実施したい。

 点検作業の際に注意したいのは、ガスボンベやスプール取り付けの際の締め付け不良や、布の巻き込みである。 膨らませた浮力体から空気を抜く際は補助送気管のバルブを押しながら浮力体をユックリ押さえつければ抜けるのだが、この際にも注意が必要だ。 ペン先等でバルブを押さえるとバルブが傷付いて空気漏れ」を起こす恐れがあるので、必ずキャップの反対側の凸部で押さえる様にして下さい。 そして排気完了後はバルブのスプリングが正常に作動するかどうか確認しましょう。 以前、このバルブ部に不良があって回収された商品があるので、心配な方は購入したショップで確認してみて下さい。

 手動膨張式は船が沈没しそうだから水に飛び込む等の場合は良いが、ボート走行中や釣り中の突発的落水の場合は危険である。 落水時に身体、特に頭等を打って意識不明になった場合や、パニックに陥った場合は作動索を引けない恐れがある。 やはり膨張式は自動膨張式を選ぶべきであろう。 自動膨張式には水を感知して作動する(和紙の様な材質をストッパーにしている)タイプと、水圧によって作動するタイプがあります。 水感知式が一般的ですが、着用時の雨程度なら問題なくとも濡れた状態で横や逆さまにしておくと誤作動する場合があるので、保管状態には注意が必要です。 また濡れて乾いた紙がゴワゴワで硬くなる様に、何度も湿度を含んで乾燥を繰り返した感知部は作動が遅くなる場合があり、作動まで1分以上かかるテスト例もあるそうです(通常5〜10秒)。 よって1〜3年に1回位は作動部のスプールも交換するのが望ましい。 では水圧感知式の方が優秀かと言えば、そうとも限らない。 このタイプは本来常に水しぶきを浴びるヨットマン用に作られたもので、水深数mの水圧が掛かると作動する構造になっている。 浅い水深で落水し、藻が足に絡んで浮き上がり難い際に自動では作動せず溺れそうになり、手動で作動させ助かったという例を聞いている。 よって一般的な釣り人は水感知式のタイプの方が安全であろう。

 さて、浮力体入りのライフジャケットや、正常作動の自動膨張式ライフジャケットならば浮力の点では確実だが、着用方法を誤ると役に立たない場合もある。 脇の下で締めるタイプは十分に締め、股に通すベルトが付いているタイプはベルトを通してシッカリと締めておかなばならない。 これらが緩いと浮いた際にライフジャケットが頭の方へ上がってしまい役にたたなかったり、入水時に脱げてしまう危険性があります。 また、レインウェアーの中にライフジャケットを着ると泳ぎ難くいなり、膨張式の場合は十分に膨らまなかったり身体を締め上げて呼吸し辛くなり、かえって危険な場合もあります。 この為にライフジャケットは必ず衣類の一番上に着て、身体の動きを阻害しない程度にベルト類を締めておく必要があるのです。 落水時に最も泳ぎ易いのがジェットスキーやウェイクボーダーが着ているタイプで、上半身全体が浮き上がるので、大きな波がきても頭から水を被り難いそうです。 身体の前面・後面に浮力体が入っている浮力体入りライフジャケットならばベルト類をシッカリ締めておけば同じ効果が期待できます。 しかし、身体の前面と首周りのみに浮力を持たせる膨張式は泳ぎ難く、大きな波だと頭の上から水を被り、浮いていても水を飲んで溺れる場合もあるので、大ウネリのある状況では心配が残ります。 基本的に大ウネリのある水面にボートを出すのは無謀であり、万一の場合は法廷備品用のオレンジのライフジャケットに交換してベルト・紐類をキッチリと締め上げておくのが最善でしょう。

 ライフジャケットを着て泳げるか否かのの問題であるが、基本的にはまともに泳げないと思って欲しい。 また低水温の場合は泳ぐことによって体温を奪われ易いので、逆に命取りとなる場合もある。 岸やボートや掴めれる杭・ブイ等が極めて近い場合以外は、低水温下では泳ぐべきでないとされている。 その様な場合は足を閉じて抱え込み、水に接する身体の面積を極力少なくするのが最善で、数人の場合は「おしくら饅頭」状に集合体となるのが良いそうだ。 そして防水型や防水ケースに入れた携帯電話で救助を要請し、体温低下・体力消耗を最小限にして救助が来るまで耐え忍ぶのが最良の方法の様である。 

 低体温による大人の平均生存時間の資料があったので記載しておく。

  水温        水中での生存時間
   0℃         15分〜45分
   0〜5℃        30分〜90分
   5〜10℃      1時間〜3時間
   10〜15℃     1時間〜6時間
   15〜20℃     2時間〜40時間
   20〜25℃     3時間〜体力の続く限り
   25℃以上     体力の続く限り

 上記はあくまで平均値であり、個々の体力や怪我・疲労の有無で大幅に変るだろうし、意識不明等に陥るのは1/3位の時間で起こる事も覚えておいて欲しい。

 ここに書いたのは、あくまで店主の私が知り得た知識内の内容である。 釣り雑誌等にはこの様な内容記事が少ないが、ボート・ヨットの専門雑誌には度々特集記事が載るので、書店などで見かけたら目を通す事をお勧めする。 いずれにせよ落水する様な事故を起こさぬのが一番であるが、万一の場合に備えてのライフジャケットの保守点検・正しい着装方法、緊急時の対応知識を身に付けておいて欲しい。 私自身まだ経験無いが、膨張式のボンベ・スプールを交換する際等に実際にライフジャケットを作動させ、作動後のベルト類の締め具合・どの様な姿勢で浮くか・はたして泳げるかどうか等を体験してみると良いと言われる。 ボンベやスプールも数千円するので度々は行えないが、交換時なら可能でしょう。 浮力体入りなら何時でも可能だが、体験テスト時に事故や低体温症にならぬ様、夏場に補助者付きの上でプールや浅い水泳場等で試して頂ければと思います。

 事故は悲しいものです。 起きないのが一番ですが起きても助かる様に、最悪助からなくとも家族の元に必ず帰れる様にライフジャケットは確実にして頂く事を心から願います。


Vol.40 「漂流物・ウィードエリアでのボートトラブル対処法」 2008.6.22


 先日琵琶湖でボートを出した際に、ウィードや漂流物をエンジンのプロペラに絡ませて対処に困っているボートを何艇も見かけた。 今回は、その手のトラブルの対処法に関して書きましょう。

 一番怖いトラブルは、高速走行中に流木等の漂流物にプロペラをヒットさせてしまう事故である。 プロップが欠けたり変形する危険性があり、酷い場合はシャフトが折れたり可能性もある。 これは回避して漂流物を避けるするしかないのだが、ボート初心者は避けるつもりで逆に当てにいってしまう場合があり、正面に現れた漂流物を避けようと単に左右どちらかにハンドルを切ると起こり易いトラブルだ。 ボートは後のエンジン部にあるスケグというフィンで舵を切るため、ハンドルを切るとボート後部は一旦切った向きと逆の外側に膨らみドリフト走行状態になる。 この為に、避けるつもりが逆に漂流物にエンジン部を当てにいってしまうのである。 一旦ハンドルを左右どちらかへ切って船体の向きを漂流物への走行ラインから外しても、漂流物まで距離が近いいとエンジン部を当てに行ってしまいます。 そこでハンドルを一旦正面に戻し、次に船首が漂流物に差し掛かるタイミングで今度は逆にハンドルを切ります。 するとエンジン部が漂流物の外側を回り込む様にボートが動くので、エンジンを漂流物に当てるトラブルを回避出来ます。

 単体の漂流物ならば避け易いのですが、大雨の後などは河川から大量の流木・ゴミが流れ込んで、漂流物が帯状のになって広がっていると簡単に避ける事が出来ません。 この様な場合は流れや風を読んで、大きく迂回する事がベストです。 迂回が出来ない場合は、漂流物エリアをスロー走行して抜け出すのが安全策です。

 プロペラが破損しないまでも漂流物によるトラブルは他にもあります。 ビニール袋等が巻きついて冷却水の採りれ口を塞いでしまう場合があり、最悪の場合はエンジンが焼き付きをおこしてしまいます。 大型エンジンの場合は警報アラームがなりますが、万一を考えて漂流物エリアを走行する際はウォータープレッシャーゲージを常に確認したり、エンジンの異常振動が無いかを気にしながら走行しましょう。 もし、漂流物による冷却水トラブルが発生した場合は、直ぐに走行停止しギヤをニュートラルに入れます。 次にトリムを上げてゴミを取り除くのですが、その際エンジンが回っていないと冷却水を汲み上げるインペラも回らないのでエンジンを切らない事です。 ゴミを取り除いて冷却水を汲み上げ始めても、エンジンが過熱しているので水が出ずにしばらくの間は蒸気が噴出するだけですが、次第に水が出てきます。 蒸気は当然ですが最初のうちにでる水は熱湯なので、触れると火傷するので注意して下さい。 警報アラームもしばらくすると鳴り止みますが、鳴り止まない場合は冷却水が安定して噴出する事を確認してから一旦エンジンを切って再始動すれば鳴り止みます。 全く鳴り止まぬ場合は原因が他に在る可能性が高いので、携帯電話でマリーナの整備スタッフに連絡して指示を仰ぎましょう。

 ウィードエリアのトラブルも多いものです。 殆んどがプロップにウィードが絡んでプレーニングが出来なくなるトラブルで、酷い場合はウィードエリアから抜け出せなくなる事もあります。 4〜5馬力以上のエンジンは排気ガスがプロペラの中を通って排出されるのですが、プロペラの根元のシャフトにウィードが絡みつくと排気が阻害されてプロペラの外側へ出てしまいます。 この排気ガスの泡が多くなるとプロペラが水を噛まなくなりキャビテーションを起してしまうのです。 

 プレーニング状態でウィードエリアに突っ込んでしまった場合は速度を落とさず一気に突き抜けるのが正解で、慌てて停止しようものならプロペラはたちまちウィード団子状態に陥ってしまいます。 ウィードが酷く絡まった場合はまずトリムを上げてプロペラを半分水面に上げ、ギアを入れて一瞬エンジンを吹かしてやります。 すると絡んだウィードが水面に叩きつけられて切れるので、その後は冷却水が吸い込める角度までトリムをさげてスロー走行でウィードエリアを抜け出します。 ウィードの少ないエリアに移動してからプレーニングに入るのですが、シャフトの根元に巻きついたウィードは残っているのでキャビテーションを起してプレーニング出来ない場合があります。 その場合はキャビテーションを起しながらも加速しつつ、ハンドルを左右どちらかに切って転舵します。 すると持ち上がっていた船首が水面に落ちてプレーニング状態に入るので、その後一気に加速していけばキャビテーションせずにプレーニング状態を保てます。

 釣りを終えてボートを揚げたならば、プロペラを外して絡みついたウィードを取り除きましょう。 真夏に数週間もボートに乗らなければ絡んだウィードは枯れてしまうので殆んど問題ないですが、毎週乗る場合や湿度の高い梅雨時は絡んだウィードがシッカリ残っています。 この為、朝イチにマリーナから出艇する時からキャビテーションを起す事もあるのです。 シャフトには釣りが絡んでいる事も多く、ラインがシャフトの奥まで巻き込んで摩擦熱で焼けるとシールを傷めてしまってエンジン自体を傷める場合もあるので、時々はプロペラを外してやりましょう。 これはエレキのプロペラにも同じ事が言えます。

 ウィードエリアや漂流物エリアを走行した後でスピードメーターが動かなくなる場合があります。 これはエンジン機種にもよりますが、スピードメータを流水圧で動かす水の取り入れ口が詰まってしまう事が原因です。 特にマーキュリーのエンジンは爪楊枝が入る位の小さな穴が正面に空いているだけなので、ウィードならともかく流木にでも当たると完全に穴が塞がれてしまいます。 この場合はホームセンターや工具店で太さドリル刃状のキリ(2mm径位かな?)を購入し、キリを穴にねじ込んでやれば詰まっていた木片等のゴミを取り除く事が出来ます。

 自分で出来るトラブル対処やメンテナンスは覚えておいて損はありません。 困ったり悩んでいる事があれば、マリーナの整備スタッフやベテランのボートオーナーにも相談してみましょう。


Vol.39 「ターンオーバー時の対策」 2007.10.13


 秋のターンオーバーは、釣りには厄介な現象です。 ターンオーバーは夏季に無酸素状態の様になった湖底へ酸素を送り込むためには重要な自然現象でもあるので無くても困るものですが、この時期の釣り人を悩ませる現象である事には違いありません。 今回はターンオーバーについて書いていきましょう。

 水は約4℃の水温の時が最も比重が重いという性質を持っています。 風呂の湯は上の方から熱くなるのに、氷は水面の方から凍っていくのはこの為です。 基本的に4℃以上の水温の場合は表層の方が暖かいのですが、寒波・冷たい雨・放射冷却などで急激に水面が冷やされると、水面の温度が水底の温度よりも低くなってしまいます。 その為に、水面の冷たい水は沈み、水底の水が上昇する逆転現象が起こります。 溶酸素量の少ない水が上がると同時に、魚やプランクトンの死骸が堆積した水底の物質も巻き上げられ、その水域全体の溶酸素量が希薄になると同時に水質が悪化してしまうのです。

 上から下まで溶酸素量が薄くなって水質が悪くなるので、当然魚の活性は落ちます。 しかも快適な水深がなくなる為に、魚の遊泳層等もメチャクチャになって散ってしまう事になります。 魚のいるエリアや水深が絞れず、しかも活性が悪いのでは釣り難くなっても当然でしょう。 ターンオーバーはその水域全体で起こる場合もありますが、ターンオーバーの影響が出難いエリアは何処かに存在します。 ターンオーバー時期には、そのターンオーバーの影響が少ないエリアを見つける事が最も重要となるのです。 ターンオーバーが起きているエリアの水はネットリとしており、ロッドで水をかき回すと泡が消えにくい事は良く知られています。 これ以外にも細かなアオコの様な粒子が漂っている、透明度はあるがコーヒーを薄めた様な茶色っぽい水色になっている、水底の沈殿物が巻き上げられた為にドブ川のヘドロの様な匂いが漂っている等の現象が起きます。 この様なエリアで魚の反応が見られなければ、即ポイント移動する事が賢明です。

 ターンオーバーは4〜5m以上の水深のあるエリアで起こり易く、水面と水底の温度さが殆んど無い浅いエリアでは起き難い現象です。 よってシャローフラットはターンオーバー時の狙い目になります。 ただターンオーバーの起ったディープエリアが隣接していると、風によってターンオーバーの悪い水が押し寄せられてしまう事もあるので要注意です。 

 流れ込みは常に溶酸素量の多いフレッシュな水が入り込むので、ターンオーバーの影響が起き難いエリアで有望です。 透明度があってもアオコの様な粒子が漂うターンオーバーの影響が出ている場所よりも、泥濁りや極端な水温低下がなければ多少の濁りが入っていても流れ込みの方が有利です。 一見水質が良さそうなエリアよりも濁っているエリアの方が良く釣れる場合があるので注意しましょう。

 少しでも状況の良いエリアを見つけるのが先決ですが、何処も同じ様な状況の場合もあります。 ボートであれば魚探を駆使して、まず少しでも魚の反応の多いエリアを選択して下さい。 問題はルアーや釣り方ですが、本やビデオで皆さんもご存知でしょうから詳しく書く必要も無いでしょう。 でも、一つだけヒントを書いておきます。 それはカラーです。 ターンオーバーの状況でのバス釣りでは、ピンクやオレンジとチャートリュースの組み合わせの様なカラーに良い反応を示す事が多いのです。 ハッキリとした理由は判りませんが、以下は私個人の推論です。

 ターンオーバーで濁りが入るとバスに見易い膨張色の明るいカラーが有効であり、活性の落ちたバスを刺激して口を使わせる為に赤系のカラーが有効になると考えられる。 ピンクは刺激のある赤系であると同時に明るい膨張色ですし、赤系のオレンジと膨張色のチャートリュースの組み合わせも同様の効果をもたらす事になります。 その為、バブルガムピンクのワームや、チャートリュースでオレンジベリーやホットタイガーの様なカラーのプラグが有効となると考えています。

 私が常々言う事ですが、得た知識と経験に基づいて、自分なりの理論をもって釣りに臨むと、釣りの奥深さと面白さがより理会できて面白くなるという事を付け加えておきましょう。  
 


Vol.38  「スピナーベイトのメンテナンス」 2007.1.19


 今回は、冬場から春にかけての使用頻度が高いスピナーベイトのメンテナンスやチューニングに関してお話しましょう。

 プラグはフックを交換したり剥げた塗装にコーティングしてメンテナンスする方も多いのですが、スピナーベイトは使いっぱなしの人の方が多いと感じます。 スピナーベイトも本来の性能を100%発揮する為にはメンテナンスは重要です。

○ スイベルの交換
 ブレードとワイヤーを連結しているスイベル(撚り戻し)はスピナーベイトにとっては非常に重要なパーツです。 スイベルの動きが悪くなるとブレードもスムーズに回らなくなり、立ち上がりが遅くなったりバランスを崩す事も起き、
最悪の場合は引いてくる途中に回らなくなってしまう事もあります。
 スピナーベイトのアッパーワイヤーを持って、下がっているブレードを指先で弾いて回してみて下さい。 何回試みてもブレードがクルクルとスムーズに回るならばOKですが、回転が 不安定だったり急に止まってしまう様だったらスイベルの交換時期です。 スイベルはボールベアリング入りの物が使われているのですが、中のボールベアリングが腐食したりウィードのカスが入り込んで動きが悪くなってしまったのです。
  ボールベアリング入りスイベルは通常#1〜2のサイズが使われており、5〜6個入り¥300〜500位でで市販されています。 交換する場合はピンセット型のスプリットリングオープナーを使うとやり易いですよ。

○ ブレードの研磨と交換
 長期間使ったブレードのメッキが輝かなくなっているのは、水中に漂う細かなゴミが高回転で回るブレードの表面を傷付けたり、水垢が付着するからです。 こんな場合は、自動車用のコンパウンド混じりで水垢落とし作用のある液体ワックスを使いましょう。 直接コンパウンドを使う場合は細目の物を使わないと、メッキまで落としてしまう事も起きるので注意して下さい。
 ブレードが変形している場合は交換します。 メーカー純正のブレードでなくても構いませんが、表示されているサイズだけでなく、幅・肉厚・カーブも確認して交換しないとスピナーベイトの性能・性格が変わるので注意して下さい。 交換はスイベルも同時に交換する事をお薦めします。
 性能・性格を変える為に異なる形状・サイズのブレードに交換する場合がありますが、ワイヤーの長さ角度・ヘッド重量と形状とのマッチングも重要なので、良く考えた上にテストをする必要
があります。 私には2サイズ上げて良いスピナーベイトになった例もあるが、1サイズ上げただけでダメルアーになってしまった例もあります。   

○ スカートの交換
 スカートのラバーも古くなるとボロボロになるゴム系の物と、劣化し難いシリコンラバーの物があります。 一般的に多いトラブルが、シリコンラバースカートを束ねてあるゴムリングが劣化して切れてしまうトラブルです。 ゴムリングを使わずスレッドやワイヤーでハンドタイされた物もありますが、やはりゴムリングを使ってある物が一番多く、店頭で1年位置いてあっただけで劣化して切れてしまう粗悪品を使っている物もあります(某有名メーカーの物なんですけどね)。 知らずに使ってキャストしたら、スカートが全部なくなって戻ってきたなんて経験ってありませんか?
 ラバーがなくなってしまった場合は新しいラバースカートを購入して取り付けましょう。 ゴムリングタイプなら誰でも簡単に取り付けれますし、一般的なカラーパターンの物が市販されています。 ラバースカートのみ残っている場合、市販に無いカラーパターンにしたい場合や、スカートが無くなったりズレたりしない様にする場合はハンドタイすると良いでしょう。 ラバージグを作るときに使用するスレッドや細いステンレスワイヤーを使って取り付けます。 ワイヤーを使用する場合は締め過ぎるとラバースカートを切ってしまう事があるので注意して下さい。
 当店では、お客様持込のスピナーベイトにラバースカートのハンドタイも実施しています。 ゴムリングが切れてバラバラになったラバースカートを元通りにしたり、新たなカラーパターンで巻き直したりしておりますので、宜しければ御利用下さい。

○ ヘッドの塗装
 スピナーベイトのヘッドの塗装はラバージグと同じく、どうしても傷ついて剥がれてきますね。 まあ、塗装が無くても十分釣れるのですが、気分的にも綺麗な方が良いですからヒドイ場合は補修してやりましょう。
 塗装はラバースカートを取り外してやるのがベストですが、ハンドタイのスカートの場合は付け直しが面倒なので、スカートをフック側へ絞り込む様に曲げた上からマスキングテープを巻いて作業します。 塗料はウレタン系の物が良く、少量でカラーも豊富なプラモデル用塗料等が便利です。 護岸等へのギリギリのキャストが多い私は修復が頻繁な為、自動車用タイッチアップペイントを使っています。 これはアクリル系で耐久性が少し落ちますが、キャップに筆が付いており便利物です。 塗膜の強度UPをしたい場合は、柔軟性と耐久性の高いロッドのスレッドコーティング用の樹脂を上に塗っています。

○ ワイヤーの調整
 スピナーベイトのワイヤーは使用によって曲がります。 しかし、ワイヤーの角度はスピナーベイトのバランス・フッキングに非常に重要なポイントなので、正常な状態に戻しましょう。
 アッパーワイヤーとロアーワイヤーが左右にずれた場合は捻って直さねばなりませんが、殆んどはアッパーとロアーの間隔が開いてしまう曲がり方です。 少し開いてしまった位なら、スピナーベイト全体を掌で握り込む様にしてやるだけで直ります。 極端に曲がってしまった場合は、新品状態の同じ種類のスピナーベイトと比較しながら修正を掛けます。 但し、ワイヤーを何度も修正すると金属疲労を起こし、細いワイヤーほど折れ易くなる事は覚えておいて下さい。

○ フックの研ぎ出し

 スピナーベイトのフックは交換できないので(プロズファクトリーのビークルは交換できるが)、フックポイントが痛んだ場合は砥ぎ出さなければなりません。 ただ研ぎ出すにしてもアッパーワイヤーが邪魔で上手くヤスリを当てる事が出来ないので困ります。 私はヤスリやルーターを使って荒砥ぎし、GoWestのサイクロンシャープナーという短いパイプの内側がダイヤモンドシャープナーになっている物で仕上げ砥ぎをしています。 このシャープナーは通常のヤスリでは砥ぎ難い科学研磨のニードルポイントのフックを砥ぐのに便利です。
 ビックリされる方も多いと思いますが、私はスピナーベイトのフックを全てバーブレスにして使用しています。 バレ易いタイプのルアーであるスピナーベイトをバーブレスにする事は、私自身も最初は不安がありました。 しかしスピナーベイトの太いフックは、バスの口の硬い部分にフッキングした際にカエシ部まで刺さらず、それがバラシの原因になっている場合が多いのです。 バーブレスフックはカエシが無い分だけ硬い部分であっても深く刺さるので、かえってバラシが軽減するのです。
 私は少しでも刺さり易い様にルーターを用いてカエシ綺麗に削り落とし、更にフックポイントを金属棒の上に載せてからハンマーで叩きカーブポイント(ネムリ針)に改造しています。 ネムリ針はエグる様に刺さるので更にバレ難くなり、私はスピナーベイトをバーブレスにしてからの方が大幅にバラシ率が減少していますので、参考にして下さい。
 ネムリ針にしようとしてフックを曲げ過ぎない様に! 曲げ過ぎたフックを戻そうと逆に曲げる力をかけるとフックが折れる場合があり、大切なスピナーベイトがパーになってしまうからです。 近くにお住いの方ならば、店で改造してあげれるのですが、遠方の方だと・・・。 まずは壊れても良いスピナーベイトで改造の練習をしてからにして下さいネ。


Vol.37 「ロッドの修理B グリップの修理」 2006.12.29

 前回・前々回に続きロッドの修理について、お話しましょう。 今回はロッドのグリップの修理についてです。

ロッドの修理 B グリップの修理

 グリップの修理にも色々な形態があります。 コルクの破損、ロックナットの破損、そしてグリップの素材変更から全面的な形状変更の改造など様々です。 これらを順を追ってお話ししましょう。

○ まずはコルクの破損修理です。

 小さな破損ならば、市販のコルクパテで埋めるだけでOKです。 爪楊枝や針を使ってパテを埋め込み、十分固まってからサンドペーパーで仕上げます。 コルクはグレードの高い物でも必ず細かな穴があり、市販ロッドはこの穴をパテ埋めしてあります。 実用上は問題ないのですが、長期の使用でパテが剥がれてくる事があるので、外見が気になる場合にも行なう補修方法です。

 穴が大きい破損の場合はグリップ用のコルクを入手し、まず穴の大きさに合わせて削ったコルクをエポキシ接着剤で埋めます。 その後、カッターナイフとサンドペーパーを用いて成型し、細かな隙間はコルクパテで埋めます。 この際に注意するのは、エポキシ接着剤をはみ出すほど多量に使わない事と、エポキシが完全に硬化して硬くなる前の加工しやすい硬度の時に成型作業をする事です。 ここまでの補修は多少手先が器用で手間を惜しまぬ方なら誰でも出来ると思います。
 
 破損が大きい場合には、コルクパイプを交換しますし、エンド部だけの破損ならば、破損部の上部でコルクを切って下部のコルクを取り去ります。 そしてグリップパイプの外径に合った内径のコルクパイプやコルクリングにエポキシ接着剤を付けて被せます。 この際に部分的交換の場合は継ぎ目がピッタリ合う様に加工しておかないと、完成時に見苦しくなります。 接着後にヤスリとサンドペーパーで成型し、コルクパテで仕上げます。

 この作業で大切なのは、コルクを取り去った後のグリップパイプの処理です。 パイプを傷つけない様に固まった接着剤やコルクを綺麗に取り去るのですが、なかなか手間の掛かる作業です。 まずペンチでコルクをむしり取った後にカッターナイフで大まかに残ったコルクと接着剤を取り去ります。 次に熱湯やライター・アルコールランプで接着剤を温めて軟らかくしながら接着剤をカッターナイフで削ぎとっていきます。 熱湯を使う場合はグリップパイプが収まるだけの深さの鍋が必要となり、当店では特注で作らせたステンレス製の桶を使っています。 火を使う場合は注意が必要です。 軽く直火を当てる位なら良いのですが、あまり熱を加えすぎるとグリップパイプのカーボンやグラス繊維を固めているレジン (樹脂) が焼けてしまい、パイプの強度が落ちてしまうからです。

 取り付けるコルクは内径に数サイズありますがピッタリではない事が多いので、棒ヤスリで内径を広げたり、グリップパイプにテープや糸を巻いたりしてサイズ調整し、その場合は専用のテープを使うかナイロン製のタコ糸を巻いて瞬間接着剤で固めます。
  最後にエンドキャップを取り付けますが、綺麗に処理すれば取り外したキャップはそのまま使えます。 ただ形状によっては取り付け部のコルクを加工せねばなりません。 コルクは素人でもヤスリ等で加工し易いので、複雑な形状のグリップでも時間をかければ成型できます。 我々業者は旋盤で荒削りしてから取り付けて仕上げていますが、旋盤での加工はコルクよりEVAの方が楽です。

 厄介なのはフォアグリップです。 穴の補修やグリップ着脱式ロッドの場合は良いのですが、そうでない場合はガイドを外さなければコルクパイプを交換できないからです。 コルクパイプを縦に切って取り付ける方法も無いわけではないのですが、合わせ目の処理が難しいので、素人作業は避けた方が賢明です。
 
○ EVAの破損修理

 基本的にEVAの補修は困難です。 小さな破れ位ならば、フロッグに使うフックホールシーラーの様な軟質接着剤やシーラーで補修可能ですが、大きな破損はEVAパイプを交換せねばなりません。

 EVAを取り外す場合はグリップパイプに深い傷を入れぬ様に気をつけながら、カッターナイフで縦に数本の切れ目を入れてからペンチでむしり取ります。 後の作業はコルクの場合と同じです。 一部に接着剤を全く使わずEVAパイプを両面テープで固定してあるので (UFMウエダのPro4等)、これらのロッドの場合は作業が簡単です。 裏技としてEVAパイプが付いた状態で30分ほど熱湯で茹でてやるとスルッとEVAパイプを抜く事が出来る場合があります。 便利の様ですが大鍋・大量の熱湯が必要であり、抜いたEVAも冷めると収縮してしまって再利用出来ないので、あまり大きなメリットはないかもしれません。 どちらにせよ火傷の危険性がある作業なので、十分な注意が必要です。

 EVAパイプ交換作業の基本はコルクの作業と同じですが、EVAの成型は素人では困難です。 EVAはヤスリで削ると破れる場合があり、サンドペーパーで削ると細かなパウダー状に削れるので非常に時間がかかります。 ストレートパイプなら良いのですが、シェイプや凹みがある形状の場合は旋盤やベルトサンダーを持っていないと加工困難なので、成型加工してある市販パーツを使った方が良いでしょう。 ストレートパイプや加工済みパーツであっても、デコレーションリングやエンドキャップの取り付け部の加工が多少必要なので、EVAの場合は当店の様な業者にお任せするのが無難かもしれません。

○ リールシートの破損

 リールシートの破損で最も多いのが、ロックナット部の破損です。 多くは強く締めこみ過ぎたのが原因で、割れ・ねじ山の切れ・接合部がバカになる・・・等です。 この場合は部品交換以外にはありません。 この場合もグリップ着脱式でないロッドは一旦ガイドを取り外して付け直す作業が必要です。

 Fujiから市販されているリールシートならパーツ交換は可能です。 Fujiの市販パーツは基本的に無塗装ですが、ジャストエース・マタギから塗装されたパーツも出ています (リールシートとセットで購入する必要がある)。 ただ、メーカー独自の特注塗装されている場合は色が変わる場合があります.。 当店でもオリジナル塗装のパーツはありますが、あくまで当店のカスタムロッド様に塗装させた物なのでカラーに種類はありません。

 ダイワ・シマノ等のメーカー独自の形状のリールシートの場合は、壊れたロッドから取り外したパーツがない限りメーカーへ修理に出さざるを得ません (ガイド・バットキャップ以外は、まずメーカーはパーツのみの販売をしてくれません) ので、保証書が切れている場合には、リールシートごと交換、形状によってはグリップ全体を作り直す必要があります。

○ グリップを改造する場合

 リアグリップの延長などは上記のグリップの修理の要領でグリップを分解し、グリップパイプに長いカーボンパイプを被せたり、ジョイントパーツを自作して延長した上にコルク・EVAパイプを被せます。

 セパレート化する場合も同じ要領で分解し、グリップパイプにメーッシュカーボンの様な化粧パイプを被せるかグリップパイプをカットして繋ぎ、コルク・EVA・デコレーション用金属パーツを取り付けたりスレッドを巻いて仕上げていきます。 ここまでいくと経験がないと上手く作れない場合もあるので、失敗しても良いロッドで練習してからにするか、私ども業者に依頼した方が良いでしょう。

 リールシート本体が壊れたり、使い易いようにグリップを完全に新たな形状にする場合もあります。 場合によってはロッドをブランクの状態に戻してから作業するので、これはもうカスタムロッドを作るのと同じ作業です。 というより、「分解する作業+既存の形状による制限」 もあるので、一からカスタムロッドを作るよりも困難な場合も少なくありません。 EVAの場合は旋盤等の工具がないとオリジナル形状のパーツを削り出すのは困難なので、ジャストエース・マタギ等から発売されているパーツを組み合わせたりキットパーツを購入すると良いでしょう。

 一番面倒な作業はリールシートを取り外す事です。 熱湯で30分〜1時間位茹でてやると抜ける場合もありますが、リールシートや接着剤の材質によっては2時間茹でても抜けない事がありました。 サンダー・ルーター・糸鋸・金鋸等を用いて縦に入れた切れ目にドライバーの先を差し込んで割ったり、バーナーの火でリールシートの樹脂を軟らかくしながらペンチでむしり取っていくのが一般的ですが、ブランクを傷つけ無い様に細心の注意を払って根気良くやらねばならない作業です。

 いずれにしてもセンスと根気と経験が重要です。 カスタムや改造を4〜5本製作すれば、まずまず人に見せれる物が作れる様になるでしょう。

◎ 三回の連載の締めくくり

 三回にわたってロッドの修理についてお話しました。 誰でも簡単に出来る作業もありますが、あくまでも基本的な事を文章にしただけなので、実際にやってみると思ったほど簡単ではないと感ずる方も多いでしょうし、失敗するとロッドそのものがダメになってしまう場合もあります。 工具等が十分揃っており器用な方なら、少し経験を積めば出来るとは思いますが・・・。
 ただ私が思うに、修理・改造・カスタムは技術的な事よりもセンスが一番重要だと感じています。 私自身にセンスが有るかどうかはユーザー様に判断して頂くしかないのですが、ロッドの完成状態と実釣での使用感をイメージして作業工程・使用するパーツを決めていく事が一番大切と信じて仕事をしております。
 上手くいかなくとも自分自身で釣道具に手を加えたい方はチャレンジしてみて下さい。 自信がない方や最初から確実な修理・改造をお望みの方は、信頼できる業者を選択して委託なさる方が良いでしょう。 当店が、その選択肢に入ってご依頼頂ければ一番なのですけどネ!
 
 
Vol.36 「ロッドの修理A 折れたロッドの修理」 2006.10.19

 前回に続きロッドの修理について、お話しましょう。 今回は折れたロッドの修理についてです。

ロッドの修理 A折れたロッドの修理

 「ロッドが折れたので直せますか?」という修理依頼は多くあります。 ロッドという物はカーボンやグラスの繊維を樹脂で固めた素材なので、折れたという事は、その繊維が断裂している事になります。 服が破れた時はどのように直しますか? 切れた繊維を繋ぐ事は出来ないので、布を当てて繕いますよね。 ロッドも同じで、切れた繊維を繋ぐ事は出来ないのです。

 保証書で直す場合も、折れた場合はメーカーが修理するのではなく、新しいロッドに交換しているだけなのです。 保証書が有れば良いのですが、問題は保障期間が過ぎている場合、元から保証書が無い場合、高額の補償金を使うほどではない場合です。 この様な場合こそ、当店の様な修理が出来る業者の出番ですし、道具と技術があれば個人でもある程度の修理は可能になります。

○ トップガイドのパイプのギリギリ位の部位で折れた場合
 この場合は折れた部位に直接ガイドを取り付けても良いでしょう。 1cmほどロッドが短くなりますが、アクションに大きな変化はなく、トップガイド以下のガイドとの間隔にも大きな影響がないからです。
 折れた部分のガイドパイプ径に余裕があれば、そのガイドを再利用できます。 ガイドパイプギリギリで折れているとパイプ内に残ったブランクを抜くのが大変ですが、ライターなどの火で接着剤を焼いてピンセットや針を使って取り出します (火傷注意)。 パイプ径が合わない場合は新しいガイドを使い、エポキシ接着剤で接着します。
 飾り巻きのスレッドは基本的には巻き直すので、スレッド・コーティング剤・フィニッシングモーター等の機材が必要となります。 単に実用面だけで考えれば飾り巻きは不要なので無しでも良いのですが (注:FujiのNトップ・MNトップの場合は必ずスレッド巻きが必要)、パイプとの段差に少量のコーティング剤やエポキシ接着剤を塗っておくと良いでしょう。 但し、エポキシ接着剤は硬化すると黄ばむ物が多いので、物によっては見た目が悪くなる事もあります。
 折れたロッドに残っている飾り巻きの幅がガイドパイプよりも長いならば、差し込みに必要な部分だけスレッドを取り去ってからガイドを取り付け、やはり継ぎ目にコーティング剤・エポキシ接着剤を薄く塗ると結構カッコ良く仕上がります。

○ トップガイドよりも10cm前後までの部位で折れた場合
 この場合も折れた部位にガイドを取り付けますが、ロッドが短くなるだけででなく硬くなる感じに変わります。 またベンドカーブの頂点がロッドティップ側に近くなるので、折れた長さにもよりますが、スローアクションがレギュラーアクションに、レギュラーアクションがファーストアクションに変化していきます はっきり言えば、バット部のパワー・アクションは同じだが、テップ部のパワー・アクションの異なる別のロッドに変貌すると思ってください。
 さて、この修理ではトップガイドとトップ以下のガイドとの間隔が狂ってくるので、ガイド位置を変更せねばなりません。 全長・トップからバット側の一番ガイドまでの距離を測り、バランスの取れた位置にガイドを付け直していきます。 理想は全部付け直す事ですが、バット寄りの方はあまり変更させる必要がないので、トップ寄りの2〜4個位の位置を変更する事が多くなります。
 当然、スレッド巻き直しの機材・技術が必要となりますが、ガイド修理の場合と異なり、外したガイドがあった場所の処理が厄介です。 ブランクに残ったコーティング剤を取り除かないと見苦しいし、ガイド・スレッドを外す際にブランクの塗装まで剥がれてしまう事もあり、結構気を使う作業になります。 当店の様な業者でも、ガイドを外した跡の処理を完璧にする事は難しく、若干の塗装の剥がれ等はやむを得ない事です。 外見が見苦しくとも構わないならば素人作業でも良いのですが、少しでも綺麗にと思うならば業者に依頼した方が無難でしょう。

○ トップから15cm以上の位置〜バット部で折れた場合
 ロッドにもよりますが、トップより15cm以上の部位で折れると上記の方法では修理困難です。 この場合の修理方法は二通りあります。

※ 一つは修理というよりも、折れたロッドのパーツを使用してカスタムロッドを作るという方法です。
 折れたロッドのガイドを全て取り外し、ブランクも切断してグリップだけにします (グリップ着脱式のロッドならば必要なし)。 自分の好みのカスタムロッド用のブランクにグリップに取り付けて、ガイドも取り付けて完成です。
 こう書くと非常に簡単に思えますが、グリップとブランクの継ぎ目の処理が問題です。 着脱式グリップの場合や折れたロッドのブランク径が太い場合で新たなブランクが細ければ、ブランクをグリップに差し込む事は容易です。 それでもピッタリという事はないので、かさ上げ用のテープやナイロンの編糸などで太さを調整した上でエポキシ接着剤で固定します。 この際にブランクのスパイン (ブランクの背) を確認してグリップ位置と合わせる事をお忘れなく。 ギリギリ合わない径の場合はグリップ側の内径をドリルで広げたり、ブランク側をサンドぺ−パーで削って細くする場合もありますが、強度的な問題もでてくるので、素人作業では怖い場合があります。
 新しいブランクの方が太い場合は、グリップを取り外す際にフォアグリップから5cm位上部で切断し、新しいブランクの中へ差し込む方式を取ります。 この場合、折れたロッドの方が細くバット部のパワーに不安が残るので、グリップ側にカーボンパイプを挿入接着して補強しておきます。 可動式フォアグリップの際はグリップの内径を広げたり、ワインディングチェックを付ける場合は新たなサイズの合った物に換える必要性も出てくるので、作業は結構増えてきます。
 一番厄介なのは折れたロッドと新しいブランクの径が同じ位の場合です。 この場合は2ピースロッドの印籠継ぎの様に、肉厚カーボンパイプを継ぎ目の内部に挿入接着する方法をとります。 当然の様にグリップ側のブランク内径と、新たなブランク内径が全く同じという事はないので、径の異なる何種類ものカーボンパイプを組み合わせたりして挿入用のパーツを自作せねばなりません。 作業はキットパーツの組み合わせでカスタムロッドを作るよりも難しい場合があるので、一般の方は専門業者に任せる方が無難かもしれません。

※ 二つ目は上記のカーボンパイプを挿入する印籠継ぎの方式で、折れた部位そのものを繋ぐ方法です。
 雑誌等で折れたロッド修理の広告を出している業者等がとる手法です。 2ピースロッドと同じ様にするのだから一番良いのではないかと思われがちなのですが、欠点もあります。
 まず、繋いだ部位はブランク内部にほ繋ぎ用のカーボンパイプやソリッドがあり硬く曲がらなくなってしまうので、どうしてもアクションに影響が出てしまいます。 折れた部分がロッドの中央部からバット部にかけてならば影響も少ないのですが、折れは曲が易い箇所に多く発生するので、影響が避けられない事が多いのです。
 また、テップ寄りの細い部分ではブランクの内径も細いので、挿入するカーボンパイプやソリッドも細くなり、十分な強度が保てない場合があります。 ゆっくりと負荷をかける強度テスト位では折れなくとも、アワセをした場合の瞬間的な強い力で折れてしまう危険性があります。 このような場合には、更に継ぎ目の上にカーボンパイプを被せて補強するのですが、パイプ前後にスレッドを巻いてコーティングして綺麗に仕上げても、その部分だけ太くなるので見た目は悪くなってしまいます。
 更に問題なのは、一番曲がるべき部分が曲がらないので、補修部分の前後に過度の負荷がかかり易くなる事です。 グラスや低弾性カーボンの肉厚ブランクならば然程問題ないのですが、ギリギリまで薄く作った軽い高弾性カーボンロッドの場合はキャスト時・ファイト時に補修部分前後で折れる危険性があります。 市販ロッドにはグリップ部までしなう事によってロッドにかかる負荷を分散している高弾性カーボンロッドもあり、そのロッドのグリップをジュラルミンの丈夫なリールシートに交換する改造を個人でなさった方のロッドが、一投目のキャストと同時にリールシートのすぐ上部で真っ二つに折れた例を知っています。 その方の依頼でリールシート上部のブランク内に薄いカーボンパイプを挿入し、スレッドも幅広く巻いて補強と負荷の分散を図る修理をしましたが、バット部が丈夫で曲がり難くなった分だけテップ部に負荷がかかる様になった為か、結局何回目かの釣行時のフッキング時にテップ部も折れてしまったそうです。
 当店では、アクションが変わる・見た目が悪くなる場合がある・補修部分以外の箇所で再び折れる場合がある等のリスク承知で、とりあえずロッドを使える様にしたいと言うご希望の方のみに行っている修理法ですので、基本的には素人では行わない方が良い修理方法です。 現実に、個人で修理したけど補修部以外で折れてしまい、折れた部位にトップガイドを付けてガイド位置を変更する改造は何度か受けていますから。

 総合的に考えると、一般の方はトップガイド直下で折れた場合の修理以外は業者に依頼する方が無難という事になります。 もし御自分でチャレンジしてみようとお考えならば、最終的に壊れても構わないロッドで練習し、いきなり高価なロッドで挑戦しない方が良いでしょう。
 

Vol.35 「ロッドの修理@ ガイドの修理」 2006.9.11

 今回からはロッドの修理について、お話しましょう。 当店ではカスタムロッド製作やロッド改造を手掛けていますが、それらの本数以上にロッドの修理が多いのです。 壊れても安価に修理可能な場合も多く、個人で修理が出来る場合もあるので、是非参考にして下さい。

 ロッドの修理依頼には、大きく分けて三つあります。 一つはガイドの破損、二つ目はロッドの折れ、三つ目はグリップの破損です。 それぞれの破損修理について三回に分けて書き進め、今回はガイドの修理について書いていきましょう。

ロッドの修理 @ガイドの修理

 ガイドの破損にも色々なパターンがあり、リングの脱落・リングの割れ・ガイドの欠落・ガイドフレームの変形や破損・取り付け部のコーティングの割れやスレッドの切れ等が挙げられます。 ここでは、一般的ルアーロッドに多いスレッドで巻いたガイドの修理について書くので、振り出しロッドに使われる様なタイプのガイド修理については割愛致します。

 ガイドのリングはフレームに圧入して、エポキシ接着剤で接着してあります。 このエポキシ接着剤が経年劣化したり、衝撃やガイドフレームの変形により、リングが外れる場合があります。 フレーム変形が無くて外れたリングがあれば、これにエポキシ接着剤を付けて再圧入して修理出来ます。 この際、リングやフレームに残っている接着剤に熱を加えて軟らかくし、カッターナイフやクラフトナイフで綺麗に取り去る必要があります。 圧入の際に硬い工具を使うとリングが割れる場合があるので、極力指の力で圧入します。 圧入し難いからと言って、フレームの内側を削って穴を大きくしてしまうと、再度脱落し易くなったり異音発生の原因になるので避けねばなりません。 脱落したリングの無い場合はフレームごと交換が基本ですが、価格が高いチタンフレームの場合は、安価なステンレスフレームガイドから取り外した新しいリングを取り付ける事も可能です。 但し、ガイドを外す際にリングを割ってしまう危険性もあるので、この場合は個人で修理するより、当店の様な専門的修理が出来る所に任せた方が無難でしょう。

 リングの割れはフレームが変形している場合があり、この場合はフレームごと交換が必要です。 フレームに全く変形が無ければ、フレームを変形させない様に割れたリングを取り去り、新しいリングを取り付けます。 この修理方法も専門に任せた方が無難でしょう。

 ガイドの欠落は小型のシングルフットのガイドに時々起こるトラブルです。 本来なら残ったスレッドを取り去り、外れたガイドや新しいガイドをスレッドで巻き直してコーティングするのですが、綺麗に抜け落ちている場合はガイドにエポキシ接着剤を付けて差し込んで修理する事も可能です。 新しいガイドを差し込む場合は、ガイドフットの先端を尖らない程度に削っておく事が必要です。 この修理方法は安価ですが、あくまで小型のシングルフットガイド用のもので、シングルフットでも中・大型ガイドやフット部に抜け落ち防止のクビレがある物には適しません。

 ガイドフレームの変形や破損はガイドフレームごと交換が基本です。 トップガイドの場合はロッドブランクを傷めない様に熱を加えて接着剤を軟らかくしてガイドを引き抜き、残った接着剤を綺麗に取り去った後に同じサイズの新品ガイドをエポキシ接着剤で差し込み接着します。 瞬間接着剤は硬化が早すぎて、ガイドの向きを合わせるのが困難なので応急処置以外は不向きです。 飾り巻きのスレッドがパイプの下で終っている場合は良いのですが、パイプまで巻きあげてある場合はパイプのエンド部ギリギリまでスレッドを取り去ってから作業をします。 ガイド取り付け後にはスレッドとの境目に少しエポキシ接着剤やコーティング剤を塗っておくと綺麗に仕上がりますが、黄ばむタイプのエポキシ接着剤だと逆に汚く目立つ場合もあるので注意が必要です。 トップ以外のガイドは、スレッドとコーティング剤を綺麗に取り去ってブランクの表面を滑らかにし、新しいガイドや変形を修正したガイドをスレッドで巻き直してコーティングします。 コーティング剤・色の合ったスレッド・コーティング剤が均等に硬化する様にロッドを回すフィニッシングモーター等が必要となるので、持っていない一般の人は専門に任せた方が安上がりです。 当店では例外的に、小型シングルフットガイドが破損した場合にガイドを引き抜いて、新たなガイドを差し込む安価な手法を取る場合もあります。 スレッド部分に熱を加えてガイドフットを引き抜くのですが、コーティングが熱変形してガイドが差し込めなくなる場合も多く、成功・失敗は五分五分です。 一見簡単ですが、これも専門に任せた方が無難でしょう。
 
 ガイド修理は道具・材料が揃っており、手先が器用な人なら何度か練習すれば出来る様になります。 私がルアーフィッシングを始めた30年も前は金属性ガイドが一般的で、安物だとナイロンライン使用(当時はフロロカーボンラインは存在しない)でも半年程で金属ガイドリングに溝が出来てしまいました。 その為に、自分で修理するのは釣り人として当然だったので、自然に修理技術を身に付けていったのです。 もっとも当時は材料や道具もあまりなく、購入した新しいガイドをミシン糸で巻いて、プラモデル用のラッカーでコーティングしたりしていました。 失敗を恐れず挑戦出来る方なら、万が一失敗しても構わないロッドで練習していくと良いでしょう。 上手く出来なかったり、出来ても自分でする事が面倒になる人もおり、その場合は材料や道具が無駄になるリスクもあるし、いきなり高価なロッドを修理するのは不安も付き物です。 そんな方は当店をはじめ、信頼できるショップに依頼して修理してもらって下さい。


Vol.34 「釣り人の暑さ対策」 2006.8.11

 夏のクソ暑い日が続く中でも元気に釣りに行く人は大勢いますが、暑さ対策は万全ですか? 今回は釣りそのものの話題ではなく、釣り人の暑さ対策に関連する事を書きましょう。

 暑い時に釣りに行く場合は二つの原則があります。 一つは「涼しい所へ釣りに行く」、もう一つは「涼しい時間に釣りに行く」です。
 一つ目の「涼しい所」とは標高の高い所にある湖や川です。 残念な事にバスの釣り場の殆んどが平地もしくは標高の低い所にあります。 渓流の様な所でリバーバッシングが可能な例外的場所はあるものの大抵は暑い場所が多く、涼しそうなイメージの河口湖などでも日中の暑さは相当なものです (当店近郊の様な、湿度が高くて最高気温が38℃を越える場所よりはマシですがネ!)。
 二つ目の「涼しい時間」とは、夜間・早朝・夕方です。 ナイターでの釣りが好きな方は良いのですが、私の様にバスのヒットシーンが目で見たい人間は明るい時間帯に釣りをしますし、早朝・夕方は時間が限られて長時間釣りを楽しむ事が出来ません。 つまり私の様な釣り人は、いかに暑い日中に釣りをするかを考えねばならないのです。

 暑い日中での釣りで大切なのは、体力と熱中症等に対する対策です。 まず体力に関しては睡眠不足は大敵ですので十分な睡眠をとり、暑くて食欲が無くても栄養価の高い食物をなるべく多く摂取する事です。 特に朝食・昼食ヌキで釣りをするのは好ましくありません。 即エネルギーになるのは炭水化物・糖質なので、朝食には御飯以外に消化吸収の早いうどん・パン等も良く、エネルギー代謝の触媒となるビタミンも十分に取る事に心掛けましょう。
 固形物が食べ難くければ、バナナや飲むカロリーメイトなどでも良いから熱量素(エネルギー源)としての栄養素を摂取し、野菜ジュース・サプリメント等でビタミンも補給して下さい。
 そして、少しでも疲れを感じたら早めに休息をとり、涼しい木陰等で昼寝する等しましょう。 特にボートの釣りでは日陰が無い場合が多いので、一旦マリーナに戻って休息する事が大切です。

 次に熱中症に対する予防。 まずは帽子の着用、そして肌の露出を最小限にする事です。 海パン一枚で釣りをする等はもってのほかで、紫外線の脅威にさらされます。 中近東の人々の民族衣装を見れば判るとおり、日差しの強い地域では身体全体を衣服で被って紫外線を避けています。 そして十分な水分補給をして、脱水症状にならぬ様にしましょう。

 アメリカでの調査では、紫外線の害に対する認識が女性よりも男性の方が極端に低いらしく、日焼け止め用品の広告が男性誌ではほとんど無く、僅かにアウトドア雑誌に載る程度だそうだが、これは日本も同じです。 釣り人にはやはり男性が多いので、相対的に釣り人は紫外線に対する認識が低い人が多い事になります。
  先月のWHOの発表では、紫外線による害により世界中で年間6万人の人が死んでいるそうだ。 紫外線は体内でビタミンDを生成する良い面もあるが、皮膚組織の中にある酸素分子を一重項酸素という活性酸素の一種に変化させ、これが細胞のDNAを傷つけるのです。 先日の読売新聞のWHO関連の記事では死者6万人の内、メラニン色素を作る細胞がガン化する悪性黒色腫で4万8千人が、他の皮膚がんで残り1万2千人だそうで、これらの90%は紫外線の浴び過ぎが原因だと推計しており、その他にも皮膚の老化・白内障・免疫機能低下による口唇ヘルペスの原因にもなっていると指摘している。

 まずは皮膚の露出を最小限にして、日焼け止めを塗り、日焼けしてしまった場合は界面活性剤等が入っていない良質のUVケア用品で肌を手入れしましょう。 ひどい日焼けの場合はもう火傷ですから病院へ行く必要がありますが、応急の場合は火傷にも効く傷薬のマキュロンを塗ると良いです。
 一重項酸素は抗酸化ビタミンのビタミンCやEでは壊れず、緑黄色野菜の色素であるカロテノイドでしか壊せれないので、十分にカロテノイドを摂取して内側からも紫外線による害を予防しましょう。 これ、先日のTV番組の「あるある大辞典」や「ぴーかんバディ」でも紹介していましたヨ! 現代人はただでさえカロテノイドが不足しているので心配ですネ (私は満ち足りているんですけど・・・)。

 脱水症状防止の為の水分補給ですが、まちがった方法で水分を摂っている人が多いようですね。 TVのスポーツドリンクのコマーシャルの様なペットボトルからのイッキ飲みは間違った飲み方です。 イッキに水分を飲んでも即吸収されませんし、胃液を薄めて消化不良を起こしたり、食欲不振になる場合もあります。ノドが乾いたら我慢せず、一口づつで良いからコマメに水分を補給しましょう。
 発汗するとミネラル分も失われるのでスポーツドリンクは良い飲み物ですが、麦茶もバカにできません。 麦には体温を下げる効果があるので、夏の暑い時期には理想的な飲み物なのです。 体育会系の人なら経験があると思いますが、学生時代の夏のクラブ合宿などでは麦茶と蜂蜜レモンなどを作りませんでしたか? 身体を冷やして水分を補給する麦茶に、エネルギー源の糖分を含む蜂蜜と代謝を促進するビタミン豊富なレモンの組み合わせは、ある意味で理想的なんです。 ただ、ビタミン・ミネラルは相互作用してナンボのものなので、過不足があると十分に効果を発揮できません。 やはり、三度の食事でバランス良く栄養補給し、不足分をサプリメントで補うなどの基礎の部分は大切です。

 ノドが乾くのを我慢してから飲むキーンと冷えたビールは美味しいものです(ウーン、たまらないネー!)。 でも、これも良くない飲み方です。 ビールには利尿作用があるので、逆に水分を体外に放出してしまう場合があります(アルコールを飲みすぎた後でノドが乾くでしょ!)。 ただでさえ水分不足の状態で利尿作用が働くと脱水症状に近くなって血液濃度が上がり、健康に問題のある人はドロドロ血液が原因で脳梗塞を起こす危険性もあるのです。 釣りから帰ってひとっ風呂浴びてから飲むビールの為に、釣りの最中に水分補給お控えるのは止めましょう。
 アルコールを分解するのに多量のビタミンが消費されるので、過度の飲酒はスタミナを奪うことになりますので、十分な栄養補給をしながらホドホドに飲酒しましょう(未成年者はダメヨ!)。 また、飲酒すると寝つきが良くなる様に思われていますが、多量のアルコールを摂取して寝ると睡眠が浅くなって熟睡できません。 睡眠不足や疲労回復の妨げになるので、釣行前後の過度の飲酒はやめましょう。

 あと、疲労した後に栄養ドリンクを飲むのも注意が必要。 糖分の多い栄養ドリンクは飲んだ直後は元気が回復した様に感じます。 ただ、睡眠不足の人が成分にカフェインが少ないドリンクを飲むと、糖分による短時間の疲労回復効果が薄れた直後に倦怠感や眠気が増す研究データがイギリスの医学誌で紹介されていますので、帰宅時の居眠り運転には注意してください。 かと言って、カフェイン入りの栄養ドリンクを多量に飲むのも問題です。 栄養ドリンクには微量ですがアルコール入っているので、万が一に自動車事故を起こしたりすると、酒気帯運転で検挙されなくとも責任が重くなる可能性があると先日の中日新聞に載っていました。 私が警察官時代に、某署の後輩がマムシドリンクを一晩で10本位飲んだトラック運転手の呼気検査したところ、基準値以上のアルコールが検出された為に酒気帯び運転で検挙して赤キップを切ったという事実もありますから。

 もし釣りの最中に、熱中症の様に感じたら、まず日陰で風通しの良い涼しい所に移動して身体を横にして下さい。 脱水症状ぎみであれば、少しずつ水分を飲んで下さい。 症状がヒドイ場合はためらわずに救急車を呼んで、手遅れにならぬ様に早めに医師の治療を受けて下さい。 熱中症なる前に涼しい場所で休息をとるのが理想です。 上昇した体温を下げる為には濡れタオルを首に巻くと良いので、クーラーボックスに濡れタオルを一本入れておくと便利です。

 私は暑い時期のガイドの際も、長ズボン(シャツは半袖ですが)で靴を履き、帽子とサングラスは必ず着用しています。 朝食には少しずつ食べれるロールパンと野菜ジュース・飲むカロリーメイトを用意し、クーラーボックスに麦茶・スポーツドリンク・薄めた微糖コーヒーをペットボトルに詰めて持って行きます。 無論ゲストには十分な飲み物を持参する様にお願いしています。 昼食は冷房の効いたレストランのあるマリーナに立ち寄って、ゲストにも時間をかけてゆっくりと十分な食事をして頂いている。 外食では熱量素としての脂質・蛋白質・炭水化物は十分摂取できるが、保全素としてのビタミン・ミネラルが少ないので、マルチビタミン・マルチミネラルのサプリメントを携行しており、ご希望のゲストには差し上げたりもしています。
 午後からあまりにも暑い場合はマリーナに戻ってゲストに昼寝して頂き、夕方に勝負を賭けています。 もっとも、夕方から日没まで激しい夕立の雷雨に見舞われて夕方勝負ができなかった事例もありますが・・・。 ガイドはゲストに釣りをしてもらってナンボの仕事ですが、ゲストの安全と健康を気遣うのが大前提であり、それがプロの仕事だと思っています。

 皆さん一般アングラーは自分自身で安全と健康を保持しなければなりませんので、十分な知識と準備をして釣りを楽しんで頂きたいと思います。 この記事が、その為の何か手助けになれば幸いです。


Vol.33 「夏の日中のトップゲーム」 2006.7.15

 今回はサマーシーズンにおけるトップウォーターでのバスフィッシングのヒントです。

 「夏はトップで!」と良く言われるが、実際のところ真夏の日中のトップゲームには厳しいものがある。 早朝・夕方やナイターのローライトコンディション下では簡単に釣れるが、ピーカン照りの日中は簡単に釣れません。 それでもトップで釣りたいのがトップウォーターフリークの性ですナ!

 夏の日中のトップゲームで重要な要素はシェードです。 シェードの有無と状況によって釣りスタイルが変わるので、それについて書きましょう。

○ ダム湖
 ダム湖などではウィードや葦の無いエリアが多いが、太陽の位置によって切り立った岩盤が大きな日陰を作り出します。

 この様なポイントは急深で、バスはやや深い場所の岩のエグレなどに身を隠しています。 バスは基本的にカバーから離れる事を好まない事と、深い場所にいるバスを水面にまで誘い出すには強いアピール力が必要である事が重要なポイントになります。 ルアーは岩盤ギリギリにキャストしますが、着水音は大きめにして深い場所にいるバスにルアーの存在を気付かせる必要があります。 そしてバスがルアーに近づく時間を稼ぐ為にポーズは長めにとり、カバーである岩盤から離れ過ぎるとバイトしてこないので、ルアーは移動距離の少ないタイプをセレクトして下さい。

 ポイントの選択では各種条件が重なるジャンクションエリアが最も良く、枯れ立ち樹木・水の落ち込み・地質の変わり目等の条件が複合するエリアを重点的に狙って下さい。 特にオーバーハングした木の枝がせり出している場所は大きなシェードを作り出すので、夏のトップにとっては一級ポイントとなります。

○ 野池
  野池では、葦・ヒシ藻・ヘラ台などがシェードを作っています。

 まばらに葦が生えているエリアは葦の間をバスが自由に動けるので、バスの付いているスポットを特定するのが困難です。 基本的に広く探るタイプのルアーを選択しますが、葦の大きな株の作り出すシェードにはバスが付き易いので、その様なスポットではポーズを入れる様にして下さい。

 一列に生え揃った葦のエリアは、その沖から急に深くなってエグレいる場合が多く、バスは葦の中ではなく葦の根元のエグレに身を潜めている事が多いものです。 この場合はダムの岩盤エリアと同じく、移動距離の短いルアーをギリギリにキャストしますが、水深が浅いので着水音は小さくなる様に心掛けて下さい。

 ヒシ藻は面積的には最も大きなシェードを作り出すエリアであるが、ヒシ藻は泥底を好む水生植物で、砂礫地の様なハードボトムを好むバスの性質と相反する部分がある事を覚えておいて欲しい。 この為、ライギョとの混生地では泥底でも平気なライギョのヒット率の方が高くなり易い。 ヒシ藻の密集エリアではプラグをまともに引けないのでフロッグゲームが一般的だが、ヒシ藻のエッジやポケットをポッパーで狙うとかなり面白い。 但しフックはダブルフックに交換すべきである。

 ハードカバーでもあるヘラ台は野池の一級ポイントです。 頻繁にヘラ師が利用するヘラ台はヘラ釣りの餌の影響で小魚が集まっており、バスにとっては格好のフィーディングポイントとなります。 但し、ヘラ師が使用している時は狙う事が出来ない上に、目立つポイント故に大勢のバス釣りマンが攻めるので、ハイプレッシャーである事が最大の欠点です。 ヘラ台ギリギリか奥へ静かな着水音で、一発のキャストで決めなければなりません。 バイトはポーズ中かワンアクション目に多く、一投目で釣れなければ、バスが居ないのか相当タフな状況なので、しつこく攻めずに時間を空けてから攻め直しましょう。

○ 天然湖
 琵琶湖の様な天然湖はウィードが最大のシェードになります。

 真夏の日中のトップに必要なウィードはエビ藻等の中にバスが泳げるスペースのあるウィードパッチか、フサジュンサイの様にある程度の間隔をあけて群生するウィードが好ましい。数種類のウィードが混生した上に、浚渫のブレイクに隣接していれば最高である。 逆に密集して生えるフサ藻の類やルアーに絡み易いササバ藻の類は好ましくない。

 梅雨時などのローライトコンディションではバスが容易に水面まで出てくるので、水面とウィードトップとの間に空間がある方が釣り易いのだが、真夏の日中は完全に水面を被うほど成長したウィードエリアを攻める事が重要である。 ウィードの中やエッジの中層やボトムに潜むバスを水面にまで誘い出すには、水面にまでカバーが必要だからである。 暑い時期のハイライトコンディションではバスがカバーから離れたがらず、水面にまでウィードが伸びてないとウィードトップの水深以下へルアーを送り込まないとバスがヒットしないからである。

 ウィードパッチのポケットやエグレを狙う場合は移動距離が少なくアピールの大きいポッパーや、立ち浮きか逆にテーブルターが得意な水平浮きのペンシルベイトが適している。 この場合の着水音は、水深が浅ければ小さめ、深ければ大きめを心掛けると良いだろう。 基本はダム湖の岩盤や、野池の生え揃った葦、ヒシ藻の釣りと同じである。

  フサジュンサイの群生地等はどの株にバスが付いているのかが判らないので、広く探れるスライディング系のウォーキングドックアクションが得意のペンシルベイトをセレクトする事が多い。 無論バズベイトには最適なエリアであるし、スプラッシュを出しながらポッパーを連続ポッピングさせるのも良い。 ちなみに私がアマゾンペンシル等の大型トップウォータープラグを好んで使うのがこういったエリアである。

 ここに書いた内容は、真夏のトップウォーターフィッシングの「さわり」である。 実際は状況によってもっと複雑多岐にわたる。 そこは実釣で経験していって身に着けていくしかないだろう。 毎度々々上手く釣れる保障もないのだが、状況さえ合えば私のガイドで勉強は出来ると思うので、機会があれば利用してみて下さい。
 

Vol.32 「最近のバス釣り場の状況と釣り方」 2006.6.25

今回は最近のバス釣り場の状況と、それに対処した釣り方等についてお話していきましょう。

 今年は水温の上昇が遅く、スポーニングも遅れていました。 更に5月に長雨が続いて増水し、6月後半に入っても水温が20℃台前半で、場合によっては10℃台後半まで下がる事もしばしばでした。 この為ウィードの生育が遅れており、ポストスポーニングのバスの回復状態も悪く、梅雨時に起こるアフターの入れ喰いがほとんどありません。 こんな状態も何時までも続く訳ではなく、何れは好調時期を迎えるのですが、それまでの間をいかに釣るかです。

 琵琶湖南湖に関して言えば、ウィードの質があまり良くありません。 バスの釣れるウィードはエビモ・カナダモ・フサジュンサイ等が代表的ですが、今年はササバモが多いのです。 ササバモはヒョロッとした細い茎に短くて細い笹の葉状の葉っぱが付いている水生植物です。 一抱え位ある株で生えて水面まで伸びてたなびく様になり、ルアーが絡み易く、釣りにはタチの悪い藻です。 枯れて千切れたササバモはシャローでは葦・ヒシモに、沖では水面にまででたエビモの先端に絡む為に、そのエリアに生えてなくとも風下側で厄介な存在となります。 エリア的には良質ウィードを探す事が好結果につながり、単にウィードならば良いという単純な考えで釣行すると手痛い仕打ちを受けます。

 中部域の代表的な釣り場である大江川や五三川は水質が問題になります。 護岸工事が進んだ為か、水質が悪化している様に思われます。 普段流れの無い川ですが、水門の開閉や雨による田んぼの泥の流入の影響も受け易いので、上流部から下流部までくまなく回って少しでも水質の良いエリアを探してください。

 琵琶湖でも野池・河川でもウィードや水質の良いエリアは餌となる小魚やエビ類も多いので、アフター回復時期には重要な要素です。

 さてバスの状態ですが、食い気はソコソコあれどもショートバイトが多いのが気になります。 5月〜6月上旬頃は田植えに伴う農薬流入の可能性もあったのですが、どうやら水温上昇の遅れが原因の様に感じます。 またスポーニングの遅れから、アフターバスの回復自体が遅れ気味である事が影響していると思います。

  ルアーへの反応についてです。

 トップはポッパーのユッタリとしたストップ&ゴーには反応し、特にポーズ中にショボッと吸い込む様にでる傾向が高く、ペンシルベイトのアップテンポなウォークングドックには反応が悪い状態が続いています。 シャローレンジではフローティングミノーやシャロークランクにヒットがあり、長めのポーズを入れたジャーク&トゥイッチには好反応があります。 いずれのルアーも喰い込みが浅く、口の皮一枚のフッキングが多いので、強引なランディングは口切れによるバラシの原因になります。 カラー的にはメタル系のフラッシングが強い物に反応が良く、ローライトの濁りがある場合にはチャートリュース系のペイントカラーにも反応しています。 バスが音を嫌っている様で、全体的にはノンラトルか低重音ラトルの方が良い結果を出しています。

 ワームの場合、ジグヘッドやダウンショットでのスモールワームだと数が釣れますが、サイズが上がらない傾向があります。 テキサスリグでの中・大型ワームやノーシンカー・ネイルシンカー入りのスティックベイトだとサイズが上がっています。 なぜかワッキーリグへの反応が悪い様に感じます。 どうも連続的なアクションには反応し辛い様で、長めのステイにアタリが出ています。 アタリは小さくブルーギルの様なアタリですが、十分送り込んでアワセると良型のバスという事が多くあります。 かなり送り込んでも口の皮一枚の場合が多いので、いかに喰いが浅いかが伺えます。

 ちなみに6月中旬の情報では、琵琶湖のフルタイムガイド勢も苦労していた様です。 好調と言われている 「貝捨て場」 も実のところ朝イチにGoodサイズ数尾釣れたら終わりで、その後はマメバス釣り。 昼食後はゲストに昼寝してもらって午後4時頃に再出発し、レンタルボート等が減ったタイミングで朝イチのポイントに入り、6時頃まで釣りをしてGoodサイズを追加して釣果情報を出しているとの事。 しかもポイントに入る際は、エレキを使わず風上からヤマタテした場所へ風で流されながら入り、魚探の発信音もさせない様に魚探をOFFにしないとGoodサイズを釣るのは困難だったらしい。

 以上が6月20日頃までの状況です。 6月後半になって序々にバスの喰いが良くなっているので、7月上旬頃には好調に転ずると思われます。 ただ、例年の梅雨時の様に穏やかでジトジト雨が降る事が少なく、晴天・ドシャ降り・強風という釣りにはあり難くない天候が多いので、水温の急激な低下・濁りの発生等の悪条件に急変する場合もあります。 そんな場合には上記の状況と同じ考えで釣行して下さい。 爆釣とはいかなくとも、それなりの結果がきっと出ます。


Vol.31「上手な写真の録り方」 2006.5.26

 今回は釣り上げた魚の、上手な写真の撮り方についてお話しましょう。

 先日ガイドをしたお客様から、「女房がBASS-STOPのホームページに載った僕の写真を見て、『アンタはガイドの度に大きなバスを釣っているのネ! 何時もはもっと小さいバスばかりなのに。』 と言われてしまいました。 女房には 『オマエの目の前でもっと大きいバスを何度か釣っているゾ!』 と反論したんですけど、如何すれば釣り雑誌やホームページに載せてある写真の様に魚をデカく写せるのですか?」 との話しを聞きました。

 私はプロカメラマンでもなければ、写真撮影の趣味もありませんでした。 でも長年、釣り上げた魚の写真を撮っていると、「コツ」 というものが判っていました。 そこで、私なりの写真撮影のポイントをお教えしましょう。

 魚が大きく見えるか小さく見えるかの差は、背景と対象物がカギとなります。 巨大な観光バスも広い駐車場にポツンと停まっていると小さく見えるのに、街中の道路上ではバカデカく見えるものです。 背景に写るの物が広かったり大きかったりすると、被写体が小さく見えてしまうのです。

 しかし、釣り場は屋外なので広いのは当然であり、まして湖上のボートの上では背景を選ぶ事は困難です。 そこで重要なカギとなるのが対象物です。 魚を手に持って写す場合は釣り人自身が対象物となります。 そこで、被写体がカメラに近ければ大きく写り、遠ければ小さく写るという遠近法を利用して撮影するのです。 手に持った魚をグッと前に押し出してカメラに近づけて撮影すると、魚は大きく釣り人は小さく写り、結果的に魚のサイズが実寸以上に大きく見えるのです。 

  ここで問題が一つ。 釣り人の身体は小さく写るのですが、魚を持つ手だけはカメラに近いので、どうしても大きく写ってしまいます。 特に私の様に手が大きい人は、魚と手の大きさを比較対照してしまい、魚が小さく見えてしまう場合が多いのです。 そこで、もう一つのコツは手をなるべく写らない様にする事です。 バスの口をつかんで吊り下げる様に持つ場合は、手の甲が大きく写らぬ様に手首を外側に曲げて、手がバスの顔で隠れる様にして写しましょう。 この際、身体はカメラに対し正面に向くのではなく、魚を持った手の側を前にした半身で向かい、グッと魚を高く押し出すとGoodです。

 両手で魚を抱えて持つ場合は、腹の方を持つ手に注意しましょう。 ガバッと抱える様に持つと手が大きく写ってしまいます。 腹側を抱える手も、口側と同じく手首を外側に曲げ、指だけで魚を支える様に持って下さい。 そして両手をグィッと伸ばして写してもらいましょう。 この撮影方と赤ちゃんを胸に抱きかかえる様な撮影方で写してもらって比較すると、まるで別の魚の様に写る事が判ります。

 さて、ここまでは写る方の問題で、次は写す方のコツです。 被写体を大きく写し、背景を小さくすると迫力ある写真が撮れます。 カメラを近づけるかズーム機能を利用して魚がフレームいっぱいになる位して写します。 これで余分な背景が写らなくなり、魚がより大きくみえます。 この時ピントは釣り人ではなく、魚に合わせて下さい。

 最後のコツはローアングルから写す事です。 高いビルも、より高いビルの上からみると大きく見えないのに、下から見上げると巨大な建造物に見えるアレです。 そして、魚の頭の位置が釣り人の胸の位置以上にある様に写すと、背景となる釣り人の上半身しか写らないので対象物が小さくなる効果があります。

 雑誌や釣新聞のグラビア写真を良く見ると、こういった撮影方が利用されています。 取材でビックサイズが釣れなくても、カメラマンの腕次第で中小型サイズがランカーサイズに化けてしまうかも? また、写され慣れしているトッププロなどは、カメラアングルを良く理解した魚の持ち方をしてますね! 皆さんも釣った大物はカッコ良く迫力ある写真で記録に残して下さい。


Vol.30 「プリスポーン〜スポーニング時期のバスの行動」 2006.4.02

 今回はプリスポーン〜スポーニング時期のバスの行動についてお話しましょう。

 まず、バスが何時の時期に産卵するかです。 バスの成長にとって最も良い水温は18〜24℃とされています。 つまり、この水温時に孵化した稚魚は成長が良く、生存率が高いのである。 子孫を残す為に野生動物は最も効率の良い条件で繁殖活動をするものであり、これはバスにも言える事である。

 ではバスは水温18〜24℃で産卵するのかと言えば、そうではなく、ベストな水温は16〜22℃とされる。 その理由は24℃で産卵すると、孵化して稚魚が成長する時には24℃を越えてしまい、ベストな水温粋を外れてしまうからだ。 その為、2℃程低い水温域で産卵する事によって、稚魚の段階で最も成長に適した水温域に合致する様にしている。 また、雌のバスは一度に全ての卵を産むのではなく、時期をずらして数回にわけて複数のスポーニングベッドに産卵している。 正に自然の英知であると言えよう。

 水温16℃以下でも産卵は行われるが、繁殖にはリスクが高くなる。 16℃以下の水温では受精したバスの卵は孵化するのに2週間位の日数を要するそうだ。 自らの力で逃げる事の出来ない卵は、全てを親魚の保護に委ねているのだが、その期間が長ければ長いほど生存率は低下する。 また、バスの卵は水温13℃以下では孵化せずに死んでしまうので、急激に水温が低下して13℃以下になったりすると、親魚は孵化を諦めてスポーニングベッドを放棄してしまう。

 逆に水温が24℃以上では、卵は1〜2日で孵化する。 しかし、孵化したばかりの小さな稚魚は、先に孵化して成長した仔バスやブルーギルの格好の餌にもなってしまう。 バスは一度の産卵で約2000粒の卵を産むとされるが、それが産卵可能な成魚にまで育つのは僅か3尾位に過ぎない。 それを考えると、24℃以上で孵化したバスが成魚になる確率は極めてゼロに近いという事になる。 バスが異常なまでもの繁殖力を持っているかの様に言い続ける、一部の偏った自然保護活動家・行政・漁業関係者・マスコミには、もう少し勉強して頂きたいと思っている。

 雄のバスは水温13℃以上になると、スポーニングベッドを作り始める。 この時期にベッドを守るバスを見つけて、「スポーニングが始まった」 と思う釣り人が多い様だが、まだ産卵は行われていない。 作ったスポーニングベッドを守りながら雌バスを待っているのであり、言わば家を新築してお嫁さんを迎え入れるのを待っている状態である。 この頃の雄バスはスポーニングベッドの所でジッとしているのではなく、雌を求めてウロウロしてはベッドに戻るという行動をとる。 シャローを回遊しながら必ず1ヶ所でロックするバスを見つけたならば、この状態のバスと思って間違いないだろう。

 この時期の雌バスは雄のポジションよりやや深い側で、産卵の体力付けの為に捕食活動をしています。 そして1日に1〜2回シャローへ出て、産卵のペアを組む雄バスとスポーニングベッドの品定めをする行動をしています。 いわゆる腹ボテのビッグママと呼ばれるデカバスが釣れるのがこの時期になります。

 産卵は大潮の頃に行われる事が多いので、大潮の時期に釣りに出かける釣り人が多い様です。 しかし、ミッドスポーニングと呼ばれるこの時期には、バスの意識が繁殖行動の方へ向いてしまっているので、殆んど捕食活動をしません。 「怒らせて」釣る方法は成立しますが、捕食目的でバスの口を使わせるのは困難になります。 その為、私は大潮よりも大潮前の中潮時期の釣りを好みます。 日程都合上で大潮に釣行する場合もありますが、バスの繁殖行動の妨げにならない様に、確率が下がっても 「バスを怒らせる釣り」 よりも、まだ産卵を意識していないバスにターゲットを絞った 「喰わせる釣り」 をする事を心掛けています。

 産卵後、雄バスはスポーニングベッドを守り、雌バスは直ぐに深場へ戻ってしまうと言われるが、多くの文献や私の経験上からは間違った考え方である。 確かに雄バスはスポーニングベッドの直近で保護活動をしており、雌バスの姿はない。 しかし、雌バスもスポーニングベッドを守っているのだ。 雌バスは産卵後3〜5日位はスポーニングベッドから半径5m位のエリアに留まり、卵の外敵となるスポーニングベッドに近づく小魚等を捕食する事によって守っている。 この時期に私は、スポーニングベッドの雄を狙うのではなく、ベッドの手前を攻めて雌のバスを狙っている。 この方が釣れるバスのサイズが大きいし、繁殖の妨げになる確率が低くなるからだ。 以前出場していたプロトーナメントでは、この時期にスポーニングベッドを直接狙う選手が多く、私が狙いたいポイントと彼らのボートポジションがバッティングする為に非常に釣り難かった。

 ここまでの話しで水温と潮の重要性に関してご理解頂けたと思う。 この時期のバス釣りには水温計が重要なアイテムになるので、釣行の際には是非とも御持参して下さい。

 カレンダーは人間の都合で作ったものであり、実際の自然の季節変化とはズレがあります。 紅葉は最低気温10℃以下が2週間続くと始まる等、自然界には自然界の法則があります。 釣りはアウトドアの楽しみですから、自分なりの自然の法則を見つけ出して行動してみて下さい。 きっと御自身の釣りに良い結果をもたらしてくれるでしょう。 ちなみに私は次の法則でバスの動きを考えて釣行しています。

 ○ 水温が上昇し、バスがシャローに上がり始のは「モクレン」の花が咲く頃。
 ○ 水温が安定してバスのスポーニングが始まり出すのは「サクラ」が散った頃。
 ○ スポーニングが最盛期を迎えるのは「サツキ」の花が咲く頃。
 ○ スポーニングが終るのは「アジサイ」の花が咲く頃。


Vol.29 「早春の大江川でのバス釣り」 2006.2.16

 今回は早春の大河川でのバス釣りのヒントです。

 一般的に早春にバスが真っ先に釣れ始めるのは水温の上り易い野池と言われています。 逆に河川は水温が上がり難いので、バスが釣れ始めるのが遅いと思われているのだが、そこに大きな見落としがあるのです。

 確かに水の動きが少ない浅い野池は水温が下がり易い反面、暖かい日が続くと水温の上昇も早く、真っ先にバスが釣れだします。 大河川は水量も多く常に流れがあり、極端な水温の低下による氷結もないが、水温の上昇も遅いのは事実です。

 しかし、大河川にも水温の上昇し易いエリアがある事を忘れてはいけません。 奥まった浅いワンド等は流れの影響が少なく、野池と同じく水温が上り易い のです。 しかも大河川には高い堤防があるので、河川の西側・北側に存在するワンドは冷たい北西風が当たり難く、逆に日当たりと暖かい南風が当たり易いのです。 この為に周囲に遮蔽物のない吹きさらしの野池よりも水温の上昇し易い条件が良いのです。

 大河川のワンドには、それ以外にもバスが早くから入り込む要因があるのです。 それは上流の山間部から流れ込む雪解け水、いわゆる雪シロの存在です。 春が近くなってなって気温が上がるほど雪が解けた冷たい水が河川に流れ込み、白っぽく濁った雪解け水は河川下流部の水温を下げてしまいます。

 水の比重は温度が高いほど軽いのですが、実際は約4℃が水の比重として一番重いので、水が凍る場合は表層から氷になっていきます。 表層の水温が4℃以下であれば下層の水温の方が温かいので、冬季のバスは水底近くで生活します。 水温が4℃以上あれば表層の方が温かいので、バスは浅場を好むようになります。 但し、4℃以上あっても冬季は外気温の影響で水温が変化し易いので、外気温の影響が少ない4〜6m前後の水深を好む傾向がある。

 大河川のバスも冬季は深い水底や水温変化の少ない水深を好みます。 春が訪れ気温が上昇するのに伴って表層水温も8〜10℃位まで温まり始めた頃に、冷たい雪解け水が流れ込んだらどうなるかを考えてみて下さい。 冬季にバスが過ごした深場の水温は上昇するどころか逆に下がる場合もあるのです。 そして日当たりの良いワンドの水温はどんどん上昇する。 その結果はお解かりですよネ!

 そうです、雪解け水が流れ込む頃は深場の水ほど冷たく、シャローの方が温かくなるので、当然バスはシャローに入り込むのです。 冷たい雪解け水の影響でバスがまだ釣れないだろうと思える時期こそ、水温の上昇し易い浅いワンド内で早々とデカバスが釣れだす可能性が高いのです。

 ここで書いた条件がマッチした大河川のポイントに心当たりがあるのならば、2月下旬〜3月上旬頃からビックブレードのスピナーベイト等を持って釣りに出掛けてみて下さい。 きっとビックバスに巡り会えるチャンスが訪れるでしょう。

 
Vol.28 「フィッシングショーの楽しみ方」 2006.1.26

 今回はフィッシングショーの楽しみ方について書きましょう。

 2月の4日・5日(9:00〜17:00)に「インテックス大阪」にて 「フィッシングシーOSAKA2006」 が、翌週の2月の10日・11日・12日(9:00〜18:00、10日のみ14:00〜18:00)には「みなとみらい・パシフィコ横浜」にて 「国際フィッシングショー2006」 が開催されます。

  私の様な業者は業者専用日に行くので、一般入場がない分だけ入場人数も少なく見易いのですが、それでも一日仕事になります。 一般日に行かれる皆様は効率良く見て回らないと、見たい物を見忘れる事にもなりかねません。 そこで、毎年フィッシングショーを見に行っている私から、フィッシングショーをいかに楽しく有効に過ごすかのアドバイスをお伝えします。

 まず入場チケットを買った際にもらえる場内案内図を良く見ましょう。 自分の見たいメーカーのブースの他、ルアーに関係ありそうなブースをペンでチェックし、有名プロなどのトークショー等の時間もチェックしておきます。 こうする事によって、見たいメーカーのブースを見落としたりトークショーを見逃す事がなくなります。

 ブースを回る順序を決めて最短時間で回れるようにし、まずは新製品や見たい商品の展示が有るか否かをラフチェックして一周してきます。 チェックが済んだら、ジックリ見たり説明を聞きたい商品が展示してあるブースを回る順番と、各ブースで費やす時間とトークショーの開催時間を調整し、概ねの時間を案内図にメモしておきます。 これで下準備が完了です。

 ここからはジックリ見たい商品のあるブースへ回り、手に取ったり説明を聞きましょう。 但し、ここでカタログは買わない事。 カタログも集まると結構重いので、買うのは最後にします。 もっとも業者の私の場合は、先にカタログを全て集めて宅配便で店へ送ってしまってから商品をジックリ見るのですがネ。 商品の写真撮影はプレス関係者のみに限られている事が多いので、撮影は×だと思って下さい。

 場内は飲食物の持ち込みは出来ませんが、食事や飲み物は会場内に設置された売店・休憩所で買えます。 ただ込み合うので、会場から少し離れた所にある飲食店を利用すると落ち着いて食事をとる事ができます。 チケットさえ失わなければ再入場できるシステムになっている筈ですが、心配ならば係員に尋ねて下さい。 またトイレの場所も案内図でチェックしておく事も忘れずに。

 会場内では有名プロに出会う事も多いものです。 サインを求めたくとも戸惑ってしまう方も多い様ですが、心配後無用。 サインを書くのも彼らの仕事の一つですから、声をかければ気楽に応じてくれるものです。 ただ、トークショーへのブースへ急いで移動している時などは×です。 時折、契約メーカー以外のブースで見かける事があるのですが、その時がチャンスです。 彼らも他のメーカーの商品を見たり、知り合いと話しをしたりする為に他メーカーのブースへ行きます。 その時間は、商品説明したりトークショーをしたりする 「お仕事」 の時間ではなく休憩時間なので、声がかけ易いのです。 頼べばサインだけでなく、ツーショットの写真撮影もOKかも。

 ブースもトークショーも一通り見終わったら、今度はカタログ集めです。 メーカーの多くはカタログの売り上げを放流基金などに回す為に、カタログは殆んどが有料です。 闇雲に買うとかなりの金額になってしまうので、良く考えて必要分だけを購入しましょう。  カタログ集めが終ったら、休憩所で内容をチェックします。 気になる商品の説明を読んで、もう一度そのメーカーのブースへ足を運んで、ジックリと商品を見ると同時に詳しく説明を聞きましょう。

 最後に会場案内図を再チェックして、見忘れたブースが無いかを確認します。 無ければ、これにて終了です。 遠くまで出向いて、お金を払って入場するのだから、無駄なく楽しい一日を過ごして下さい。 私は一足お先に、一般公開日の前日の業者専用日に見に行ってまいります。

 
Vol.27 「身体のメンテナンス」 2005.12.1

 今回はメンテナンスのお話しです。 と言っても釣具のメンテナンスではなく、身体のメンテナンスの話しです。

 寒い冬になると、暖かな春までシーズンオフにする方が多くおられます。 無論、冬でもバス釣りを続ける方、管理釣り場のトラウトや私の様にワカサギ釣りと他の釣りにも楽しみを求める方も多いのですが、釣行回数は春〜秋よりは少なくなるものです。  冬場に発売される釣り雑誌には、シーズンオフ中のロッドやリールのメンテナンスに関する記事を多く目にしますが、釣り人の身体のメンテナンスに関しての記事は見当たりません。 そこで、今回は身体のメンテナンスに関しての話をする事にしました。

○ 釣りは想像以上に身体を酷使している。
 スポーツフィッシングと言う言葉が示す通り、釣りはスポーツであり、体力を使うものです。 そして、十分にメンテナンスをしておかないと、身体に色々な問題が発生する場合があります。
 有名な日本のバスプロ I氏は自分の書く記事で腰痛に苦しんでいる事を記していますし、ずっと以前にも肘を痛めて手術までした有名な元バスプロもいました。 今年は心筋梗塞で突然死なさった有名バスプロもおられますし・・・。 野球・サッカー・バレーボール・格闘技・etc・・・、多くのスポーツ選手には身体に故障を持っている人が多い事は周知の通りで、プロのみならずアマチュアでも同じ事が言え、これは釣りでも同じなのです。
 一日中クランクベイトのキャストとリーディングを続ければ肩・肘・手首に、荒れた湖面で片足でバランスをとりながらエレキのペダルを踏み続けると腰・膝・足首に大きな負担をかけます。 他にも釣り場までの長距離運転、早朝起床による睡眠不足、釣れない時や行き帰り時の渋滞によるストレス、コンビニ弁当等に頼った食事による栄養の偏り、様々な事が原因となって身体を酷使しているのです。

○ 私の場合、こんな身体的トラブルが・・・
 私の場合、警察官時代の逮捕術特練メンバーの訓練時に全身各所の関節や筋を痛めており、オフロードバイクのトライアル等の練習でも恐らく数箇所の骨にヒビを入れています (恐らくと言うのは医者に行っていないから)。 そんなズタボロの身体でも訓練で鍛えた筋肉がプロテクターとなってくれた為、大きなトラブルは有りませんでした (外見はマッチョではなく痩せ型なんですけどネ)。 それでも歳を追うごとに鍛えた貯金を使い果たしてゆき、様々なトラブルが発生しました。 トーナメント参戦の為の長距離運転や、ラフ・ウォーターでの釣りが影響して腰痛や膝・足首の関節痛が、重いスピナーベイトのマシンガンキャストのやり過ぎ等で肘の腱鞘炎 が発生したりしました。 白バイ時代に排気ガスやホコリを吸い過ぎて鼻の粘膜を傷めた為か花粉症にも悩まされて春の釣りは苦労しましたし、子供の頃から風邪をひき易かったので雨に降られて風邪をひいて発熱する事も度々ありました。

○ 身体のメンテナンスは日々の積み重ねが大切
  腱鞘炎は医者へ通っても完全に良くはならなかったのですが、お客さんでテニスのコーチをしている方から 「風呂で手を開く・握るを繰り返す握力運動を毎晩100回位続けて腕の筋力をUPするのが良い」 と教わりました。 数ヶ月続けると、半年通院しても完治しなかった腱鞘炎が回復したのです。 そこで思い出したのは、日本で最初にバスプロ宣言した吉田幸二氏が本に 「バスプロ体操」 なるものを紹介していた事です。 握力運動とスクワットを毎晩入浴時に行うというものだったと記憶しておりますが、25年も前に今私が勧めている事を実践しておられたのです! 私はといえば最近サボッていたので、先日慣れない左巻きリールで一日中バズベイトやスピナーベイトを引き続けた為に、左腕が腱鞘炎になってしまいました。 当然の様に最近は毎晩の入浴時に握力運動とスクワットをやっています(あと腹筋・背筋・腕立てをプラスすると良いんですが・・・)。
 何事も続ける事が大切ですね。 学生時代に太極拳を御指導いただいた楊名時 老師 (故人)から 「何事もゆっくりやる事は差し支えないが、止まる事は良くない」 という中国故事のお言葉を頂いており、今その言葉の重みを感じています。
  私は子供の頃に腎臓病を病み、国立病院の医師からも、「安静に一生を過ごすしかない」 とも言われていました。 両親は当時マイナーな存在だった漢方専門の医師の所へ私を連れて行きました。 医食同源の考え方から食事療法をすると同時に、植物由来の生薬、ツボへのマッサージとお灸を5年以上続け全快した経験の持ち主です。 治療期間は長く、毎日が辛く感じた事もありますが、諦めずに続けて本当に良かったと思うと同時に両親には感謝しております。

○ 健康の基本は3つダヨ!
 健康の基本は 「バランスの良い食事」「適度な運動」「十分な休息(睡眠とストレス解消)」の3つです。 釣りは適度な運動であり、ストレス解消にも役立つので健康の為にはとても良いものです。 でも、釣りも過度になると睡眠不足や疲労が蓄積されるし、釣れない日が続けば逆にストレスが溜まる場合もある (釣りに行けなくてもストレスが溜まるけど・・・)ので注意は必要です。
 問題は食事ですね。 メシも喰わずに釣りをしたり、コンビニ弁当ばかりで済ますのは感心しません。 現代人はカロリー過剰の栄養失調と言われているので、野菜・果物・魚等を豊富に食べてビタミン・ミネラル・EPA・DHA等を十分補給して下さい。 ビタミン等が不足すると新陳代謝・エネルギー代謝が正常に行われず、生活習慣病の原因にもなるので注意しましょう。 代謝が上手く行われないと正常な細胞が作られないので、粘膜細胞が不完全な形になって花粉症などの症状がでる場合もあります。 私は長年花粉症で悩みましたが、食事に注意をして良質のビタミン・ミネラル等のサプリメントを摂る様にしたおかげで、花粉症は殆んど収まりました。 春の大型魚が釣れる時期に、「花粉症がひどくて釣りに行けない」 というお客様も多くおられるので、それらの方々にはアドバイスしています。
 私の場合は歳を考えて日頃の身体メンテナンスに注意するようになったおかげで、健康診断では全て正常値。 ガイドの連続釣行でもスタミナがUPしたおかげで疲れ知らず、湿疹・吹き出物や痔の調子も良くなり、風邪もひき難くなりました。 やはり、日々の積み重ねは大切ですね!

○ 釣具も身体も完全に壊れる前に治しましょう
  リールやロッドの修理で、「もうちょっと早く持って来れば、こんなにヒドくなる前に直せたのに」 という場合が度々あります。 汚れを落としたり、オイルを時々注入するだけで多くのトラブルが予防でき、高いチューニングパーツを組み込まなくても本来の性能を100%発揮できれば実用上は何の問題もありません。 普段のメンテナンスを怠ると、部品を交換したり、最悪の場合は修理不能で買い替えなければなりません。 リールなどは上手く修理できた様でも、歪みが発生していて正常に作動しておらず、異音が出る場合もあります。 人間の身体は買い換えは当然出来ないし、移植手術以外ではパーツ交換も出来ません。 手術や投薬で治すにしても、後遺症や副作用のデメリットもあります。 釣具も身体も日頃のメンテナンスをしっかりして予防に心掛けるのがベストでしょう。

○ 望みは寿命が尽きるまで釣りを楽しむ事!
 人間は受精した段階では120年位は生きられる情報が遺伝子に組み込まれているそうだ。 それなのに成長するに従い、乱れた生活スタイル・バランスの悪い食事等の影響で、その寿命を自ら削り取っているのです。 つまり、私も皆さんも本来は120歳まで生きられる様に生まれてきたんですよね。 日本は長寿世界一だから可能性も十分あるのだが、日本は薬の使用量世界一だし、寝たきり老人の数世界一でもある (薬漬けの寝たきりの人によって平均寿命値が高いという事)。 やはり、長生きしても元気でなければ釣りに行けません。 身体が不自由でも釣りを楽しんでいる方は大勢おられますが、インシュリンやニトロを持って釣りに行くのはやはり・・・ですので、健康には気を使いましょう。 私は80歳90歳になってもバスボートを走らせて釣りを楽しみ続ける事を目標にしていますが、バス釣りを始めた頃のスタイルに戻ってカヌーにオールドタックルでノンビリなんてのも良いかナァ?


 
Vol.26 「琵琶湖の条例 ボート航行制限に関して」 2005.11.7

 今回は琵琶湖の条例に関して書きましょう。 但し、今回書くのは琵琶湖のレジャー適正化条例の事ではなく、ボートの航行制限に関するお話です。

 最近、琵琶湖に釣りに行くと、条例により禁止された行為をしている釣り人をよく見かけます。 レジャー適正化条例により航行制限するブイで示されたエリアでボートをプレーニングさせて航行したり、葦の保全区に入り込み葦をなぎ倒しいるヒドイ人も多く見られます。 リリースに関する事は知っていても、これらの制限にについては無関心な人が多い様だ。 だが、リリース禁止については罰則が無い「お願い的規定」であるのに対し、プレジャーボートの航行制限と葦の保全の方は数十万円の罰金が科せられるという事を知っておいてほしい。

 これらレジャー適正化条例をよく知っており、トーナメンターではないがJB・NBCルールにあるエリの近くでの釣りや各マリーナの桟橋での釣りを自粛している方でも、琵琶湖での航行制限の条例を知らない方が多くおられます。 実際のところ、プロ・トーナメンターやガイド・プロでも知らない人が多い様だし、マリーナ関係者でも熟知していない方々をお見かけする。 

 では、琵琶湖において 「航行制限」「速力制限」 が規定されている区域と期間を簡単に説明しましょう。 条例では、単に 「動力船」 とされている条文もあれば、「総トン数5トン未満の動力船で・・・」 という条文もありますが、釣り船はレジャー・遊漁船に関わらず (むろん水上バイク・その他レジャーボートも含む)、この条例の規制対象になります。

 航行制限水域

@瀬田川洗堰から上流の瀬田川水域は、3月1日〜11月30日の期間中、艇庫等の出し入れと旅館業を営む人が遊漁行為として航行する以外は航行禁止。

A琵琶湖大橋の中心線の両側100m以内は、3月1日〜11月30日の期間中、琵琶湖大橋に沿う方向への航行禁止。 (つまり橋脚から隣の橋脚への移動は橋と並行に移動する事が禁止されているので、一旦100m沖に出て横移動してから橋に直角状に近づいて行かねばならない)

B沖島の山鼻と対岸の天上崎とを結ぶ線上の山鼻から沖合500mの点と、沖島の頭山と対岸の鯉ヶ先崎とを結ぶ線上の頭山から沖合500mの点を結ぶ線の沖島側の水域。
 山鼻と天上崎とを結ぶ線上の天上崎から沖合500mの点と頭山と鯉ヶ崎とを結ぶ線上の鯉ヶ崎から沖合500mの点を結ぶ線の近江八幡市沖島町宮ヶ浜側の水域。
 上記水域は、5月1日〜11月30日の期間中、荒天時・故障等で危険を避けるためにやむを得ない場合以外は航行禁止。 (つまりこの期間中は沖島と陸側の真ん中周辺しか航行できないのである。 しかも後述するが、その真ん中も速力制限がある)

 速度制限 (救助と消防のために使われるものを除く)

@瀬田川洗堰から上流の瀬田川および瀬田川と琵琶湖との境界線から近江大橋までの琵琶湖水域は、3月1日〜11月30日の期間中は7ノット以下。

A矢橋帰帆島の内側の琵琶湖水域 (いわゆる矢橋人工島水路内) は、3月1日〜11月30日の期間中は7ノット以下。

B琵琶湖大橋から近江大橋までにおける西岸の湖岸線から沖合300m以内の水域 (競艇場水面を除く) は、3月1日〜11月30日の期間中は7ノット以下。 (つまり期間中は南湖の西岸・南岸の岸から300m以内は全て7ノット以下という事だ)

C上記 「航行制限水域B」 で記載した沖島側区域と宮ヶ浜区域の間の水域は、5月1日〜11月30日の期間中は7ノット以下。

(ちなみに1ノットは時速1海里。 1海里は1.852Kmだから、7ノットは時速で約13Kmという自転車並の速度だ)

 全てではないが、以上が我々琵琶湖でボートを使って釣りをする者が知っておきたい条例の内容で、マイボートでもレンタルボートでも同じ条件です。 水面は目標物が無いので、300mだの500mだのと言われても判り難く、私自身も明確に条例を守れている自信はありません。 しかし、明らかにその区域内と判る水域を航行したり、高い速度で走る事はありません。 バス釣りに対する目が厳しい昨今ですから、決して後ろ指をさされる事の無い様にしたいものですネ!  

 この他にも、釣りを楽しむには漁業調整規則など知っておきたい条例や規則も多くあります。 当然、琵琶湖以外の全国各地の水域ではそれぞれの条例が規定されています。 詳しくは各自治体のホームページから検索すると良いでしょう。

 余談ですが、私のボートは遊漁船である為に、レジャー適正化条例の航行制限を受けません。 しかし私は、一般のプレジャーボートの見本になる様にと、航行制限に従っています。 ところが制限エリア内で、私のボートの横を一般のボートがプレーニングさせてブッ飛んで走っていく・・・、何かおかしくないですかネェ?

 
Vol.25 「ロッドの話 セパレートグリップ」 2005.8.11

 先回に引き続きロッドの話です。 今回はセパレートグリップについてです。

 グリップの形状はファッション的要素も強いので、最近はその目的でセパレートグリップにしたロッドも多く、当店でも改造依頼の多くがセパレートグリップへの変更である。 しかし、私自身はセパレートグリップをファッションではなく実用面で捉えている。

 セパレートグリップの最も優れた点は、ロッドの操作性である。 ルアーに緩急・強弱のあるアクションを加える為には手首でロッドを操作します。 この際、グリップが手首から肘の間の腕に擦れると、スムーズなアクションがつけ難くなります。 夏場はまだしも、特に寒い時期に防寒着を着込んでいる場合は顕著に影響が出ます。 バランスの問題を無視して極端な事を言えば、ロッドアクションの為には長いグリップは邪魔者以外の何物でもありません。 その究極がロッドアクションによるルアーの操作性重視のオールドスタイルのトップウォーターロッドでしょう。

 シングルグリップはロッドの操作性は高いのですが、重量のあるルアーをキャストする際に、もう一方の手でフォローが出来ないので手首に負担が掛かります。 その為、利き手でしっかりとロッドをホールドしてキャスト出来る様に、オールドスタイルのトップウォーターロッドにはガングリップが好まれる事になるのです。 しかし、手首の弱い人や数日間に渡るトーナメントに出場する人には負担になります。 また、ビックサイズの魚とファイトする際にグリップエンドを腹部や肘部に当てたり、ロッドを立てて操作する際の重量バランス的にも、ある程度のグリップ長は必要になってきます。  そこでグリップは長くとも操作性を高めるグリップという事で、セパレートグリップが注目される様になったのです。

 セパレートグリップはグリップの中心部分を細いパイプにする事で、ロンググリップの腕に干渉するデメリットを軽減させれるのです。 これはグリップ中心部のコルクやEVAを細く削ったシェイプドタイプのグリップでも同じ事が言えますが、より細く出来るのがセパレートグリップです。 セパレートグリップでもシェイプドグリップでもキャスト時に手で握る部分から下部が細くなっていなければ意味がありません。 時折セパレートグリップでもセンターグリップ部が長く、セパレートパイプ部がグリップエンド付近にかろうじて付いているロッドを見かけるが、これはファッション性はあっても本来のセパレートグリップの実用性が無い物と言えるだろう。

 私がセパレートタイプで作るカスタムロッドや改造の際、ツーフィンガー若しくはスリーフィンガーでグリップしてキャストする ピッチング用ロッドの場合は、一般的ワンフィンガーグリップでキャストするロッドよりもセンターグリップを短くして製作する。 その方がピッチングの際に腕や手首にグリップが干渉せず、スムーズなピッチングが出来るからだ。

 よくセパレートグリップの利点として、ロッドが軽くなると言う声を聞くが疑問である。 軽くなるのは、せいぜい5〜10数cmのコルクやEVAパイプ分だけで、逆にセパレート部に綺麗なカーボンパイプを被せたり、グリップ前後に金属のワインディングチェックを装着した分の重量が増す。 確かに軽くなる場合もあるが、多くの場合はそれらで相殺され重量は変わらないだろうし、逆に重量が増す場合も多い。 しかし、重量が増す事は悪い事ばかりではない。 トップ側が重くなるのは問題だが、グリップエンド側が重くなるとトップ側が軽く感じるバランスとなって使い易くなり、アタリが取り易くなって感度が上った様に感ずる事も多いのだ。 これは、バランサーウェイト付きのバットエンドキャップが市販されており、又それを装着したロッドが存在している事が証明してくれている。

 ここまで書くとセパレートグリップは良い事尽くめの様に思えてくるが、デメリットも有ります。 その一つは、パーツの数が増える事と製造工程が増える事によるコスト高です。 もう一つは、セパレートパイプ部がコルクやEVAで保護されていないが故の破損の可能性です。 誰しも破損しやすいロッドティップ側には気を配るものだが、丈夫と思っているグリップ側には気をつけない場合が多いものですからネ!  その他にもグリップを脇に抱え込む様な使い方のロッドには、あえてセパレートグリップにする必要性は無いでしょう。

 結論的には 「ロッドの使い方に応じてグリップ形状を選びましょう」 と言う事なんですが、ちゃんとした作りのセパレートグリップなら総合的・実用的には他の形状よりメリット部分が多いと私は思っております。

 
Vol.24 「ロッドの話 スパイラルガイド」 2005.6.9

 今回は魚や釣りそのものから離れて、ロッドの改造やカスタムロッドに関しての話です。

 最近当店において改造やカスタムロッドで依頼が多いのは、<スパイラルガイド> と <セパレートグリップ> です。 まず今回はスパイラルガイドのメリットとデメリットについてお話しましょう。

 スパイラルガイドですが、メリットはロッドへの負担が少なくなる事です。 スピニングロッドの様にガイドがロッドの下側に付いていると、ラインがガイドを下側へ引っぱってロッドブランクが曲がります。 しかし、普通のベイトロッドの用にガイドがロッドの上側に付いていると、ラインがガイドを押さえて、ガイドに押されてロッドブランクが曲がる事になります。 この 「引っぱる」 と 「押す」 の違いが問題になります。

 「引っぱる力」 は、ブランクを引っぱる方向へ素直に曲げますが、「押す力」 は力を逃がそうと働きます。 つまりベイトロッドの場合はラインがロッドブランクより下側へ行こうとする力が掛かり、それはガイドがロッドブランクの下側へ行こうとする事になります。 これにより、ロッドブランクは捩れようとします。 ロッドは曲がりには強いが捩れには弱いもので、竹等も曲げる力ではなかなか折れませんが捩じるとグシャと潰れて折れてしまいます。 この捩じれはスパイン (ロッドの背と腹) に正しく合わせてガイドを取り付けてないロッドほど強く出ます。

 薄くて柔軟性の無い素材であればあるほど捩じれには弱く、大物とファイトしたり、根掛かりを外そうと強くあおった際に折れる危険性があります。 とは言っても、一般的なロッドで通常の使用範囲内であれば、その危険性は然程高くはありません。 されど、危険性が低くてロッドに無理な負担を掛けずに済めばそれに越した事は無く、ロッドも長持ちするでしょう。 逆に極めて捩れに強い肉厚のロッドであればガイドの強度の方が負けてしまったり、ガイド強度の方が勝り過ぎればガイドフットがロッドブランクにめり込む可能性もあり、それ故にソルトウォーターのビックゲーム用のロッドは 「肉厚・柔軟・頑丈なガイド・ダブルラッピング」 等の作りとなるのです。

 一般的なバス用ロッドでは上記ビックゲームロッドの様な作りではルアーのキャスト・操作も困難になりかねません。 理想的なのはロッドブランクの中をラインが通るインナーガイドのロッドなのですが、ご承知の通り 「汚れが詰まり易く、その影響で飛距離が落ちたりする」 等の欠点もあるので、現時点での最大公約数はスパイラルガイドとなるのです。 ただスパイラルの角度等は、それぞれのメーカーやロッドビルダーの考え方で様々な方式があります。

 無論スパイラルガイドにも問題が無い訳ではありません。

 魚がヒットした際のアワセやファイトの際は、通常ロッドを体の内側へと引っ張り込む様にします。 これは私の理論としてですが、この際ロッドを左手で持つ場合はガイドを手前からトップに左へスパイラルさせ、逆に右でロッドを持つ場合は右にスパイラルさせるべきだと考えています。 何故ならば、そうしないと折角スパイラルさせても一旦曲がりの外側へとガイドを起こしてから捻るという無駄が生じ、余分な負荷をロッドに掛ける事にもなるからです。 つまり、右巻きリール用と左巻きリール用の2タイプのスパイラルが必要になり、同じロッドで2タイプ作るのはメーカーにとって負担になります。 また、手前のガイド (1番ガイド) から捻るタイプだと右巻き用スパイラルロッドに左巻きリールをセットすると、ラインが偏って巻き取られるというユーザーからの報告も有りました。

 更にガイドを一直線にそろえるのは比較的楽ですが、30度なり60度なりで捻ってガイドセッティングする取り付けは位置合わせが困難な為、やはり製造メーカーには負担となります。 その結果、量産タイプのロッドではスパイラルガイドのロッドを作らなかったり、作ってもやや割高になる場合があるのです。 スパイラルガイドのロッドはアメリカでは数十年も前から存在するそうですが、やはり特注のカスタムロッドに限られていた様です。

 これらがスパイラルガイドのデメリットであり、いずれも性能上に大きな影響を与えるものではありません。 よく 「飛距離に影響はありませんか?」 との質問を受けますが、問題はありません。 スパイラルガイドの角度差によるライン抵抗など、リールのレベルワインダーが右なり左なりの隅によって停止している時にキャストする際のラインとの抵抗と比較すれば、無いに等しいという事はご理解いただけるでしょう。

 もっとも日本人は左右非対称の物をあまり好まない傾向があるので、一般的にスパイラルガイドは受けいられ難いかもしれません。 それと、ガイドが上に付いた普通のベイトロッドでも通常は問題ありません ( スパインが正しく合っておれば!)。 ただ私自身の様に、太いラインと丈夫なフックを用いたミディアムライトクラスのロッドで50cmUPでも強引に引き寄せ、ボートや岸へ抜き上げる釣りスタイルの人間には必要でしょう (早く釣り上げ、手早くリリース! 貴重なバスを必要以上に弱らせない為に!)。 同じ様なスタイルの方には、現行のロッドをスパイラルガイドに改造したり、新たにスパイラルガイドのロッドを購入又はカスタムで製作する事はお薦めでしょう。

  次回はセパレートグリップについて書きましょう。

 
Vol.23 「バスのスポーニング時期の釣り」 2005.5.28

 久々のワンポイントアドバイスの更新になってしまった。 外来生物法の問題などのNEWSを掲載したり、カスタムロッドの製作に追われたりしていたので、なかなかワンポイントアドバイスが書けませんでした、スミマセン! 今回はバスのスポーニング時期の釣りに関する内容を書きます。

  バスのスポーニングが春に行われる事を多くの釣り人が知っていますが、何度位の水温で産卵するのかを知る人は少ない様です。 バスの産卵に最も適した水温は16〜22℃と言われていますが、これはバスが成長する最適水温が18〜24℃だからです。 では、何故24℃までではないかと言うと、24℃での孵化では稚魚の段階で最適水温をオーバーして、かえって成長の度合いが悪くなってしまう。 そこで産卵そのものの適水温は若干低めの水温にずれ込むのだと考えられます。 ではスポーニング時期とは何月頃から何月頃までなのでしょう? 地域差もありますが、琵琶湖南湖や大江川では4月中旬から6月初旬の約2ヶ月間がこの水温に当てはまります。

 バスの雌は卵を2千〜1万数千個産むとされていますが、一度に産むのは数千個までの様です。 つまり、多くの卵を持つ個体の雌は数回に分けて産卵する事になります。 これは数回に分けて産卵する事により、孵化が失敗して子孫を残せなくなるリスクを分散している事に他なりません。 この為、スポーニング時期の後半になってもプリスポーンの雌 (既に1〜2度は産卵している個体だが) が存在するのである。

 ボリュームのある体形のプリスポーンの雌バスを釣り上げる事は、バス釣りをする人には憧れです。 私はこの時期、あえて中型のサイズが多いスポーニングベッドを守る雄バスを狙うのではなく、基本的にプリスポーンまたはアフタースポーンの雌バスを狙って釣りをしたいと考えて行動しています。

 今年の琵琶湖南湖の透明度のある1〜2mラインに作られたスポーニングベッドの雄バスはことごとく釣り上げられ、空のベッドだらけとなり、正にペンペン草も生えない状態となっておりました。 バスに対する風当たりが強いご時世に、「バス擁護」 を叫びながらプポーニングベッドの雄バスを釣る事に対して、私自身は少々抵抗を感じます。

 人間と同じくバスは親魚が卵や稚魚を守らないと繁殖が出来ない種なので、親のいなくなったベッドの卵や稚魚は他の生物 (コイ・ニゴイ・ウグイ・フナ・オイカワ・その他コイ科魚類・ブルーギル・イモリ・ザリガニ・各種エビ・トンボのヤゴ等の肉食水生昆虫etc) に食べられてしまいます。 人間が手をつけなくとも弱肉強食の自然界ではバスでも生き抜くのは大変で、一つのスポーニングベッドに産み落とされた約2千粒の卵のうち、産卵可能な成魚に育つのは僅か3尾だというアメリカの研究データを読んだ事があります。

 私もスポーニング時期に釣りをすれば、ベッドを守る雄バスが釣れてしまう事がありますが、あえて狙う事はしませんし、皆さんにもそうして頂きたいと願っております。 釣り場によってはリリース禁止の規制等の問題もありますが、スポーニングベッドを守る雄バスを釣ってしまった場合には、速やかにリリースしたいものです。 

 さて、この時期に私自身がどの様に釣りをしているのかをお話しましょう。

 バスの卵は13℃以下では孵化せずに死んでしまうので、産卵後に水温が13℃以下に下がると、卵を守っていた雄バスはスポーニングベッドを放棄してしまいます。 まだ15℃以下の水温が不安定な時期であればスポーニングベッドに産卵なされていないと考えられるので、早めにシャローに上ってきたバスも狙います。 絶対数は少ないのですが釣れればサイズが良く、枯れ残った葦やウィード周りをスピナーベイトで狙います。 それ以外は一般的な早春の釣り方そのままで、私の場合は水深2〜3mラインでのロングビルのサスペンドミノーやシャッドの釣りを主体にしています。

 水温16〜20℃位まではスポーニングも真っ盛り。 スポーニングエリアのやや沖の2〜4mラインで待機組のバスを狙ってバイブレーションプラグ等で広範囲を攻めるのが私の基本ですが、その一方でベッドに入る直前のバスと、産卵後にベッド近くにまだいる雌バスを狙います。 ベッド付近の雌バスを狙うと雄も釣れてしまう場合もあるのですが、釣り分けは可能です。 サイトフィッシングの達人たちは雄雌を判別し、それぞれルアーの反応を確かめて、確実に大型の雌バスを釣り上げています。

 私は魚を見ずに釣りをするので、ポイント選択とルアーのタイプで勝負します。 ルアーをベッドに引き込むのではなく、ベッドから遠ざける コースで通し、ルアーの色も雄バスを怒らせ易い 「オレンジやレッド」 のカラーを避けます。 これによりベッドの雄バスではなく、ベッドに入る前に餌を捕食している雌バスや、産卵後のベッドを遠巻きにしている雌バスにターゲットを絞れます。 私の場合ルアーは大型ペンシル・シャロークランク・ビックベイトが主になります。 ちなみに産卵直後の雌バスは、すぐ深場へ移動するのではなく、数日間はベッドの周辺 (半径5m位のエリア) で近づく小魚を捕食する事によってベッドを守っているのです。

 水温が20℃以上になる頃には、アフタースポーンのバスの方が多くなります。 この時期のバスは釣り難いとさていますが、バスの状態よりも田植えに伴う河川からの濁りと農薬の影響や、南からの強い風の影響による場合の方が多いと思われます。 これらの影響が無ければ、比較的イージーに釣れると私は感じています。

 アフタースポーンのバス、特に雄のバスは餌も獲らずにスポーニングベッドを守り続けていた為に体力が落ちています。 人間でも病み上がりは 「ステーキ」 より 「お粥」 を食べるのと同じで、食べやすい小型の餌を好む傾向があります。 この為にアフタースポーン時期はスプリットショット・リグによる3〜4inのサターンワーム等が定番となります。  プラグ類ならば、シャローはフローティングミノーと小形ペンシルが、やや水深があるエリアは小形サスペンド・シャッドとポッパーが有効です。

 アフターのバスは、深場に移動するタイプとシャローに残るタイプに分かれ、前者は俗に言う回遊タイプに多く、後者は居付きタイプです。 前者はウィードの繁茂に合わせて沖へと移動し、後者はだんだん濃くなる葦・ウィード・オーバーハングした樹木の下等を好みます。 ただ共通することは、餌となるベイトフィッシュが回遊しやすい条件 「岬状で水通し良い・ブレイクに隣接する・風が当たり易い、インレットに近い」 等の条件が整っている必要があります。

 梅雨が近づき、サツキの花からアジサイの花に変わる頃にはバスの体力も回復し、荒食いが始まります。 ありとあらゆるルアーに反応して果敢にアタックし、特にクランクベイト・トップウォータープラグ・スピナーベイトのバーニングリトリーブ・バズベイト・ビックカーリーテールワームのスイミング (マキマキ) が有効です。 一年で一番イージーに釣れる時期であり、間もなくそのシーズンですので皆さんも存分に楽しんで下さい 。

 
Vol.22 「冬の定番ルアー メタルバイブレーション」 2005.1.11

 今回は最近流行りの冬の定番ルアーであるメタルバイブレーション(通称・鉄板ルアー)について書こう。

 私は個人的に冬季のバス釣りがあまり好きではないので、メタルバイブレーションは得意なルアーではないのだけれど、使い方の基本を知らない方の為に書く事にしました。

 まず、メタルバイブレーションの特徴は 「サイレントルアーである」「遠投性が高い」「フォール速度が速く深場が狙い易い」「アイの位置によってアクション等が変えれる」 等がある。 ここでメタルバイブレーション初心者が悩むのはアイの位置である。 前側のアイにセットするとアクションはタイトなバイブレーションとなり、浮き上がり難くなる。 後ろのアイにセットするとアクションハワイドなバイブレーションとなり、浮き上がり易くなる。 当然、真ん中のアイはその中間だ。 遠投してディープエリアのボトムスレスレをトレースする場合は前のアイに、浅場を狙う場合やボートからバーチカルに攻める場合は後ろのアイにセットするのが基本である。

 陸っパリで使う場合は岸際までしっかりボトム近くをトレースしたいので、前のアイにセットする事が多いのだが、タイトな動きの為にアピール度が下がってしまう。 そこをフォローする為にはリアフックを取り外し、小型のブレードを取り付けると良い。 回転の良いスイベル(ヨリ戻し)を付けて、#1サイズ位のインデアナやウィローリーフのブレードを付けるのが一般的だ。 最近この手の小型ブレードを売っているショップが少なくなった様だが、雷魚狙いのフロッグのチューンに良く使われるので、雷魚に力を入れているショップの方が見つけ易いかもしれない。 使い方は極めて単純で、投げて、沈めて、巻くだけである。 10年以上前は冬の琵琶湖での定番ルアーで、初心者・女性・子供でも投げ易くて釣れるという理由で良く使われていたものだ。 当時はヘドンのソナーやコーモランのコーモソナーが一般的で、入荷数が少なかった為かコットンコーデルのゲイブレードを使う人は少なかったと記憶している。 またメタルルアーではないが、ビルルイスのラトルトラップ1/4ozに最初からブレードが付いたタイプがあり(現在は廃盤)、それを愛用している人も多かった。

 ボートからの場合は後ろのアイにセットしてバーチカルに攻める等、縦の動きで使う事が多くなる。 ここで一番重要なのはロッドアクションなのだが、基本を理解していない人も多い様だ。 一般的にこの手のアクションの事を 「リフト&フォール」 と呼ぶが、これが誤りの原因となる。 正しくは 「ジャーク&キル」 と言うべきだ。 強いジャークで強烈なバイブレーションを生み出バスを誘いし、キル(動きを殺す、一瞬の静止)によってヒラリとフォールさせてリアクションバイトへと引き込むのがこの釣り方の基本。 ジャークは単発よりも2〜3発の多段ジャークが有効で、ジャ!ジャ!ジャ!とやるべきであり、ラインがビシッ!バシッ!ビシッ!と音を立てる位で丁度良い。 このアクションを生み出す為には、いわゆる 「巻物用ロッド」 ではなく、ラバージグやテキサス等に使う 「打ち物用ロッド」 の方が適しており、ラインも伸びが少なく丈夫なフロロカーボンラインの12Lb以上を使用する事をお薦めする。 無論ゆったりとした 「リフト&フォール」 でも釣れるのだが、ルアーの特性を最大限に生かすためには 「ジャーク&キル」 を覚えて頂きたい。

 「ジャーク&キル」 の釣り方はメタルバイブレーションだけでなく、通常のバイブレーションプラグでも可能だ。 当然プラスチック製のプラグの場合は比重の大きい物をセレクトして下さい。

 メタルバイブレーションや重めのバイブレーションプラグによる 「ジャーク&キル」 は冬季だけでなく、春先のスポーニングの為に船道等の水深のあるチャンネル沿いにシャローへ上ってくるバスには極めて有効な釣り方である。 冬季とは異なり、春先にシャローに上ってくるデカバスの引きは強烈な場合も多く、特にリアクションバイトしてくるヤツほどその傾向が高いので、決して8LBクラスの様な細いラインは使わない様に!

 
Vol.21 「これからの時期のバス釣りのヒント」 2005.11.5

 今年の秋のターンオーバーは近年稀に見る酷さだ。 それと言うのも上陸した台風の多さが原因なのだが、台風の平均上陸数は年間3ヶ以下なのに今年は10ヶも上陸している。 地球温暖化・エルニーリョ現象によるものらしいが、間違いなく日本は温帯地域から亜熱帯地域へと変貌し、スコール等の局地的豪雨にみまわれる様になってきている。 人間生活による様々な汚染等により自然界の環境が大幅に変わってきているのに、棲む生物だけは何十年も昔と同じにしようという自然環境行政に疑問を感じる。 平均気温があと数度上がると、南紀では名物の紀州ミカンが採れなくなり、代わりにパイナップルが採れるようになるらしい。 ダムが連なる河川の上流で遡上できるはずのない鮎が泳ぐのを見みると、一般人は自然が豊かと思うらしいが、私はなんと不自然で人工的に作り出された環境だろうと嘆きたくなる。 現在の環境下では、ダムの上流にはウグイ位しか泳いでないのが本来の自然の姿なのだから・・・。 だからといって在来種が絶滅して外来種だけになる事が良いとも言わないが、与えられた環境下でたくましく生き続けているバスを見ると、ある意味で自然そのものだと思えてくる。

  本題に入ろう。 酷かったターンオーバーも、ようやく落ち着きの兆しを見せてきました。 今回はこれからの時期のバス釣りのヒントを書いていこう。

 一般的に秋は爆釣の季節と言われるが、反面ターンオーバーの影響等で難しい季節である事は前回書きました。 実は爆釣本番の時期はこれからなのです。 多くの釣人が11月に入ると 「寒くなったから・・・」 と言ってバス釣りを止めてしまうが、実にもったいない事だ。 今頃の水温は18℃前後なのだが、あなたが春の18℃前後の水温下で釣りをしていた時を思い出して下さい。 小型バスも釣れ始める時期ですが、年間で最も多くのビックバスを仕留めた時期の水温と同じではありませんか? スポーニング時期か否かという違いはありますが、バスが十分活発に行動できる水温である事には間違いありません。

 春と異なるのはスポーニングの問題だけではありません。 春はまだバスのエサとなるベイトフィッシュが少ないのに対して、秋はベイトフィッシュがまだまだ豊富です。 だが、春は水温が上昇してエサも豊富になっていくのに対し、秋は水温が下降し徐々にエサも少なくなって生活条件が厳しくなっていく時期でもあるので、冬を乗り切る体力を付ける為にバス達は荒食いを始めまます。 ここでキーポイントとなるのがエサです。

 バスのエサは小魚とエビが主体です。 まずエビですが、エビはウィードや石積を好んで棲んでいます。 秋も深まると低水温に弱いウィードは枯れて無くなっていくので、残っているウィードにエビが集中します。 つまり秋のウィードエリアはバスの格好のエサ場という訳です。 琵琶湖等のエビ漁師さんがいる湖では、沈めてあるエビ籠の目印が浮いているエリアがエビの棲む良質のウィードエリアであり、バスが釣れる場所だと思って間違いないでしょう。

 では小魚はどのように活動しているのでしょう? 浮遊性のプランクトンを捕食しているワカサギ等はプランクトンの多い層を回遊しています。 水温が下がると表層のプランクトンは減少し、中下層の水深に多くみられる様になります。 中層を回遊する魚の位置を捕らえるのは非常に困難ですが、立ち回り先が存在します。 立ち回り先とは漁礁・ハンプ・変化のあるブレイク・岬の鼻等です。 ワカサギが多い愛知県の入鹿池の 「通称・赤カベ前」 は水深6〜10mにリアス式海岸の様な複雑に変化したブレイクが存在し、これがワカサギの好ポイントになると同時にバスの好ポイントになる理由なのです。 では藻類を好んで食べる小魚はと言うと、エビと同じくやはりウィードエリアに集まります。

 これらの理由により、秋のバスのポイントは 「ある程度水深があり水中の地形が変化している場所」 と 「枯れずに残っている良質のウィードエリア」 の二ヶ所に絞る事が出来ます。 前者は回遊性の高いバスを狙う為、いわゆる 「回遊待ち」 の待って粘るスタイルの釣りになります。 後者は居付き系のバスが多い為、ウィードを求めて広く探って攻めるスタイルの釣りです。 私の釣りスタイルは完璧に後者の方なので、真冬になってウィードが無くなると、水温が上がり始める早春までの間はバス釣りがお休み状態になっています。

 という事で、得意のウィードエリアの攻め方については、もう少し詳しく」書きましょう。

 ウィードエリアにベイトフィッシュの小魚が入っている場合、バスはその小魚をターゲットに絞り込んでいるので、ルアーもそれに合わせます。 いわゆるマッチ・ザ・ベイトと言うやつです。 追われている小魚と同じか、一回り大きいサイズのペンシルベイト・ミノー・シャッドが極めて有効で、大型のルアーほどシルエットが細くみえるタイプが好ましい。 アクションは比較的アップテンポで十分釣れるのですが、喰わせるきっかけを作る為のポーズは多少必要とします。 但しポーズが長すぎると、周りを泳ぎ回る本物の小魚にバスの目が奪われてしまうのでホドホドにする事が大切です。 ポーズの有無やポーズ時間は、その日・その状態で異なるので、実際の釣り場で試して最適なものを見つける他はありません。

 バスが小魚ではなく、エビを捕食している場合は言うと、バスはウィードの中に入り込んでいます。 この場合はノーシンカーのスティクベイトやライト・ジグヘッドリグに頼らざるを得ません。 どうしてもプラグで釣りたい方は、CCプレデターの様なウォブリングではなくローリングアクションが主体の小型サスペンドプラグをウィードの中へねじ込む事になります。

 さて、バスが小魚を捕食しているのかエビを捕食しているのかを、どのように判断すれば良いのでしょうか? それは、まず1尾釣り上げて 「ウンチ」 を調べれば判ります(お腹を肛門の方へ押し出す様に指で押すと出ます)。 エビを捕食しているバスの 「ウンチ」 は赤茶系の色をしています。 魚を捕食しているバスの 「ウンチ」 は灰色をしており、 「ウンチ」 を水でさらすとウロコが出てくるので、捕食している小魚の種類やサイズをある程度判断できます(鮎はほとんどウロコなし、ワカサギは小さくて薄いウロコ、鯉科の魚は大きめで硬いウロコ等々)。

 「ウンチ」 が役立った実例を一つ紹介しよう (以前に一度紹介したかもしれないが・・・)。 秋の琵琶湖でガイドで釣行した際に朝イチでペンシルベイトに40UPがヒットし、そのバスの「ウンチ」 を調べたところ赤茶色をしており、エビを捕食している事が判明。 その後トップでは釣れないので魚探でウィードエリア全体をチェックしたところ、魚の反応はウイードの中だった。 そこで攻め方をノーシンカーのスティクベイトのフォーリングに変更したところ昼前まで入れ喰い状態が続きました。 バイトが遠のいたので魚探で再チェックしたところウィードの上で魚影の反応があり、「フィーディング・タイムが終了して日向ぼっこタイムに変更した」 と判断 (当日の水温15℃)。 リアクションバイトを誘う為に、SPシャッドにチェンジしてウィードの上をかすめる様にジャーク&トゥッチで攻めると、またまた入れ喰い状態。 夕方になるとバスがエビのフィーディングモードに入ったらしく、SPシャッドでのバイトが減り、ウィードの中で魚探反応が出だしたのでスティックベイトに戻すと再び入れ喰いとなり、結果的に一日中入喰い状態が続きました。 もし、朝イチのバスで 「ウンチ」 を調べなかったならば 「トップで釣れたのだから」 とばかりに基本通りに表層を攻め続け、昼頃には 「さすがに日中はボトムでしょう」 と底を攻め、夕方になると 「そろそろバスが浮いてくるかもしれない」 と表層を攻めるという正反対の釣りをした可能性があります。 その場合は悲惨な結果に終わっていたかもしれない。

 この様に、釣りは常に基本通りが必ずしも正解ではないという事が判ります。 だから私は小型のバスばかり釣れるエリアでビックルアーを投げます。 なぜかって? それは、チビバスを喰っているデカバスの存在の可能性があるからです。

 
Vol.20 「秋のバス釣りは難しい? フォールターンオーバー対策」 2004.9.14

 秋は昔から爆釣シーズンと良く言われるのだが、意外と難しいと感じる人も多いはずだ。 確かに秋は夏の暑さから開放され、バスにとっては適水温になるし、秋雨によるフレッシュな水が入り、ベイトも多いので爆釣しても当然の条件が揃っている。 しかし、秋はフォール・ターンオーバーという厄介な問題がある。

 フォール・ターンオーバーとは、秋に起こる 「水の逆転現象」 である。 水は水温によって比重が異なる。 約4℃の水温の水が最も比重が重く、それ以上の水温は上がるほど比重が軽く、逆に4℃以下になれば冷たいほど比重が軽くなる。 これは、沸かしたての風呂の湯は上の方ほど熱い事や、氷は上の水面から凍っていく事から理解出来るだろう。 つまり水温が4℃以上あれば、「水面の方が水温が高い」 のである。

 春から夏にかけての水温上昇期」は良いのだが、秋から冬にかけての水温下降期は冷たい外気により水面から水温が下がっていく為に 「表層の水温の方が下層より冷たくなってしまう逆転現象」 が起こる場合がある。 徐々に水温が下がる場合には起こらないが、冷たい秋雨前線を伴った台風による大雨が降ったりすると逆転現象が起こり易く、更に強風を伴うと対流・攪拌現象が増幅される。 これにより水底の 「死に水] と呼ばれる溶酸素量の少ない水が巻き上げられ全層の溶酸素量が減り、急激な水温低下の影響もあって、魚が不活性になってしまう。 これがフォール(秋の)ターンオーバーである。

 水底の水は、酸素のある大気と触れる水面と比較して溶酸素量が少ない上に、生物の死骸等の有機物をバクテリアが分解するのに酸素を消耗するので余計に酸素が少ない。 また魚は急激な水温低下(短時間で4℃以上も下がった場合)にはショック状態に陥り、死亡する事さえある(冬季に起こるウィンターキル等)。

 これらから判る通り、秋は爆釣シーズンであると同時に、水温低下と台風の影響によるターンオーバー現象により魚が不活性になって沈黙してしまう二面性を持ったシーズンなのである。 つまり、条件によって釣果に極端なムラが出るシーズンと言えるのである。

 では、どうやってフォールターンオーバーを克服するのか?  まずは、ターンオーバーの発生しにくいフィールドへ釣行する事だ。 常にフレッシュな水が流れる河川や、上層と下層の水温差が少ない浅い野池等ではターンオーバーが起き難く、また起きても回復が早いので、これらのフィールドに釣行する事がベストである。

 ターンオーバーの起き易いのは、ある程度水深があって流れの少ない湖や池であるが、これらの湖や池でもフレッシュな水が入る流れ込みやシャローエリアは存在する。 つまり、ターンオーバーの起き易いフィールドでは、そういったエリアを攻めるのが良策である。 但し、大雨直後の濁りを伴う流入河川や、沖で発生したターンオーバーの水が吹き寄せられるシャローエリアはNoGoodであるのは言うまでもない。

 ターンオーバーが起きているのか否かを判断するには、水の状態を観察する事で可能です。 その特徴は、「トップウォータープラグを引いた後などに残る水の泡が消えにくい」、「水の色が白っぽい濁りか、透明度はあるがコーヒーの様な暗茶色をしている」、「水中にアオコの様な浮遊物が漂っている」、「何かが腐った様な匂いや、ドブ川掃除した時の匂いの様な異臭がする」。 これらの特徴が二つ以上あれば、ターンオーバーが起こっていると思っても間違いないだろう。

 もう一つ注意したいのは、ターンオーバーが収まりつつある時だ。 状態の悪い水は徐々に水底へ沈殿していく。 その為に表層は良い水でも中層以下はまだ悪い、いわゆる 「底濁り」 状態がある事を覚えておいて欲しい。

 さて、どうしてもターンオーバーの状況の中で釣らなければならない事もあろう。 そんな時は、なるだけアピールの高いルアーをスローに用いるのが良い。 メリハリのある動きをするサスペンドプラグで移動距離を少なくロングステイさせたり、アピールカラーのワームをノーシンカーでスローフォールさせる等が一般的で、他にはスローに引けるスピナーベイトの使用も有効だ。

 私の経験上からは、カラーがかなり重要に感じる。 はっきり言って 「ピンク系のカラー」 と 「チャートやパールホワイト系のカラーにオレンジ系カラーの組み合わせ」 が極めて有効だ。 濁りの中でも目立つ 「明るい膨張色」 と、バスを刺激・興奮させる 「レッド・オレンジ系の色」 との組み合わせが、不活性になったバスにスイッチを入れるのだと思われる。 ターンオーバーに遭遇したと思える場合は、バブルガムピンクのワーム、テールがチャートやオレンジのワーム(最近の国産メーカー品には少ないネ!)、コットンキャンディーやホットタイガーのスカート付きスピナーベイト、ホットタイガーの様なチャートバック・オレンジベリーの各種プラグ等を使ってみて欲しい。 厳しい条件の中でも、「それなりの結果」 を出せる事だろう。

 
Vol.19 「ビッグベイトでバスを釣るためのヒント」 2004.7.2

 最近の新製品バス用ルアーの傾向をみるとビック・ベイトが非常に多い。 更に雑誌の記事を読んでも、ビック・ベイトに関する内容のものが目に付く。 しかし、はたして一般の釣人達はビック・ベイトを使いこなしてバスを釣っているのだろうか? 持っているだけでタックルボックスの 「肥やし」 になってはいないだろうか? 持っているビック・ベイトで未だにバスを釣ってない人の為に、ビック・ベイトでのバス釣りのヒントを書こう。

 4〜5年前キャスティークトラウトから始まったビック・ベイトのブームは、タロン等のソフト系スイムベイトで爆発的な人気を呼び、更にMSスラマーやモンスター・ジャックをはじめにジョイント式のビック・ハードプラグが全盛期を迎えている。 しかし、ソフト系スイムベイトが流行した頃でも 「持ってはいるが、バスを釣った事がない」 と言う釣人も多かったのも事実である。  以前に書いた事だが、ソフトルアーはナチュラル系で 「喰わせの効果」 が高いルアーであり、ハードルアーはアピール系で 「誘いの効果」 が高いルアーである。 「喰わせの効果」が高いソフト系のスイムベイトでバスを釣り上げていない人が、はたして 「超アピール系」 のビック・ハードプラグでバスを釣り上げれるのか疑問に思うところである。

 私の様な以前から1oz以上のプラグを当然の様に使用していた者でも、最初にタロン9in(5oz) を手にした時は少し不安を感じたし、実際にそれでバスを釣り上げるには半年以上の月日を必要とした。 そのおかげで同じタロンでも7in(2-1/2oz)が発売された時は釣れて当然のサイズと思えたし、逆に1oz以下のサイズだと 「こんなに小さくて、十分にアピールするのかしら?」 と不安を覚える程にまでなってしまった。 これは何を意味するのか? そう 『自信』 である。

 ビック・ベイトは確かにデカいバスが釣れるが、数がボコボコ釣れるルアーではない。 最近、琵琶湖で浮いているブル−ギルを捕食するバスをビック・ベイトで爆釣したという情報もかなりあるが、よほど条件が整った時にのみ起きる状況であり、常に爆釣すると思い込むと失敗の元となる。 基本的にビック・ベイトはビック・フィッシュ狙いのルアーであり、数釣り用のルアーではない事を肝に銘じておく必要がある。 つまり1日中キャストし続けて、ワンバイト・ワンフィッシュしかなくても 「当然」 と思える精神力が必要であり、それを支えるのが 『自信』 なのです。

 では 『自信』 を付ける為には、どうすれば良いのか? 簡単である! 使い続けて最初の1尾を釣る事だ。 『自信』 の無いルアーを使い続けるのは不安との戦いであり、人は不安を感じた時に安心感のある方へ逃げてしまうのが常なので、自分から逃げ道を塞いでしまうのが最良の方法だ。 つまり、ビック・ベイトのみを持って釣りに出かけるのである。 「ビック・ベイトしかないので、それを使わなければバスは釣れない」 という状況に自分を追い込んで、ひたすらキャストし続けるのだ。 私は 「ヒット率はキャスト回数に比例する」 と信じて30年間ルアー・フィッシングを続け、結果を出してきている。 やはり一つの事をマスターするには修行の期間は必要なので、一度で挫折せずに何度もチャレンジしてほしい。

 重いビック・ベイトを一日中キャストするには、それなりのタックルも必要になる。 特に重要なのはグリップの長さで、十分なパワーのあるロッドでもグリップが短いと利き手に負担が掛かり、長時間のキャストが出来なくなってしまうのだ。 もし、そんなロッドを使っている方がおられるなら、グリップを延長する改造をする事をお薦めする。  やはり2oz以上あるビック・ベイトを使うのであれば専用のロッドが望ましいが、2oz以下のルアーであれば 「ディープクランク用」 「スピナーベイトのスローロール用」 「ヘビーキャロライナ用」 のロッドでも十分対応が可能である。 専用タックルを買わなければ出来ないと思ってためらっている方は、それらのロッドから始めると良いだろう (不安ですか? 20cmのバスでも100g位、つまり3〜4ozの重量があるのだけど・・・)。 但し、硬いだけの 「ヘビーウェイトのラバージグ用」 や 「雷魚用」 はお薦めできない。 パワーだけでなく食い込みの良い 「しなやかさ」 も必要で、むしろ 「フィリッピング用」 の中に良い物があったりする。

 もう一つ注意したいのは 「ビックベイト専用ロッド」 として売られている物の中にもダメ竿が存在する点です。 流行しているから儲かるだろうと考え、ビック・ベイトの釣りをしたことも無い様な人間が企画して、硬い「雷魚用」等のブランクを使いバスロッド風に仕上げたロッドも存在するからです。 一度でも 「本物」 のビック・ベイト用ロッドに触れてみれば 「ニセ物」 は簡単に見破る事が出来るでしょう。 ちなみに当店のビック・ベイト用のオリジナル・ブランクは国内メーカーがアメリカ向けに開発したディープクランク用 (20ft以深を攻めれる) のブランクを改良して、「粘り」「張り」「感度」 をUPした物です。 何種類もの 「本物」 を手にして、何種類もの応用出来そうなロッドを実践投入して考えました (結構苦労してるんですヨ!)。 。


 最後に一言。 ビック・ベイトを真昼間の、ベストタイムとは思えない様な時にキャストし続けてごらんなさい、スーパー・ストライクが経験できますヨ! その訳は? ヒントは以前に書いたワンポイント・アドバイスの中にあります。

 
Vol.18 「釣り場の環境変化とその対処法」 2004.6.2

 今回は釣り場の環境変化と、その対処法について考えましょう。

 私の様に30年もバス釣りをしている者は当然の事ながら、4〜5年前から始めた人でも最近の釣り場環境変化のスピードの 速さには驚いているはずだ。 中部地方では大江川や五三川の様に護岸工事が進み葦や樹木が無くなり魚の生息に適したソフトカバーが減少した釣り場もあれば、入鹿池の様に灌漑工事が終了して水位が安定した為に良く釣れる様になってきた釣り場もある。

 人間が自然環境に少しでも手を加えると、環境は大きく変わります。 10年以上前から琵琶湖南湖にボートで釣りをしていた人なら、琵琶湖大橋が対面通行の橋一本の頃と比較して、現在の二本の橋になってからは水の流れが変わってしまった事を感じているはずです。 異常なほどのウィードの増殖やウィードの種類の変化、特にアオミドロやヒシモの様な浅い沼地に多い水生植物が毎年増え続けています。 これらの現象から、私は「琵琶湖南湖は沼地化している」と考えています。 「たかが橋一本で?」と思う方もおられようが、部屋の窓にカーテンやブラインド一枚下ろすだけで「明るさ」「風の通り」「室温」等が変わる事を考えてみて下さい。

 自然の力は偉大なもので、人間が手を加えた所を復元しようとします。 当店の近くに野府川という用水があります。 私が子供の頃は葦もウィードも生えており魚も豊富にいましたが、高度経済成長期に護岸工事されてしまい、生物が棲むには厳しいドブ川になってしまいました。 ところが最近は護岸の隙間から草が生え、川底に堆積した泥の上に数多くのウィードが生える様になり、70cmオーバーの雷魚や50〜60cmクラスのナマズが釣れる(当然エサになる小魚も豊富)にまで回復してきているのです。

 急激な人為的環境変化は生物の生存を脅かし、種の減少(最悪の場合は絶滅)を招きます。 しかし、生物はしたたかに生きようとし、棲家を変えたり、環境に合わせて生態を変えたりしています。 最近バスのスポーニングベッドが葦原等のシャローで減少し、水深2〜3mのやや深い所に多くなったのは「スポーニングベッド狙いのサイトフィッシングが流行した為」に、いままで安全であったはずの産卵場所が危険な場所になったという環境変化に対応して産卵期の生態を変えたと考えられ、これは釣り人が作り出した環境変化と言えるでしょう。

 では釣り人は環境変化に対し、どの様に対応すべきなのか? 一言で言えば「魚の気持ちになる」事で、「自分が魚なら何処へいくか?」とか「自分が魚ならこの状況では何を主食とするか?」 と考えながら攻める事です。 具体的に言えば、「夏場にオーバーハングした樹木やウィードが無くなってしまったエリアでは、当然の様に近くでそれらが残っている場所を攻めるのだが、日差しと高温を避けると言う意味ではブレイクの落ち込みの様な他より水深のあるエリアや、たとえ小さくとも流れ込み等を必ず攻める」と言うものです。 「そんなの常識!」と言う人も多いだろうが、常にその常識通りに行動出来る人は意外と少ないものである。 「例年このエリアが良い」とか「去年はこのタイプのルアーが良かった」などと言いながら、環境条件が変化している事が解っているのにも関わらず「過去のデータ」に執着してしまうのです。

 私自身も注意していても犯してしまう過ちで、トーナメント出場時やガイド時などの「釣らねばならない・釣らせねばならない」という強迫観念に捕われた時に起こりやすい。 一般アングラーでは「久々の釣行だ」「大物を狙いのチャンス時期だ」「今日は好条件なので入れ食いに違いない」等と気合を入れ過ぎた時に起きる。 つまり正確な状況判断だけではなく、平常心を保ちながら釣りをしないと環境変化に対応しきれないのです。 迷ったり悩んだりする状況に陥った時は缶コーヒーを飲んだり、タバコを吸ったり、ボーッと景色を眺めたりして、「頭の中をリセット」する事が 大切なポイントである事を覚えておいて下さい。

 話は少し変わるが、琵琶湖南湖へ釣行する方なら、木ノ浜の護岸前を埋め立てて人工葦原を作っているのをご存知だろう。 あくまで私個人の私見だが、この人工葦原工事は「原状回復し始めた湖岸」を再度破壊してしまっているのではないだろうか? ここ数年前から埋立地である木ノ浜護岸前は泥が堆積し、浅くなると同時にヒシモ等の沼地の水生植物が増え始めていた。 もう10年もすれば護岸前のテトラポッドは泥に埋もれ遠浅の湖岸になり、それこそ葦原に適した湖岸に回復していくのではないかと思えた。 南湖の沼地化も、琵琶湖総合開発で90%以上埋め立てられた内湖に代わって、水の浄化作用のある湿地帯に変貌しようとする自然の力と思えた。 なのに木ノ浜では矢板を打ち込み埋め立てた上に葦を植え、護岸の上には土を盛り植物を生やした。 一見すると自然回復に見えるのだが、葦の前の水中は急激なブレイクの壁となり打ち寄せる波で湖底が洗われ、ウイードが根こそぎ流され減少している様に感ずるのは私だけだろうか? 環境保全の名の下に、その実は「血税を注ぎ込んで環境破壊をしている」のではないかと不安に感じるこの頃である 。

 
Vol.17 「当たりルアーについて」 2004.6.1

 今回は俗に言う「当たりルアー」について書こう。

 何年もルアー釣りをしていると、必ず「当たりルアー」と言う物が出てくる。 同じ種類のルアーなのに、何故か特定の一個だけが良く釣れるのである。 これを今回は検証してみたい。

 製品のバラ付きがその原因の一つである。 ウッドプラグの様な天然素材を使用したルアーは木目の詰まり方等で比重が異なる為、当然の様に動きや浮力に違いが出るものであり、量産品のウッドプラグに起こりやすい。 値段の高いハンドメイド系プラグでも不誠実なメーカーの製品だとバラ付きが多く、「それがウッドルアーの面白さだ」と言い切るビルダーもいるが、私に言わせれば手抜きの言い訳に過ぎない。 ひどい物では「沈むペンシルベイト」、「左右のどちらかに傾いて浮くミノー」等が現実にあった。 ガウディを作っている森田さんの様に仕入れた材料のバルサを全て検品し、木目の詰まり方が同じ物だけを残して半分以上を返品している誠実なビルダーも多いが、それでも天然素材ゆえのバラ付きは多少なりとあるだろう。 これが、同じ形の同じ色のルアーでも釣果に差がでる理由の一つである。

 ではプラスチック製ならバラ付きが無いかというと、そうではありません。 塗装の厚みによる場合が多いが、アメリカ製プラグなどでは同じルアーなのに樹脂の種類そのものが異なる物まで存在する。 同じ樹脂、同じ塗装でも、インジェクション・モールドに樹脂を注入する際の圧力の変化によって比重(樹脂の密度)が変わる場合もあります。 つまり、どんなルアーも完全に同じであるという物の方が少ないのです。

 一見全く同じ物でも微妙な違いが性能に差がでるもので、自動車のエンジンでも「アタリ」「ハズレ」の声をよく聞きます。 警察官だった私が、巡査部長試験に合格して中部管区警察学校で初級幹部教養を受けていた時のことですが、拳銃射撃の上級試験を受験しました。 射台に置かれたSWの38口径の拳銃を手に取ったところ手の中の納まりが悪く、一発撃つごとに握り直さねばならない状態で、10発撃ったところ3発も弾痕不明で初級も受からない(当時は中級を保持していた)程のひどい結果だった。 ところが射台を代わり同じSW38口径の別の拳銃を手に取ったところ、まるで「手に吸い付く様」な感触でした。 その拳銃で5発撃ったところド真ん中の10点圏に4発と9点圏に1発当たるという射撃選手並の結果だったのです。 僅かな差が生命を左右する様な拳銃ですら目では見えぬ製品誤差でこの結果です。 この時、ルアーは無論、ロッドやリールに「アタリ」「ハズレ」があっても当然だと思いました。

 アメリカのトップクラスのバスプロは同じルアーを1ダース以上仕入れ全てをテストし、自分が気に入った動きのものを数個残して他はファンにプレゼントしてしまうと言う話を聞いた事があります。 そして気に入ったルアーを根掛りした時は、トーナメント中であっても30分、1時間かけても回収する努力をするそうです。 それほど彼らには「アタリ」ルアーは大切なのです。 私の「アタリ」ルアーを見極める目はアメリカのトッププロには及びませんが、努力だけはしています。 皆さんも、同じルアーなのに「釣れるルアー」と「釣れないルアー」の違いを見極めてみてはいかがですか?

 もう一つ、使い込んだ傷だらけのルアーほど良く釣れると感じるのは私だけでしょうか? 同じ意見の方は数多くおられると思います。 私なりの考えですが、使い込んだルアーの塗装の「クスミ」や「傷」がプラスに働いていると思えます。 ルアーの表面の細かな傷による「クスミ」は「人工的で不自然な輝き」を消して魚に違和感を与えにくいのだと考えられます。 これは1〜2年前に流行したマットカラー(ツヤ消し色)と同じ様な理由ですし、拾った汚れたルアーが良く釣れたと言う話にも合います。 そして大きな傷は「傷つき弱ったエサ」を演出する効果があるのではないかと考えられます。 レーベル社のホログラムカラーのミノーがあえてウロコが剥がれたホログラムプリントされているのも同じ理由だと思えます。

  聡明な頭脳を持つ読者の方々はもうお解かりでしょうが、使い込んで動きを見極めた物、更に自然な傷が付いたものが「アタリ」ルアーになるのです。 また使い込む事によってマッチした状況・アクションの付け方等を熟知するので、そのルアーの性能を最大限引き出せる様になるのです。 だから、ルアーはガンガン使いましょう! 失くすのを恐れて使わないなんて勿体ない事は止めにしましょうね!

 
Vol.16 「釣れるルアー・釣れる釣法とその流行」 2004.5.7

 今回は「釣れるルアー」「釣れる釣法」と、それらの流行について書こう。

 「このルアー、昨年までは良く釣れたんだけどなァ・・・」、「今年はあの釣法で爆釣しまくりだァ!」と言う声をしばしば耳にします。 なぜ、その様な事が起こるのかを考えてみた事はありますか?

 私は「絶対に釣れないルアー」「絶対に釣れない釣法」は存在しないと信じていますし、「必ず釣れるルアー」「必ず釣れる釣法」も存在しないと思っています。 では、なぜ現実に「釣れないルアー」「釣れない釣法」や「爆釣ルアー」「爆釣法」が存在するのでしょうか。 季節やフィールドの状況に全く合わないルアーや釣法では話にならないので、「状況に合うハズのルアーと釣法」が前提として読んで下さい。

 ルアーは餌ではなく、ルアーを食べて生きていく魚はいません。 以前に書いた通り、ルアーは「誘いの能力=アピール」で魚の注意を引き付け 、「喰わせの能力=ナチュラル」で魚に口を使わせるものです。 「誘いの能力」と「喰わせの能力」とのバランス、これが釣果を左右します。 「誘いの能力」が高いルアーは集魚効果が強いので爆発力があるが魚に違和感を感じさせ易く、使いすぎると魚に警戒心を与えて釣れなくなってしまいます。 「喰わせの能力」が高いルアーは爆発力は無いが、安定して釣れ続き易い。 とは言ってもルアーである以上「誘いの能力」もあるので、多くの釣り人が長期間使い続ければ同じように違和感を感じさせ釣れなくなります。 これが「ルアーにスレた」と言う状態の事です! 

 例えば、5〜6年前の琵琶湖のバス釣りで必釣ルアーとさえ呼ばれた「センコーのノーシンカー」も、ここ数年は以前ほどの釣果を聞きません。 ワームは「喰わせの能力」が高いルアーですが、3〜4年も使い続けられると「スレる」と言う事の証明です(バス釣りブームで使う釣り人の数も異常に多かった事も原因のひとつであろうが・・・)。

 「誘いの能力」が高いプラグの例としては、バイブレーション・プラグがあります。 TDバイブに始まったバイブレーション・プラグの流行は、しだいにより高いアピールを求め、「ブラス・ラトル」や「グラス・ラトル」の入った大きな音の高音質の物へと変化し、ついには釣れなくなってしまった。 そして流行は「ノン・ラトル」や「低重音ラトル入り」となり、大きな高音質ラトル入りのバイブレーション・プラグを使う人が数年間は減少する事となった。 しかし、その数年間の時間がバスを「大きな高音質のラトル音によるスレ」から開放したのだ。 それは近年の、「ライズバッカー」や「ブザービター」の釣果が証明している。 しかし、それも何時まで続くか? その点「ブザービター」は「ラトル入り」を発売した後に、どの様な状況にも対応出来る様に、よりラトル音が大きく高い「タングステン入り」と「ノン・ラトル」でフラッシング重視の「メタル・プレート入り」を発売したので「今江プロは釣りだけでなく、商売にも長けているナァ〜」と感心させられた。

  これも私が常日頃から言っている事ですが、「流行の後を追うだけでは損」です。 「流行の最先端を行く」か「忘れられた良い物を掘り起こす」事が爆釣への近道です。 近年流行の「マキマキ」も15年位前は「スイミング・ウィード・スルー」と言って、トーナメントの必勝釣法でした。 私も10年前に初めてのチャプター・トーナメント(参加選手200名以上の大会)に出場した際、この釣法を使って4位に入賞しているのです(その頃は既に忘れられた釣法だった)。

 「基本的に性能の良いルアー」や「魚の習性等にマッチした釣法」は何時の時代でも釣れますが、問題なのは使うタイミングです。 古くから存在するアメリカ製プラグやストレート・ワームのテキサス・リグが今も時折「爆釣ルアー・爆釣法」になるのは、魚がスレていないタイミングで使えば「良い物は、良い!」と言う結果を出したに過ぎないのです。 逆に言えば「高性能と言えないルアー・釣法」でも「新製品・他の人がやらない」ならば爆釣とまでいかなくても「それなりの結果」がでるものなのです。

 定番のルアー・釣法は重要ですが、誰も使わないルアー・釣法は爆釣につながる可能性があります。
 ○ 新製品のルアーは人より先に使いましょう(入手困難品といって使わないのはダメ)
 ○ 新しい釣法は早く取り入れましょう
 ○ 古いルアーや釣法でも、過去の実績が高いものは積極的に使いましょう
 ○ 人気の無いルアー・釣法も、一度は使ってみましょう

 流行のルアー・釣法も大切ですが、惑わされたり深追いしてはいけません。 魚だけでなく流行のウラをかくのも、爆釣への重要な要素の一つだと言う事を覚えて下さい。

 
Vol.15 「キャスティング ピッチングの投げ方」 2004.4.16

 キャスティングについて2回続けて書きましたが、今回はピッチングの投げ方について書いていきます。

 私が普段ハードルアーばかりを投げているので「ピッチングなんて使うのですか?」と思う人もいるだろうが、「良く使います!」。 ワームやラバージグだけでなく、接近戦でヨシや杭の隙間にプラグやスピナーベイトを通す時にもピッチングはとても便利な投げ方です。 遠投には向かないが精度が高く、ルアーの弾道が低い為に着水音が極めて小さくなるので、春先のカバー回りを狙うのには欠かせない投法なのです。 最近はピッチングの上手い人が多くなったとは言うものの、まだまだの人や初心者の人の為にチョッとしたコツをお教えしよう。

 まずロッドはMかMHクラスの張りがある物で、最初は6フィート位のやや短めの方が良いでしょう。 リールは回転の良いベイトリールなら何でもOKで、ワーム・ラバージグでの実釣を考えると右投げの人は左巻きリールを、左投げの人は右巻きリールの選択をお薦めします。 練習は3/8〜1/2oz位のキャスティングプラグ等を使います。 ブレーキ調整は、メカニカルブレーキは「クラッチを切った時ルアーがスルスルと下がり、着地したらスプールの回転が止まる位」で、マグネットや遠心ブレーキは「最初は中程度から始め、徐々に弱めていく」のが良いでしょう。
 
 さて、ピッチングはロッドを身体のやや内側に向く状態で持つので、前回書いたバックハンドキャストの様にロッドを持つ側の足を前に出して構えます。 ラインの垂らしは竿先からリールまでの長さにしてロッドを持つのと反対の手で軽くルアーをつまみ、ロッドはリールが胸と腹の中間位になる高さにして竿先を少し下げます。 手に持ったルアーを離すと同時にロッドを持った手首を返し、竿先を押し出す様に軽く上げます。 振り子の様になったルアーが前へ行くタイミングに合わせてスプールのラインを押さえた指を離せば、ルアーはスルスルと低い弾道で飛んでいきます。 これが基本であり、遠くに投げる事より正確に投げる事を重視してください。 まずは5〜6m先の洗面器に確実に入れる事が出来るまで練習して下さい。

  ロッドの持ち方ですが、「グリップを腕の内側に入れる持ち方」と「グリップを腕の外側に出す持ち方」の二種類があります。 最初は飛距離には劣るが正確性に勝る「グリップ腕の内側に入れる」方の持ち方で練習してみて下さい。 正確に投げるコツはルアーと竿先をむすぶラインの延長線に目標がくる様に構え、竿先を目標に向かって押し出す様に振る事です。 慣れないうちに遠くへ投げようとすると、手首の返し過ぎや腕の振り過ぎの為に竿先を目標以外の方向に振ってしまい、正確なピッチングが出来なくなってしまいます。

 近い距離で正確に投げれる様になったら、次は少し飛距離も伸ばしましょう。 ルアーを持った手を腰のあたりまで引き、竿先を少し引き込みます。 これでロッドの振り幅が大きくなります。 振り幅の大きな投げ方に慣れたら、次はロッッドを振るスピードも上げます。 手首を返すスピードを速くし、「ピッ」と竿先を弾く様な感じで振るのですが、基本通りに目標に向かって押し出す様にしないとルアーが高く飛んだり目標から外れ易くなるので注意して下さい。 ルアー・竿先・目標は常に一直線上にある事が重要なポイントです。

 実釣でパワーのあるロングロッドを使い、より遠い距離を狙う様になると、「グリップを腕の外側に出す持ち方」が必要になります。 ロッドを身体に対し縦方向ではなく、斜め横方向に倒した様に持ちます。 ルアーを腰よりも後方にまで引き込み、ロッドを持った手首は「下から外側へ弧を描いて捻る」様にスピーディーに返します。 これが出来る様になると、デッキの低いアルミボートやレンタルボートの上から8フィートロッドでもピッチングが可能になります。 但し、ルアーと竿先までのラインの線が完全に身体の外側にあるので目標と一直線にむすびにくくなり、正確なピッチングにはより練習が必要となります。

 ピッチングはどちらかと言えば、ある程度のウェイトのあるルアーを投げる「ベイトタックル向き」の投げ方です。 スピニングタックルでも可能ですがタイミングが取りにくいので、軽いルアーに向くスピニングは「竿先のしなりだけで投げるフィリップキャスト」や「ルアーを手で引っ張りロッドを弓の様にして投げるボウ&アロウ」を練習した方が良いでしょう。

 正確なキャストは必ず良い釣果につながるし、大切なルアーを失くす確率も少なくなるので練習に励んで下さい。

 
Vol.14 「キャスティング 構え(スタンス)」 2004.3.22

 さて今回は前回に続きキャスティングについて書いていきます。 内容はキャスティング時の「構え(スタンス)」ですが、正確なキャストには大事な内容です。 リールをセットしたロッドをパソコンの前まで持ってきて見て下さいネ。

  まず正確なオーバーヘッド・キャストの話から。 ロッドを手に持ち、何か目標を決めて、その目標に対して真っ直ぐ正面に立ちます。 次にロッドを持った腕を、「完全に力を抜いて」下に伸ばして楽な姿勢になって下さい。 さてロッドの先端はどちらを向いてますか? 竿先は目標には向かず、体の内側へ向いている筈です(右手にロッドを持っている人は左方向へ、左手に持つ人は右方向へ)。 なぜか? 自転車やオートバイのハンドルを思い出して下さい。 特殊な競技用以外は進行方向に対し斜めの角度でハンドルをセットしてあります。 これが一番楽にハンドルを持てる角度であり、進行方向に対し直角でも並行でもありません。 これはロッドでも同じ事で、前回も書いた通り「人間の身体の構造に逆らってはダメ」なのです。

 目標に対し正面を向いた構えからキャストしても、意識して投げれば真っ直ぐ飛ばす事は可能です。 しかし、無意識だと身体の構造上どうしてもバックスイングの際に斜めに振り上げてしまう(右利きは右斜め後ろに、左利きは左斜め後ろに)。 結果としてフォアード・キャストも斜めにロッドを振る為に、ライン・リリースのタイミングが少し狂うと着水点が左右にズレる事になる。 ロッドを真っ直ぐ振り上げ、真っ直ぐ前に押し出すように振れば、ルアーは真っ直ぐ飛んでゆく・・・ハズ。 だが実際は「目標の正面に真っ直ぐ立つ事が原因でロッドを斜めに振っている」とは気が付かず、正確なオーバーヘッド・キャストが出来なかったのです。

 では、どうすれば良いのか? 簡単です! 右利きの人は左足を、左利きの人は右足を半歩前に出し、楽に持ったロッドの先が目標に向く角度で立って構えるだけです。 たったこれだけの事で、極めて正確なオーバーヘッド・キャストが可能になります。 「ホンマかいな?」と思う人の中でボートやフローターを使って釣りをしている方にお尋ねします。 右利きの人の場合ボートだと進行方向に対し左側にキャストする方が正確に投げれるのではないですか? やはり右利きのフローターの人が野池を攻める場合反時計回りで回る(フローターはバックで進む)方が正確なキャストがし易いのではないですか? そしてボートもフローターも、その逆だとミスキャストが多いのではなでしょうか? 経験に当てはめてもらえば、私の理論が間違ってない事を理解していただけると思うのですが・・・。

 次はサイドハンド・キャストについてですが、右利きの人は左に、左利きの人は右にズレて困っている筈です。  正確なオーバーヘッド・キャストが出来る人でも、これで悩んでる方は多いと思う。 これも実は難しい事ではありません。 人間の腕は内側には振りやすいが、外側に開く様には振りにくい構造になっているからです。 つまりバックスイングは大きく振れず、フォアード・キャストは振込み過ぎるのが原因です。 簡単に言えば、オーバーヘッドの場合より片足を前に出し、目標に対して横向きに近い位の半身になって構えればれば良いのです。

 具体的には、まず目標に対してオーバーヘッドで投げ終わった時の状態でロッドを持って下さい。 次に手首を返して、ロッドを90度位外側へ倒します(ベイトリールだと上向きになる)。 その位置がサイドハンドで投げ終わった時のロッドの位置です。 次にロッドの位置を変えない様に、体だけをネジる様に外側に開いていきます。 ある角度まで体を開くと、どうしてもロッドの位置が動く様になるのですが、そこがベストの体を開く角度です。 後は楽にその角度を保てる足の位置を決めるだけです。 キャストのフィニッシュ位置がピタリとキマれば振り込み過ぎが無くなり、目標に向かってルアーは真っ直ぐ飛んでいきます。 コツはあくまで腕と手首だけでキャストし体をヒネらない事です。 但し、リリース・タイミングのズレやサミングによって若干の左右のズレは致し方ない。

 最後はバックハンド・キャストですが、これはサイドハンドとは逆にロッドを内側へ倒す(ベイトリールだと下向きになる)だけで、体の角度も逆になります。 オーバーヘッドやサイドハンドの時とは逆の足を前に出し、目標に対し真横に近い角度で立ちますが、サイドハンドの場合と同じ要領でフィニッシュの位置を決めて、それを基準にした足の位置がベストポジションです。 バックハンドが上手くなると、前述のボートやフローターでの苦手な方向のキャストも楽になるし、ほかのキャストよりもバックスイング時にロッドの先端が後ろにいかないので、バックスペースが少ないエリアでのキャストが楽になるので是非マスターしてほしい。

 実際の釣り場では、足の位置を確保出来ない場合もあります。 その場合は少し窮屈ですが、上半身だけをヒネってベストな角度をキープしてキャストして下さい。

 前回と今回の様に理論的にキャスティングを紹介した人は、あまり居ないと思う。 なぜかと言うと本を書いたり、ビデオ・テレビに出る方々は根本的にセンスが良くキャスティングが上手いからだと思う。 最初から上手い人は悩まないが、私の様に根本的に「ドン臭い・運動音痴・下手くそ」タイプは悩みながら練習しないと上手くならない。 練習も漫然としては上達が遅いが、理論的に「キモ」の部分を理解してすれば早く上達するものだ。 私は「下手くそ」故に考えて練習し、なんとか人並み以上のレベルになれた。 だが今はまだ下手でも「人並みのセンス」のある人が理論を知って練習しだせば、私ごときはすぐ並以下の扱いになるだろう。

 
Vol.13 「キャスティング 基本」 2004.3.2

  今回はスゴ〜く基本的な事について書こう、何かと言うと「キャスティング」についてである。 釣りの本やビデオを見ると「キャスティングは重要だ。練習をしなさい。」と言っている。 なのに「コツ」と言うか「キモ」と言うか、ポイントを理論的に載せているものを見かける事は少ない。 と言うことで初心者に戻ってキャスティングのお勉強をしましょう。 ベテラン諸氏も「常識のウソ」と言うのがあるから、とりあえずリールをセットしたベイトロッドとスピニングロッドをパソコンの前に持ってきてから見てネ!。

 まずベイトロッドはリールを横向きにしてキャストする事は常識と言われてるけど、初心者に「なぜ?」と尋ねられたら理論的に説明できますか? 意外と難しいんですよね〜、コレが。

 まずオーバーヘッド・キャスティングが前提というのを忘れずに。 ではスピニングロッドを持って自然に構えて下さい。 次に腕や手首を動かさない様にソッと手を開いてベイトロッドに持ち替えてごらんなさい、ベイトリールは体の内側へ横向きになるでしょ! 逆にリールを上向きにしてベイトロッドを持ってから、腕と手首を動かさずスピニングロッドに持ち替えてごらんなさい・・・。 上手くキャスト出来ますか? 無理だよネ〜、だって手首がうまく動かないモン!

 手首が動かないと何が困るのか? ベイトリールはキャストの瞬間まで止まっていたスプールを、飛んでいくルアーがラインを引っ張り出す事で回転させる。 つまりルアーにとってはスプールを動かす力は一瞬のブレーキと同じ効果があり、スピニングと同じタイミングでラインリリースするとルアーの弾道が少し下がるのです。 だからベイトロッドの場合はスピニングよりも大きくバックスイングし、早めにラインリリースせねばなりません(逆にスピニングをベイトのタイミングでキャストすると、いわゆるテンプラになる)。 手首が返せないとバックスイングが小さくなり、リリースタイミングも遅れるので、ルアーは斜め上方には飛ばず、斜め下方の水面に叩きつけられる。 水面に叩きつけられたルアーはもうラインを引っ張り出してはくれない、スプールの方は回転の勢いがついたトコ・・・結果は大バックラッシュである。 ベイトリールを横向きに持つ事と、手首の返しの重要性がお解かりいただけたかな?

 ただ読者の中には「ベイトロッドは手首を固定し、肘を中心にしてキャストするのが正しい投げ方と教わったけど・・・」という方もいると思う。 ある意味で正しい投げ方であるが、スローテーパーのパラボリックアクションのロッド、いわゆるグラスのトップウォーターロッド等の場合という条件が付く。 しなやかなロッドは手首の返しが無くとも十分なバックスイングが可能だし、重いロッド・リールに重いルアーをキャストするオールドスタイルのトップウォーター・フィッシングの場合は手首に無理な負担をかけないので、かえって正確にキャストできる。

 だがロッドの反発力が強くて返りが速い場合は、手首のスナップを利かせないと十分なバックスイングが取れず、ロッドの反発力に負けないスピーディなキャストは不可能だ。 これはファーストテーパーでティップアクションのロッド、特に弾性の高いカーボンロッドになるほど手首のスナップが重要になる 。 もし、この種のロッドを腕の力だけでキャストしたならば、物干し竿にリールを付けて投げるのと大差なかろう。

 ベイトリールを横向きにする必要性はお判りいただけただろうけど、90度横向きにしてキャストしている人はいませんか? これマチガイです! おおむね60〜70度位かな? 力を抜いて腕を下ろしてリラックスしてください、次に手首の角度を変えることなく腕を軽く上げた状態でロッドを握ってみて下さい、その時の角度が正解です(スピニングも同じだヨ!)。 必要以上に横に向けると手首に無理な力がかかるので疲労するばかりでなく、キャストにも悪影響を及ぼします。 実はベテランほど90度横に向けるのが正しいと思い込んでおり、正確なキャストをしようとする時ほど意識的に手首に無理をかけた握り方をしている。 これが、普段はキャストの上手い人が「ここ一番のポイント」や「キャスティング大会」でミスキャストしまくる原因の一つである(原因はまだ他にも在るヨ!)。 簡単に言えば人体の構造に逆らってはイケナイのです。

  さて、実際にキャストする場合のコツだが、腕を単純な弧を描くように振るのではなく、前に押し出す様にする事だ。 バックスイングから、腕の振りと手首の返しで押し出す様にフォアードキャストに移るが理想である。 この際ベイトは大きめに、スピニングはコンパクトにロッドを振る。ベイトのロッドの動きはは「剣道の面打ち」に、スピニングは同じく「小手打ち」に似ており、いずれも単に振り下ろすのではなく、前に押し出している点が共通している。 もっともルアーキャスティングと剣道では構え(スタンス)が異なるが、実はこのスタンスが正確なキャストにとって重要な要素である事を知る人は少ないだろう。

 次回は、この構え(スタンス)について書こう。

 
Vol.12 「ルアーの色は水の色に合わせる」 2004.2.10

 一般的に「ルアーの色は水の色に合わせる」と言われているのを皆さんもご存知だと思います。 今回はその理由を考えていってみよう。

 青く見える水、緑っぽく見える水、茶色く濁った水、フィールドの水の色は様々である。 ルアー、特にワームやラバージグ等は水の色に合わせたカラーを使うのが基本の様に言われるが、なぜだろう? 私は以前、水の色に同化するカラーは保護色であり、喰わせの能力が高いナチュラルなカラーだからと考えていた。 この考え方は間違ってはいないと思うが、現在は正解とも思っていない。

  たとえば緑っぽく見える水は、水面に緑色の膜が張っている訳ではなく、水中に漂う植物性プランクトン等の為に緑色に見えるのである。 「水面ではなく水中」、ここがキモだった。 以前に書いた通り、水は色の根源となる光を吸収する。 つまり水中の緑色の物質が正しく緑色に見えると言う事は、その水が緑色の光を透過し易い性格の水質である事に他ならない。

 もう理解していただけただろう、水の色と同系色のルアーは存在が確認し易い色でもあるのだ。 無論、全く同じ色では完全な迷彩色になってしまうので、少し色調を変える事によってナチュラルかつアピールのある色になると考えられる。 これが春先のマッディー・シャローの茶色っぽい水でで赤色やオレンジベリーのクランクベイトが有効になる理由の一つである。 そして、喰わせの能力を重要視するワーム・ラバージグでは、マッディーエリアでパンプキンカラー、ウィードエリアでウォーターメロンの様な少しアピール度を下げたカラーが有効になるのである。

 ただ色の問題はもっと複雑で、たとえばウィードを好むバスにとって緑色は見慣れた安心できるカラーだ。 それ故にチャートリュース(明るい黄緑色)は目立つ要素だけでなく、安心する要素を併せ持つので良く釣れるカラーとなる等である。

 バスのスポーニング時期に赤色のルアーが良く釣れると言われるのも「前述のマッディーシャローの赤色」以外に理由がある。 赤・黄・橙系の色は人間界において、信号機や工事現場のトラ柵に使われている「注意を促す色」である。 これは自然界でも同じで、ハチの黄黒の縞模様や毒蛇・毒蜘蛛の正に毒々しい色も「注意を促す」色であり、外敵に注意させる事によって余分なトラブルから身を守っている威嚇色なのである。 水中ではザリガニの赤色がそれに当たる。 ツメが小さく、殻も薄い亜成体は保護色をしているが、ツメも殻も発達した成体はハデな赤色となり、自分の強さを誇示して身を守っている。 つまり赤は強さや危険を現すカラーであり、卵や稚魚を守る意識を持つ親魚にとっては、他の色のルアーより赤色のルアーを「より強い外敵」として捉える事となり、攻撃を掛け易くなるのである。 なお 私は、オイカワ、ウグイ、サケやマス等の婚姻色の赤色も、他の雄や産卵の邪魔になる魚に対する威嚇色だと考えている。

 他にも 赤・橙系カラーは、他のカラーのルアーより大型のバスが釣れる傾向が強いと言われる。 これも強くて危険な獲物を捕らえれるのは、体力のある大型魚に限られるのが原因であると私は考えています。 但し、大型魚を狙える反面、数が釣れないデメリットの可能性も高くなるかもしれない事を忘れないで下さい。

 その他にも、クロームメッキのようなシルバーは強い輝きだが濁りの中では遠くまで光が届きにくく、鈍い輝きのゴールドの方が濁りの中では目立ちやすい事等も知っておいてほしい。

 何回にもわたってルアーに関して書きましたが、私の知る全てを書いた訳ではないし、まだ私が知らない事も数多くあります。 ひょっとして私が間違って考えている可能性だってあるだろう。 でも私が本当に言いたい事は「自分なりの理論を持って、考えながら釣りをしてほしい」と言う事に尽きます。 魚の性質をや季節等の条件を考え、ポイントを選択し、ルアーのタイプ・アクション・カラー等の組み合わせを考え、その時のベストな釣り方を絞り込んでいく。 それが「パターンを見つける」と言う事だ。 たとえ「トップウォーター・オンリー」と言うスタイルであってもパターンは存在する。 偶然に釣れた大物も嬉しいが、考えて絞り込んだパターンで狙って釣り上げた魚は小さくとも価値が高い、大きければ尚更である。 皆さんにも「狙って釣った喜び」を味わってほしいので、今後もその手助けができれば良いなと考えています。

 さて、次回は何を書こうかな・・・?

 
Vol.11 「ルアーのカラーパターン」 2004.1.24

 ルアーのカラーについての話も今回で三回目となるので、少し具体的な内容で書こう。

 ルアー、特にプラグのカラーパターンは正に色々あるのだが、大きく分けて三種類ある。 ルアー全体が同一色の物、ルアーの上下に塗り分けてある物、ルアーの前後に塗り分けてある物の3パターンで、例を挙げれば<オールブラック><金黒・オレンジベリー><レッドヘッド>等となる。

 さて、このカラーパターンはルアーの動きに大きく関係する。 上下に塗り分けたルアーはローリングアクションでは激しい色の変化を見せるが左右の動きでは変化が無い。 逆に前後に塗り分けたルアーは左右の動きで大きな色の変化を出すがローリングでは全く色の変化を起さないのだ。 この為に、ルアーの持つアクションによっては無意味と思えるカラーリングも存在する事になる。

 ただルアーの動きは複雑でスピードによっても変化するし、ローリングアクションをするルアーでもローリングの動きに比重を置いているだけで多少なりは左右の動きもあり、左右アクションのルアーも同様でロールの動きを含んでいる。 また、前後に塗り分けたローリングアクションのルアーでも近づく時と遠ざかる時で変化が起こるし、左右アクションの上下塗り分けのルアーでもヒラ打ちさせれば激しい変化が起こる。 更にシルエットを小さく見せる目的で明るい色のルアーの一部分を暗い色に塗ってある物もあり、一見無意味に思えるカラーリングだが十分に考えられた上での事もあるので注意したい。

 その他に、どんなアクションにも対応出来るカラーもある。 その一つが全体が同一色の物で(ワンポイントが入れてある物が多いが)、基本的にいかなるアクションでも色の変化は起さず、ただ形状や影の出方によってシルエットが少し変わるだけである。 このカラーは濁りの中でも常に目立たせる目的の<チャートリュース>の様な膨張色系の物と、ローライトコンディション下やハイプレシャー状況下でコンパクトなシルエットをはっきり出す目的の<ブラック>等がある。 もう一つが上下塗り分けカラーに縦縞を入れた物で<ホットタイガー>や<パーチ>等のカラーがそれに当たり、いかなる動きでも色の変化を出してくれる優れたカラーだ。

 魚を釣り上げる事を目的に作られ、数十年にわたって製造されてきている海外メーカーのルアーには必ずと言える程これらのカラーパターンのルアーが存在する。 日本では以前にナチュラルカラーが流行ったことがあるが、ナチュラルカラーは釣れるカラーの一つではあるが、水質によっては以前このコーナーで書いた<誘いの要素・アピール>が不足して釣れない場合も少なくない。 なのに売る事を主目的に「本物ソックリ」をうたい文句にナチュラルカラーばかりを作っていた一部のメーカーや、それを掲載して絶賛した一部の雑誌には呆れて物も言えなかった。 だが雑誌の記事や広告の影響力は強く、最高に釣れるカラーと信じてナチュラルカラーのルアーのみを買い集めて逆に釣れなくなり結果的にルアー釣りを止めてしまった人達さえ存在しているので、それらのメーカーや雑誌社の功罪は大きい。

 かつてダイワのTV番組でフィッシング・キャスターをなさっていた故 西山 徹 氏とルアーのカラーについて談話した際、氏は「私はルアーの模様は気にしません。 ベースが何色で、どの部位に何色がどの位の割合で塗られているかが重要であり、色も原色を基準にして何系の色かを考えるだけで微妙な色合いは関係ないと思います。」と私に話して下さった。 日本のルアーフィッシングの牽引車であった氏が、私の期待した通りの答えをして下さった事に感激した記憶が今も強く残っている。

 だが、ワーム等では微妙な色の違いで釣果に差が出るのも事実だ。 これは「止めて」「見せて」「喰わせる」釣りだから微妙な色使いの影響が出ているのであり、クリアーウォーターにおけるサスペンドタイプのプラグも 同様に影響が出る場合があると考えられる。 しかし濁りの中やローライトコンディションの場合ではその差は現れず又、ルアーが速く・激しく動く程やはり差は出なくなる。 つまりアクションさせる事が主体のプラグ類の場合は、その様な状況下では淡いボカシ模様や立体ウロコ模様の影響は無に等しいものとなる。

 ただ、美しいリアルカラーのルアーは見ているだけで綺麗だし、何となく釣れそうな安心感を持たせるメリットもある。 私も全てのリアルカラーを否定しているのではない(私自身も良く使用するリアルカラーのルアーがある)、しかし裏を返せば(エサ=釣れる)と言うエサ釣り感覚から抜け切れない事の表れかもしれない。 まだまだリアルカラーに頼る釣り人やメーカーが多い現状を見ると、日本は欧米と比較してルアー釣りに関しては後進国なのではと思えてくる・・・サビシイ。

 さて次回はもう少し具体的な色別の使い分けに関する事を書こう。

 
Vol.10 「ルアーの色について」 2004.1.5

 今回からはルアーの色について書いていこう。

 まず「色とは何か」を考えた事がありますか? 色とは七色の光(虹の色)が物質に当たって反射し、その反射した光が目に入り「色」と認識する事であり、反射する物質が色素である。 つまり光が無ければ色は存在しないし、反射する物質(色素)が無くても存在しないのだ。

 一般的には反射する物質(色素)の種類を「色」と呼び、釣り人の中にもこの「色」について語る人は多いが、光について語る人は多くない様に思える。 光の七原色は「虹の色」の(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)である。 もしも光の中に「赤の光」が欠けていれば、「赤く見えるはずの色素」に光を当てても反射する「赤い光」がない為に「赤色」には見えず、「明るい」か「暗い」かだけの問題で「白黒写真」と同じである。

 なぜクドクドとこの様な事を書くかというと、大気中と水中では光の状態が異なるからです。 水中深くまでは光は届きません、これは光が水に吸収されているからです。 そして光の「色の種類」によって吸収される水深が異なり、簡単に言えば水深ごとに色別の光を吸収するフィルターが張られているのです。 基本的には「赤」系の光の方が浅い水深で吸収されていきます。 この様に書くと「紫」が一番深くまで届く光の様に思えますが、実際は「青」の光が一番深くまで届きす(詳しい理由は専門家に聞いて頂きたい)。

 細かな事は別として、ディープエリアでは「モノクロ」の世界に近くなるが、「青・藍・紫」等の色は「色」として存在しており、比較的「地味」なカラーにもかかわらず「目立つ」という効果が生まれる。 だからこそ透明度が高い(光が届く)深い釣り場、たとえば琵琶湖の北湖のディープエリアを攻める釣り人に「ブルー」「パープル」系カラーのワームやラバージグを使用する人が多くなるのは必然的な事なのだ。

 逆に「赤」系の色は、ディープでは目立たないがシャローでは目立つので、シャローカバーを狙う釣り人にブラウン(暗い橙色)系カラーのラバージグやワームを使う人が多いのも当然の事なのだ。 余談になるが、比較的深い海に生息するマダイやキンメ等の魚のハデな「赤色」は、実は目立たない為の「保護色」だと私は考えているが、誤りではなかろう。

 今回は難しい話になってしまったが、次回はもう少し具体的に解り易い内容でルアーの色と魚への影響について書いていく予定です。

 
Vol.9 「バスやトラウトに色の識別能力はあるのか」 2003.12.23

 前回、前々回とルアーの形状・動きについて書いたので、次は色について書こう。 しかし大前提として、はたしてバスやトラウト達に色の識別能力があるのか否かの問題が出てくるので、今回はその点から書いていこう。

 結論から言うと「色の識別能力はある」である。

 多くの文献を調べるとバスやトラウトの目には色を識別する細胞があるそうだ。 バスはウィード等のカバー周りで捕食活動をする為に、カバーとその周りに生息する獲物を識別する必要性によって色の識別能力を身につける進化を遂げたのだろう。 特に光の七原色の中でも「緑色」の識別能力は人間並みで、「赤系」と「紫系」の色に関しては色弱らしい。 それ故にウィードエリアでウォーターメロンの様な「緑色」のワームを使うと、バスが保護色をした獲物と認識するので良く釣れるという訳だ。

 渓流に住むイワナも流れてくる虫と木の葉等を区別する為に色の識別能力があり、私の経験ではシルバーにグリーンが入ったスプーンに実績が高い。 ただニジマスやサクラマス等はレッドやオレンジが入ったルアーに実績があり、理由として餌とする魚のエラの色だとかタマゴ(イクラ)の色だの諸説があるが、はっきりしたことは不明である。

 さて、泥の中の餌をエラの所で濾して食べるコイの仲間等は嗅覚に優れているが、あまり視覚に頼る捕食活動をしないので色の識別能力がほとんど無い種類が多いそうだ。 ここまで書くと、フィッシュイーターの魚は全て色の識別能力があるように思えてくるが、色が識別出来ない魚もちゃんと存在する。

 一つは夜行性のナマズ等で、暗ければ物がばっきり見えない為に、暗闇でも餌の位置を感知できる音や振動に関する能力が発達し(人間が感知出来ない地震の前兆にも反応するのはこの為)、逆に目は明暗を識別出来る程度の能力しかない。

 もう一つがカツオやマグロ等の海の回遊魚で、障害物が無い大海原ではイワシなどの「動く物=餌」であり、色を識別する必要性がないからだ。 ただ動体視力はかなり高いだろうし、逆に「動かない物=餌でない」となり、スローな動きのルアーには無反応となる訳だ。 この様な知識を持って色んな事を考えながら釣りをすると釣りが何倍も面白くなる、だから私の様に30年以上続けても飽きないんですヨ!


 
Vol.8 「ルアーの動きによる能力の違いと使い分け方」 2003.12.12

 前回に続き、今度はルアーの動きによる能力の違いと使い分け方について書いていこう。

 動きは「激しいorおとなしい」、「規則的or不規則」、「遅いor速い」で使い分けるのが基本だが、誘いの能力(アピール)と喰わせの能力(ナチュラル)を誤って理解し、逆に使い分けしている釣り人が以外に多い。

 「激しいorおとなしい」は激しい方がアピールが高いことは誰にでも解る事なので説明は省きます。 まず問題は「規則的or不規則」で、不規則の方がアピールが高いと思い込んでいる人が多いのですが、これは誤りです。 生き物は決して規則的な動きはしておらず、動くスピードを変えたり、止まったり、方向を変えるので、不規則な方がナチュラルで<喰わせの能力>が高く、規則的な動きは機械的で不自然さが目立ちアピール<誘いの能力>が高くなるのです。

 もう一つが「遅いor速い」で、速い方がアピールが高く思われがちだが、実は逆で遅い方がアピールが高く、速い方がナチュラルで<喰わせの能力>が高いのである。 バスやトラウトに追われて逃げる小魚やザリガニの動きを見れば、被捕食者を演出する為にはかなりのスピードが必要になる事が理解できるはずだ。
 
 実際にルアーを動かす場合は、リールによるスロ−なタダ巻きがアピールであり、ロッドによるスピーディーなジャーク等がナチュラルになる。 ちなみにリールのハンドルをどれだけ速く回しても逃げる小魚のスピードには追いつかないし、ルアーにメリハリの効いた動きをさせられない。 だからこそ「ロッド・アクション」と言う言葉があるのだ。

 ※喰わせの能力が高い( ナチュラル ) = おとなしい・不規則・速い
 ※誘いの能力が高い( アピール ) = 激しい・規則的・遅い

  これを原則としてルアーのタイプ、アクション、スピード等を考えて釣りをしていただきたい。

 具体例として、クランクベイトのボトムノックがある。 太短い形状のルアーをリールによる一定速度でワイドウォブリングさせながら引けば極めてアピール系だが、ボトムに当てると一瞬動きが止まり、次にヒラを打って左右にダートする「不規則な動き+スピードの変化」を起こして瞬間的にナチュラル系に変貌する。 その時、疑いながらも興味をもって追尾してきたバスがプレデター(捕食者)の本能を刺激され、反射的にルアーに喰い付いてしまう。 これがリアクション・バイトだ! 他にも、細身のルアーを激しくダートさせれば、細身(ナチュラル)・激しい(アピール)・ダート(ナチュラル)の要素が絡み合い良く釣れる。 これがミノーのジャーク&トィッチだ。 お解りいただけたかな? 


 
Vol.7 「ルアーの誘いの能力と喰わせの能力の使い分け方A」 2003.11.28

 今回からルアーの誘いの能力(アピール)と喰わせの能力(ナチュラル)の使い分け方について書いていこう。

 まずルアーのサイズ。大きい物の方がアピールが高く、小さくなれば喰わせ易くなる事は誰でも理解しているが、以外に知られていないのは太さの関係である。

 バスやマス等はサメやピラニアの様に獲物を食いちぎるのではなく、丸呑み型の喰い方であり、いくら口が大きくても食道の入り口の広さには限界がある。 つまり太い物や幅の広い物は目立つので誘いの能力が高いが、度が過ぎれば飲み込みにくくなり喰わせの能力が低くなるのである。  逆に細すぎると上下左右からは線でしか、前後からは点としか見えない為に喰わせ易いが発見され難くなってしまう 。  捕食される野生の生物もこれを利用し、アユやワカサギ等の細身の魚は目立たない事で、ブルーギル等は目立つが喰われにくい体型になる事で身を守るという進化の方向性を見出してきているのだ。

 更に目の錯覚の問題がある。 魚の目にはどのように映るか解らないが少なくとも人間の目には長い物ほど細く見える。 同じ太さで長い線と短い線を描き比較すると長い方が細く、短い方が太く見えるという図形トリックである。 これらから考えれば、細身のミノーの方が大型であっても太いクランクベイトより喰わせの能力が高いと言う事が理解でき、バスより口の小さいトラウトの方が細身のミノーをより好む事も理解できる。

 つまり実際にルアーを使用する場合はミノー・ペンシルベイト・ストレートワーム等はかなり大型であっても喰わせの能力が高いナチュラル系として使用し、逆にクランクベイト・バイブレーション・クローワーム・ラバージグ等は小型であっても太短い為に誘いの能力の高いアピール系として使用する事を考えていかねばならない。 現実に10インチ以上のストレートワームや7インチ以上のスイムベイトでもスリムなタイプなら30cm台のバスを釣り上げている人は大勢いるし、逆にファットボディの中型以上のクランクベイトでは40cm以下のバスを釣った経験がほとんど無い人も多いはずだ。
 
  ※ 喰わせの能力が高い(ナチュラル) = 小型・細身・長い
  ※ 誘いの能力が高い(アピール) = 大型・太い・短い

これを原則としてルアー・セレクトを考えてほしい。 ただし、あくまでサイズ・形状での使い分けであり、他の要素も複雑に絡み合ってくる事をお忘れないように!  ここで 「中大型バイブレーションは小型の魚も良く釣れるのに?」 と疑問をもった人はエライ! ヒントはルアーを色々な角度から見る事です。


 
Vol.6 「ルアーの誘いの能力と喰わせの能力の使い分け方@」 2003.11.12

 最近気になっている事だが、近頃のルアーはルアーフィッシングの本質から離れている物が多い様な気がしてならない。

 本来ルアーフィッシングは金属・プラスチック・木などの魚が食べない物を用い、魚の習性を利用して釣るものだ。 ところが最近のルアーの中には形・色が本物の魚やエビなどと見間違わんばかりのリアルな物から匂いや味のする物まであり、エサ釣りとの差を感じさせなくなってきている様に思える。 釣りは魚を釣り上げてナンボのものであるから「何でもアリ」でも構わないのだが、魚をエサ以外の物で欺いて釣るという妙に欠ける気がする。 別に奇妙なルアーで釣りをするべきだと言う訳ではなく、ルアーの本質を知った上で釣りをしてほしいのだ。

 ルアーの能力には二つの要素が必要とされている。 一つは <喰わせの能力> 、もう一つが <誘いの能力> であり、一般的にはナチュラルとアピールと表現した方が解り易いかもしれない。

 <喰わせの能力> は魚にそれが食い物と判断させる事で、最近の味・匂い付きワーム等はそれを突き詰めていった物であり、その究極はエサである。 だが本物の生き物に近づけ過ぎると欠点も出る。 喰われる生き物は保護色に身を包み、目立たぬ様に行動するのが常であり、捕食魚からは見つけ難い存在である。 ナチュラルとは自然の風景に溶け込み目立たなくなる事なので、突き詰め過ぎれば魚に発見されなくなって釣れなくなってしまう可能性すら出てくる。

 では、なぜエサ釣りでは釣れるのか? 小魚やエビに針を掛けて泳がせれば針やラインの影響でどうしても動きが制限されるので自然に泳ぐものとは明らかに動きが異なる不自然な動きとなり、結果としてそのエサだけが目立ち魚に発見されるのである。 ファッションで言えば、冬の街でブーツとコート姿の女性が多い中で一人だけタンクトップとホットパンツで歩いていれば、その娘だけが目立つのと同じだ。 つまりソコが <誘いの能力> ・アピールの部分であり、無視すれば釣果が下がる事になる。

 しかし<誘いの能力> ・アピールを突き詰めると、ファットボディーのクランクベイトの様な形状・動き・音・波動のいずれをとっても自然界の生き物と異なるものとなり、目立って魚に発見され易くなるが、目立ち過ぎ・不自然過ぎは魚に疑いや警戒心を持たせてしまい、やはり釣れなくなってしまう危険性もある。

 結論は釣り場環境や魚の状態を見極め、この二つの能力をいかにバランス良く使い分けるかであり、頭脳とテクニックを駆使して魚を釣り上げる事こそルアーフィッシングの醍醐味だと思う。 皆さんにも、もう一度初心に戻って「なぜルアーフィッシングを始めて、なぜ面白いと感じたか」を思い出していただきたい。 このワンポイントアドバイスも次回からは、この点を踏まえ具体的な理論やテクニックを紹介していきたい。

 

Vol.5 「冬の定番 ラバージグ」 2003.10.23

 水温も少しづつ低くなって、早朝の釣りでは防寒着が必要な季節になってきた。

 冬のバスルアーの定番にラバージグがあるが、うまく使いこなせないと言う人も少なくない。 普段はラバージグを使わない人に多く、私も冬場以外には使わない方の人間なので秋の今頃から使う練習をする様にしている。 低水温期のスローなバスを釣るには移動させずに一ヶ所で誘い続けられるラバージグが有効なのだが、そのラバージグでも簡単に釣れる訳ではない。 難しい時期に慣れない事をしても結果は出せない、まだバスの活性が高い今のうちに練習をして慣れておく事をお勧めする。

 ラバージグ(特にガード付きや、太軸フック)のアワセは少しコツがある。 先日、ヒロ内藤さんの新作ビデオでテキサスリグでのアワセは一瞬、糸フケを出してからアワセる様にと紹介しているのを見た。 これはラバージグも同じで 、キャリアの長い人には常識だが最近は知らない人も多い様だ。

 先週のJBプロ戦初日の夜に、中部の若手プロの一人から 「ウィードの中をテキサスで攻めたのですがバラシまくりました、プラクティス中にミディアムヘビーのロッドを誤って折ってしまいミディアムのロッドに8Lbラインと3/0サイズのフックの組み合わせを使っているのですが、バラさない様にする良い方法はないでしょうか?」 と相談を受けた。 フックサイズを下げる事を勧めるプロもいたが、私は伸びを減らすと同時に強いアワセに対応できる太いラインに変える事と、糸フケを出してからのアワセを教えた 。

 私が初めてワームの釣りを覚えた頃(28年くらい前)のリグはテキサス以外のリグはキャロしか無く、ロッドはグラス、ラインはナイロン、フックは必ず研ぐ必要のある大型フックに6〜8インチワームが標準だった。 そのタックルでもバスの硬い上顎にガッチリとフッキングさせる為にはそのアワセが必要だったのだ。

 スローなグラスロッドにデカいフックの付いた大型ルアーを使うクラシカル・スタイルのトップウォーター・プラッガー達がなぜ確実にフッキングできるのか? トップウォータープラグを動かす時は常に糸フケをだしているよネ! 根掛かりしたラインを切る時に引っ張るだけでは切れないラインも一旦緩めて瞬間的に引っ張ると切れる事は皆さんご存知の筈、それが理由だ。 道具でカバー出来ない事はテクニックでカバーする事を覚えよう。

   

Vol.4 「秋の爆釣シーズン」 2003.10.8

 10月も中程になって、やっと急激な水温低下も収まり安定してきた。 バス・フィッシングにおける私の経験上では季節的には10月中旬から12月上旬、水温ならば22℃を下回る頃から13℃を下回らない頃までの間が本格的な秋の爆釣シーズンだ。 つまり、これからである。  ただ、水温15〜16℃位を境にルアーサイズや釣り方を変えた方が良い。
 
  まだ水温が高い頃は小型のベイトフィッシュが多く、しかも活発に動いている。 その為ルアーはマッチ・ザ・ベイトで、サイズが小さいかシルエットが細く見える物を、スピナーベイトもブレードが小型の物を選ぶ事。 動きはスピーディにし一点で止めない方が良い、ベイトを追い回しているバスの目に入らなくなるからだ。 高速道路をブッ飛ばした事のある人ならば、スピードが上がるほど視野が狭まり、遅い車が止まって見えると言う経験をしている筈だが、理屈と理由はそれと同じだ。

 水温が下がるにしたがって捕食し易い小型のベイトフィッシュが減ると 、効率良く栄養を補給する為に大型のエサを捕食する様になる。 人間でも金が無くてハラペコの時に牛丼をおごってもらえるなら<並>より<特盛>を選ぶのと同じである。 ベイト・フィッシュが大型も小型も同じ数ならば捕食出来る確率も同じになるので、バスが大型ルアーにアタックし易くなっても当然だろう。 但しバス本来の適水温を下回っているし、ベイトフィッシの動きもスローになってきているから、ルアーアクションはややスローにしてポーズも入れた方が良くなるのである。


 
Vol.3 「秋の爆釣シーズン 釣れない日には」 2003.9.25

 秋は爆釣シーズンと一般にいわれているが、実際のところ釣れない日もけっこうあるものだ。冷たい秋雨による水温低下とそれに伴うターンオーバーが原因で食い渋る事が起きるのである。

 この様な時に私はフィネスフィッシングはやらないでストロングに徹する。 活性が下がったバスを刺激しリアクションで食わせるのだが、この時のキモはカラーだ。 チャートリュースとオレンジのコンビネーション、つまりホットタイガーなどが異常な程に利く事が多い。 またスピナーベイトやワーム類はピンク色だけに好反応を示す事も多いと言う事実もあるので知っておいてほしい。

 注意したいのはラトル音だ。 9〜10月頃はノンラトルの方が良い場合が多い、特にバイブレーションプラグに言えることだ、おそらく春〜夏にかけて攻められ続けている為にラトル音にスレているのが原因だとおもわれる。
 これは単一年のシーズンだけでなく数年単位でも起こる事で、激しい音のラトル入りルアーは良く釣れた物でも数年で釣れなくなってノンラトルや低重音ラトルの方が良くなり、また何年か経過すると再び釣れる様になる。 だから、流行を後から追うのではなく苦労はするが自分自身が流行を作り上げるか又、最先端を行くべきだ。

 まだ経験の浅い人は古い雑誌等を読んで、以前に良く釣れたルアーやテクニックを使ってみると良いだろう。 このところ流行しているマキマキも10年以上前にウィードスルースイミングと言ってトーナメントでの定番必釣法であったことも覚えておいていただきたい。


 
Vol.2 「秋っぽい状況になって」 2003.9.18

 ガイド情報でも書いたが、かなり秋っぽい状況になってきている。 水温はまだ27〜28℃あり気温も高いが、ウィードのアウトサイドでスクールバスが釣れ始めているからだ。

  秋はベイトフィッシュがシャローに寄りウィードラインに沿って移動する為にウィードのアウトサイド側での釣りが有効となる。 注意したいのはフラットシャローのウィードではなくブレイクの近い場所のウィードの方を狙う事だ。

 ルアーはトップウォーターやミノーシ・ャッドが面白く、スピナーベイト
なども良い。 サイズはベイトにあわせて中・小型の物を、スピナーベイトもブレードが小さい物が良い。 この釣りの欠点は数は釣れるがサイズが望みにくいことだ。

 数釣りに飽きたらウィードのインサイドをトップウォーターで狙ってごらん、単発だがビッグワンの可能性大だ。

 
Vol.1 「今年の夏のバスは釣れ方」 2003.8.25

 今年の夏は例年と比較して低水温で水位も高くウィードも伸び方も遅い、その為バスの釣れ方も例年通りではない。

 通常ならばバスは沖のディープエリアのストラクチャーに集まったり、ブレイク近くのサーモライン下にサスペンドするのでワームのジグヘッドリグやダウンショットリグ
の出番が多い。 だが今年はシャローでも水温が低くウィードが密集していない為にバスが散っており、 ここ数年良かったエリアがあまり釣れていないのでシャローウィードのシェイドに潜むバスを広範囲に拾い釣りするほうが良い。

  一般的にはワームのスイミング(マキマキ)やウィードパッチに1/2oz以上のテキサスリグを落とし込むのだが、私は水面まで出ているウィードのエッジをポッパーで攻めるのが好きだ。 着水後ロングポーズし、なるだけ小さなポップ音で移動距離を少なくすると良い。

  晴れて風がある日はバズベイトを、ピーカン無風の日はスィッシャーのデッドスローのストップ&ゴーを試してほしい、バスが全身を水面上に出してアタックするスーパーストライクを経験する事が出来るからだ。
 

※ 釣り・タックル等に関するお悩みや疑問、ワンポイントアドバイスに対するご質問には可能な限りお答え致しております。 ご連絡はTel・Fax・Eメールのいずれでも構いません。 Eメールの場合はウィルスに感染していると自動削除されますし、まれに返答で送ったメールが「迷子」になり届かない例もありましたので、1〜2週間経過しても返答がない場合はTel等で確認して下さい。


 
   

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